第二十一章 炎の巨人
広大な空間が広がっている。
天井は百メートル以上の高さがあり、床は溶岩の海だ。
そして、その中央に巨大な島があり、そこに「それ」がいる。
炎の巨人――ファイアタイタン。
高さ五十メートル以上。全身が炎で覆われた巨体。まるで火山そのものが人型になったかのような姿だ。
巨人がゆっくりと目を開け、俺を見下ろす。
「来たか……久しぶりだ、人間よ」
巨人が口を開いた。低く響く声。
「俺はレオン。お前を倒しに来た」
「フフフ……自信があるようだな。何人もの冒険者がここまで来た。だが、誰一人として生きて帰った者はいない」
巨人が立ち上がる。溶岩が波打ち、熱波が襲ってくる。
だが、俺はアイスバリアで防いでいる。
「貴様も灰になるがいい!」
巨人が拳を振り下ろしてくる。
巨大な炎の拳。建物を一撃で粉砕するほどの威力だ。
俺は瞬間移動で回避する。
拳が地面に叩きつけられ、爆発が起きる。
「速いな……だが!」
巨人が両手を広げ、無数の火球を生み出す。
百個以上の火球が一斉に俺に向かって飛んでくる。
俺は飛行で上空に逃げながら、反撃する。
「アイスウォール・多重展開!」
十重の氷の壁が俺の周囲を覆う。
火球が次々と壁に当たり、蒸気が噴き出す。
だが、壁は持ちこたえている。
その隙に、俺は反撃の準備をする。
「アイススピア・百連射!」
百本の氷の槍が形成され、巨人に向かって飛んでいく。
巨人が炎の壁を展開して防ぐ。
氷槍が次々と溶けていく。
「無駄だ!炎こそが最強の力!貴様の氷など、我が炎の前では無に等しい!」
巨人が咆哮する。
だが、俺は冷静だ。
「炎が最強?違うな。全ての属性には相性がある。そして、お前の弱点は氷だ」
俺は全魔力を集中させる。
これまで習得した全ての氷魔法を組み合わせる。
「氷魔法奥義――絶対零度!」
巨人の周囲の温度が急激に下がる。
マイナス百度、マイナス二百度、マイナス二百七十度……
絶対零度に近づいていく。
巨人の炎が弱まっていく。
「な、何だこれは!?我が炎が……消えていく!?」
巨人が驚愕の声を上げる。
俺はさらに魔力を注ぎ込む。
MP が半分以上減った。
だが、効果は絶大だ。
巨人の体を覆っていた炎が消え、溶岩の体が露出する。
そして、その溶岩が徐々に冷え、固まっていく。
「馬鹿な……我が、冷えていく……!」
巨人の動きが鈍くなる。
俺はトドメの一撃を放つ。
「アイスストーム・極大!」
巨大な氷の嵐が巨人を完全に包み込む。
巨人の体が完全に固まり、巨大な石像になった。
そして、俺は念動力で最後の一撃を加える。
空中に浮かぶ巨大な氷の槍を、全力で巨人の胸に叩き込む。
ガシャアアアアアンッ!
巨人が砕け散った。
無数の破片が床に落ち、巨大な魔石が転がり出る。
炎の巨人、撃破。
俺は巨大な魔石を回収した。特級を超える、伝説級の魔石だ。
そして、ステータスを確認する。
【ステータス】
名前:レオン
年齢:26歳
レベル:55
職業:冒険者
ランク:C
HP:2600/2600
MP:3200/3200
【能力値】
体力:135
筋力:140
魔力:180
敏捷:142
知力:138
【スキル】
・氷魔法(上級)→(最上級)
・絶対零度(初級)←NEW
レベルが55に到達した。魔力が180まで伸びている。
そして、氷魔法が最上級に到達し、新たな奥義「絶対零度」を習得した。
炎獄の火山、完全攻略。
俺はアイテムボックスに巨人の破片と魔石を収納し、出口へ向かった。
飛行で一気に地上へ戻る。
外の空気が心地よい。
俺はギルドに戻り、報告する。
金貨三百枚の報酬と、さらに大量の炎魔石の追加報酬。
合計で金貨五百枚以上を稼いだ。
そして、リリアが驚きの表情で俺を見る。
「レオンさん……本当に炎の巨人を倒したんですか!?」
「ああ。証拠はこれだ」
俺は伝説級の魔石を見せる。
リリアが目を丸くする。
「これは……伝説級の魔石!数百年に一度しか手に入らないと言われる……」
「そうなのか。じゃあ、これも売却できるか?」
「え、ええと……これは金貨千枚以上の価値があります!」
俺は少し考えた。
だが、今は金には困っていない。
「じゃあ、半分だけ売却して、残りは保管しておいてくれ。いつか使うかもしれない」
「分かりました!」
俺は報酬を受け取り、次の依頼を考える。
もう、この街で受けられるBランクのダンジョンは全てクリアした。
次は……Aランクのダンジョンか。
あるいは、別の街に行くか。
俺の冒険は、まだまだ続く。
力のない正義は戯言だ。正義無き力はただの暴力だ。
俺は両方を持つ者として、この世界で戦い続ける。




