第二十二章 Bランクへの昇格
炎獄の火山から戻った翌日、俺は再びギルドを訪れた。
リリアが笑顔で迎えてくれる。
「レオンさん、おはようございます!」
「ああ、おはよう。リリア、一つ聞きたいんだが」
「はい、何でしょう?」
「そういえば、この町の名前を聞いたことがなかった。何という町なんだ?」
リリアが少し驚いた表情を浮かべる。
「あら、お話ししていませんでしたか?ここはグランヴェル。王国の北部に位置する交易都市です」
「グランヴェル……」
「そうです。北の山脈と南の平原を結ぶ要所で、冒険者も多く集まる町なんですよ」
「なるほど。ありがとう」
俺は受付カウンターに近づいた。
「リリア、もう一つ聞きたい。Bランクへの昇格試験を受けたい」
リリアが目を丸くする。
「Bランクの試験ですか!?でも、レオンさんはまだCランクに昇格してから……」
「二週間ほどだな。だが、俺は氷結の洞窟と炎獄の火山をクリアした。どちらもBランク推奨のダンジョンだ」
「それは……確かにそうですが……」
リリアは少し困った表情を浮かべる。
「Bランクの試験は、Cランクの試験よりもはるかに厳しいんです。実技試験では、ギルドマスターではなく、現役のBランク冒険者と模擬戦闘を行います」
「問題ない」
「本当に大丈夫ですか?」
「ああ。俺には実力がある」
リリアは少し考えた後、頷いた。
「分かりました。では、試験の申請をします。明日の午後、試験会場にお越しください」
「ありがとう」
翌日の午後、俺はギルドの訓練場に来ていた。
広大な屋外の訓練場。観客席には多くの冒険者たちが集まっている。
そして、中央にギルドマスターと一人の男が立っている。
ギルドマスターが口を開く。
「レオン、よく来た。これがBランクへの昇格試験だ」
ギルドマスターの隣に立つ男を見る。
三十代半ば。筋骨隆々とした体格で、大剣を背負っている。
「紹介しよう。彼はガレス。Bランク冒険者で、剣術と体術の達人だ」
ガレスが俺を見る。鋭い眼光。
「レオンか。噂は聞いている。短期間で多くのダンジョンをクリアしたと」
「ああ」
「だが、ダンジョンと対人戦は違う。魔物は単純だが、人間は策を使う」
「分かっている」
ガレスが大剣を抜く。
「では、始めよう。ルールは単純だ。相手を戦闘不能にするか、降参させれば勝ちだ。ただし、殺しはなしだ」
「了解」
ギルドマスターが合図を出す。
「試験、開始!」
ガレスが一気に距離を詰めてくる。
速い。Cランクの盗賊たちとは比べ物にならない速度だ。
大剣が横薙ぎに振られる。
俺は瞬間移動で回避する。
「瞬間移動か!だが……」
ガレスが即座に方向転換し、俺の背後に回り込む。
速い。予測していた。
俺は咄嗟にアイスウォールを展開する。
大剣が氷の壁に叩きつけられ、壁が砕ける。
だが、その隙に俺は距離を取る。
「なるほど。氷魔法使いか」
ガレスが笑う。
「面白い。では、こちらも本気で行くぞ」
ガレスの体が赤く光る。
闘気だ。体を強化する技術。
ガレスが再び突進してくる。さっきよりも速い。
俺は飛行で上空に逃げる。
「空を飛ぶのか!だが……」
ガレスが地面を蹴り、跳躍する。
十メートル以上の高さまで一気に跳び上がり、俺に大剣を振り下ろす。
俺は瞬間移動で回避し、地上に戻る。
そして、反撃する。
「アイススピア!」
氷の槍が連続でガレスに向かって飛ぶ。
ガレスが大剣で次々と叩き落とす。
「この程度か?」
「いや、これからだ」
俺は念動力でガレスの足元の地面を操作する。
地面が隆起し、ガレスのバランスが崩れる。
その瞬間、俺はアイスバインドを発動する。
氷の鎖がガレスの足を拘束する。
「くっ……!」
ガレスが闘気で氷の鎖を破壊しようとする。
だが、俺はその隙を逃さない。
「アイスストーム!」
氷の嵐がガレスを包み込む。
ガレスの動きが鈍る。
そして、俺はトドメの一撃を放つ。
「アイススピア・最大出力!」
巨大な氷の槍がガレスの胸元で止まる。
当てれば、確実にダメージを与える位置だ。
ガレスが動きを止める。
「……参った。俺の負けだ」
ギルドマスターが合図を出す。
「試験終了!勝者、レオン!」
観客席から歓声が上がる。
ガレスが笑顔で手を差し出す。
「強いな。完敗だ」
「ありがとうございます」
俺は握手を返す。
ギルドマスターが近づいてくる。
「レオン、合格だ。今日からお前はBランク冒険者だ」
ギルドマスターが新しいギルドカードを渡してくれる。
カードには「Bランク」の文字が刻まれている。
「おめでとう。これでAランクのダンジョンにも挑戦できる」
「ありがとうございます」
俺は新しいギルドカードを受け取った。
Bランク冒険者。
さらに強力な魔物と戦える。
さらに強くなれる。
そして、さらに多くの人を守れる。
力のない正義は戯言だ。正義無き力はただの暴力だ。
俺は両方を持つ者として、この世界で戦い続ける。




