3 どんな世界でしょうか、という簡単な説明の回
この世界には、目に見える「楽園」がある。
遠い、遠い遠い、遠い遠い遠い先だが、確かに目に映る「楽園」を目指す者は、確かに存在する。
しかし、誰もが道半ばに倒れた、そう言われている。
少なくとも、楽園に到達して戻ってきた者を、誰も知らなかった。
世界は、階段のような構造をしている。
人の住む世界は、楽園から遠く、気候の穏やかな踊り場のような世界である。
たまに楽園から吹く、強い魔力を含んだ風の恩恵を受けて、細々と言うには手広く、しかし手の届く範囲で、営みを繰り広げている。
複数の大陸は、山脈や海にて分断されており、大陸に点々と国家を展開しては、攻め守り滅び生まれ育まれる。
小さな循環を繰り返す。
人の手に余るほど雄大な面積、そのどこから北東の方角を眺めても、人の世界の上の世界が目に映る。
だからこそ、人は思う。
世界は階段のような構造をしている、と。
人の住んでいる世界は、歩けども歩けども端に辿り着かないほどに遠大である。
それでも辿り着かんと北端、東端を目指して辿り着くのは、人が住む世界よりも、物理的に上の世界。
見果てぬほどの広さを持つ大森林が広がっている。
木々が生い茂る様を、人の世界どこからでも目視できるという時点で、森林を構成する木々、その一本一本がどれほどの大木なのか。
数千人が手を伸ばして縦に並ぼうと、その頂点に遠く及ばない、という計算結果を記した学者もいたほどである。
この大森林は、楽園からの魔力風を緩和する緩衝材としての役割を持ち、人の世界では「救いの大森林」と呼ばれている。
救いの大森林を超えた先、人の目には一筋の光にしか見えない遠い遠い先。
光の源を目視できる者はおらず、しかし、明確に恩恵を運ぶ風の発生源。
それを人は「楽園」と呼んだ。
他方、人の世界よりも、物理的に下が存在する。
暗く淀んだ瘴気が立ち上る、北西の方角。
楽園と異なり、世界そのものが見えるわけではない。
しかし、視界を遮る瘴気の上がる世界が確かに存在する。
これを人は、「苦界」と呼んだ。
人の世界の北西端と苦界は隣接しており、人と苦界の住人は、もう何度目になるかも分からない戦いを繰り広げていた。
苦界の住人は、より穏やかで住み良い世界を目指して。
人の世界の住人は、現在の穏やかな世界を手放さないように。
苦界は、人の世界にて使い込まれた僅かな魔力風と、楽園から溢れ落ちた純度の高い魔力の暴風が齎す恩恵を糧に、厳しい中を過ごしている。
人の世界に近い南端が最も争いが顕著であり、逆に、北端に近づくほど、楽園の入口に近い位置となるため、息をするのも苦難を伴う。
極めて僅かな生物しか棲息できない地域となっていた。
その奥に何があるのか、知る者は少ない。
ただ、世界樹は、苦界から生えていることは確認されていた。
「世界樹」。
苦界から楽園までを貫く、余りにも大きな幹。
それがどのようなものかを知らないが、余りにも巨大。余りにも雄大。
根も葉も見えない絶大な樹。
故に、世界と同等の樹木。世界樹と呼ばれた。
そして、また、世界樹が実りをつける。
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どうぞ、ごひいきに。




