~ 1話 ~
魔法を使う。
それが生活の主となっているアルフィレイン国。
この国の城下町でマニ・ロヴェスタは生まれた。
極々平凡な魔法使いである父と、極々平凡な魔女である母との間に生まれた女の子。
桜色の柔らかな髪の毛。
たれ目ではあるが、星の形が小さく見える翡翠色の瞳。
父も母もマニを愛情いっぱい注いで育てたし、マニも父と母が大好きだった、
極々平凡な父母の間に生まれた女の子は、極々平凡な魔女になるはずであった。
マニが魔法を使えるような歳になった頃、それはわかった。
母がマニに初めての魔法を教えた時であった。
言葉をきちんと発することの出来るまで大きくなったマニに母は、蝋燭に火を灯す呪文をマニに教え、見本を見せた。
魔法のスティックを蝋燭に向けて呪文を唱える。
小さな火が蝋燭に灯る。
基本中の基本とも言える魔法であったが、マニは初めて教わる魔法の言葉に心を高鳴らせた。
「やってみるね!」
笑顔で母のスティックを借りて、母の見本通りに呪文を唱えた。
瞬時に大きな炎がスティックから出る。蝋燭であったものは一瞬で溶けた蝋に戻っていた。
予想以上に大きな炎が出た為、母とマニの前髪はチリチリに焦げてしまった。
二人は顔を見合わせると、突然の出来事に初めは無言であったが、マニが「へへっ」と笑うと、母は大笑いした。
呪文はきちんと言えていたし、間違えてはいなかった。
極々平凡な父と極々平凡な母の間に生まれた極々平凡になるはずの女の子は、魔力が人一倍、それ以上に強い女の子であった。




