九: 聖者 アンドラステ in ヤクタ 04
――ヤクタ 屋上
淡灰色の光粒が雪のように舞い散っている。
真下に広がるは水晶のハイロリア、それを見下ろせる塔の屋上の中央、天へと伸びた鎖はおぼろげな光を纏っていた。
空を見上げれば輝く水のヴェール。地上で見るよりもずっと近く、しかし相変わらず不可思議な揺らぎを灯して向こうを映さない。
最上部とはいえ、数百万の蔵書を誇る塔だ。屋上もそこそこの広さがあり、激しい動きをしても下に落ちる心配は少ないだろう。だが魔法使いのように空は飛べないので、そこは気を付けて戦わなければならない。
「アンドラステ様」
階段を上がって来た従者が固い声で主を呼び、鎖へと鋭い視線を向けた。
錆びた鉄の鎖の下には、既に『魔女』が待っていた。
「…………」
肩口まで伸ばした褐色の髪が顔を覆い、表情は判然としない。身に付けたドレスは春の日向のような薄黄色。
顔を俯けたまま身動みじろぎひとつしない女は、床から生える半透明な蔦に鎖の高い位置で全身を絡め取られている。それは虜囚を封じ込めているようであり、哀れな生贄のなれの果てのようでもあった。
「……」
『聖者』の青年が黙って手袋に覆われた手を掲げる。従者もそれに従って青の杖を構え、小さく詠唱を開始した。
『ここでは月のことばのみ許される』
聖者の低い詠唱と共に巨大な聖法陣が現れ、屋上の床を白い光に染め上げる。
恐らくこれだけでは魔女の力を完全には封じられないだろうが、多少はましになるはずだ。
主の意を汲んだ従者がその詠唱を引きとり、聖法陣を固定させる。補助はユスティーファに一任した。対王女戦では王女の力の巨大さに自分が聖法を担ったが、魔女に対しては本当に補助程度にしかならないからだ。優れた魔法は聖法を打ち破る。時に自分の有利になるように変化させることすら出来る。ユスティーファは主が前に出ることを渋ったが、アンドラステの有無を言わさぬ声音に引き下がった。
魔女の項垂れた頭がゆっくりと持ち上がり、青褪めた顔が露わになる。
日の光を浴びた湖のような蒼の目。すっきりとした顔立ちは美しく、とても三十代とは思えない程だが、その表情は怖気を誘うほどに空虚だった。
『すべては哀しみに沈む。ならば初めから何もなければ良いのだ』
その鈴を鳴らすような声に引き寄せられ――数十を越える光の異形が、メリルルゥを守るように出現した。
それを見、即座に水の城から斧槍を喚び出す。
一見すれば水晶で作られた像のような姿。可愛らしい動物にも似た異形を、近くにいる者から試しに薙ぎ払ってみれば、千切れた欠片からその倍の数の異形が生まれた。流石にぎょっと目を見開く。
「うわ何これ」
「分裂と再生の性質を込めているのでしょうか……? 申し訳ありません、わたくしも努力してはいるのですが……」
禁魔法領域は一応作動している。その証に生まれた異形の幾つかが掻き消えるが、焼け石に水といった風だ。
「うーん、流石は魔女というべきなのか」
「やはり役割を交代しましょう。武術も聖法も貴方様の方が優れていらっしゃいます。ならば禁魔法領域が強く求められる今は、わたくしが前に出た方が」
「どいて」
不意に、少年のような高い声が割り込んできた。
同時に金色の光が溢れるように弾け、白の聖法陣を上書きしていく。上書きされた陣はやや形を変え、メリルルゥの周辺を除いた小規模な物へと変質した。
「陣を展開し続けて。わたしが補強しよう。貴方は召喚されたものを片付けて」
肩で揺れる黒髪、風にはためく黒のワンピース。禁魔法領域外で魔法を発動させた魔女は、小柄ながらも恐ろしいまでの存在感を発しながら、静かにアンドラステの横に並んだ。
「なっ……何のつもりか! 一体……!」
「黙って。今は彼女を倒すことだけに専念しよう。メリルルゥはわたしが相手する。それで良いよね?」
最早確定事項であるかのような物言いに、アンドラステは苦笑して頷いた。後ろでユスティーファが絶句するのが感じられるが、先程の日記が効いているのか、何も言うことなく聖法を維持する作業に戻った。ちらりと肩越しに従者へ視線を投げ、申し訳程度に取り繕う。自分が魔女を相手取るつもりだったが、この少女が決意を固めたならそれに従おう。メリルルゥとの因縁は、少女の方が深いはずだから。
「わたしは、魔女――……」
リースが右手をふるう。光が生まれる。メリルルゥが透明な蔦の中もがく。数本だけ千切れた蔦が意志持つかのように揺らめく。
「――希望の、魔女だ」
――悲哀の魔女 メリルルゥ
縦横無尽に駆ける光の異形は、ともすれば神の御使いのようにも見える。アクリアルは水を信仰する国であり、形ある神を崇めなかった。全てのものの源は水であるとし、だからこそ深淵を”水櫃”と名付け、人になぞらえず、ただ”水”とだけ呼んだ。名もなき心の支え。そのような信仰の形は、太陽の神の国から来たメリルルゥには大層珍しかっただろう。
「……っふ」
魔女が聖法陣を上書きしたからか、斬った異形が倍増することはなくなった。しかしメリルルゥの手によって間断なく召喚はされ続け、アンドラステの斧槍は休む暇がない。
猫のような異形の腹に切っ先を鋭く突き入れ、腰に力を入れて柄を振り回し数体まとめて薙ぎ払う。ガラ空きの背中を異形の爪が狙うが、玲瓏な詠唱と共に透明な盾が現れ弾き返した。従者に感謝する余裕もなくアンドラステは後方に跳躍。取り出した丸い玉を右手の指に挟み、前方の五体にまとめて投擲、次いで右の数体に適当に突きを入れ、前で起きた爆発を避けて右へ走った。
アンドラステが召喚異形を片付けている間に、リースは魔女と対峙していた。
「……はじめまして」
この場に似つかわしくない挨拶は風に吸い込まれ、果たしてメリルルゥまで届いたかどうか。しかしそれには頓着せず、リースは大きく両手を広げた。
『何処までも旅をしよう。わたしは決して、諦めない』
旅の果てに悲哀を見た者と、まだ旅の半ばにいる者。わたしは果たして、何を見るのか――だがやはり、それにも頓着しない。リースは光だけを追い求める。それが自分が最も恋焦がれるものだと、知っているから。
決意の文言を唱えたリースの手に、全てを弾き飛ばす金色の光が溢れる。光は帯のようにリースの周囲を波うちながら、やがて小型の剣の形に収束した。希望の光は、前へと指向する光。そして他の一切を否定する光。
『希望だけを見続ける。それ以外は全て捨てよう』
メリルルゥが蒼白な顔を歪ませる。蔦に囚われた不自由な姿勢のまま、不器用に首を動かし命令を下す。魔女の意を受けた蔦の一部が鎌首をもたげ、リースへと殺到した。
前後左右から襲撃する刃に、リースは黄金の剣を一閃した。
すると、そう大きい訳でもない剣は、文字通り削るように蔦を両断する。
「貴女の悲哀をわたしは見た。それでもわたしは諦めきれない。どんなに愚かだと言われようと」
リースとメリルルゥに直接の関係はない。けれど、初めの魔女と最も新しき魔女として、リースは彼女の苦痛を無視出来なかった。
彼女の友マイアの記憶の中――希望に溢れた美しいメリルルゥの姿。純真に人を慕う顔。だがその心は砕かれ、思い違いに打ちひしがれる。
――どうしようもない悲劇。自分の無力。そして自分はただ平和を祈るだけで、何もしてはいなかったのだと。
「わたしはまだ歩き続けたい。だから、世界に滅びてもらっては困る」
自らを苛む蔦を、自らの武器とする姿。最期は儀式の妨害の為に身命を賭した魔女へ、リースは金色の帯を揺らす優美な剣を向けた。
『どうか全ての哀しみが消えますよう。だからすべて消し去りましょう』
鈴を鳴らすような詠唱と共にメリルルゥが身を捩り、また数本の蔦が半ばから千切れる。だがその倍の数の蔦が地面から生え、更にメリルルゥの拘束を強めた。
その様に憐憫の情を抱く間もなく、リースは再び剣を振り上げた。十数本の蔦が複雑な軌道を描きながらリースを襲来する。削りきれないと判断したリースは風を操り蔦を弾いた。逸らしきれなかったものは一挙動にたち斬り、風の助力を得て飛び上がるが、透明な蔦は切れた箇所から伸び続け小さな体を追い縋った。
「だぁっ!」
空中で回転して剣にて迎撃するが、斬っても斬っても蔦の襲撃がおさまる気配はない。削り取るだけでは駄目だ、と一旦隅に着地し、両手を大きく振り上げ風の防御壁を張った。
蔦に込められている魔法は『生長』か『不断』か。『希望』の「否定の一側面」だけでは不十分だと見える。大きく手を広げながらしばし思考に沈み、リースは蔦を跳ね返す風の流れを眺めた。高い所からこちらを見下ろすメリルルゥの顔は相変わらず青褪めている。視界の左側では、こちらに敵が向かわないよう聖者が立ち回り続けていた。白金に輝く陣も健在だ。しかし聖法を手繰る聖職者の女の顔を見るに、そう長くはもたないだろう。リースは溜息を吐き出し、小さな左手を黄金の剣腹に添えた。そっと撫でるように指でなぞる。
『永久に続くものなどない。ゆえにその概念へ干渉し、あるべき姿へ戻してやろう』
日の光を閉じ込めたような金色は、指で撫でるに従い月のような青白い光へと。柄から剣先までがその色に染まったことを確認し、リースは勢いよく風の盾を爆発させた。煽りを受けて散り散りになる蔦の隙間を縫って跳躍、視界にある蔦全てを月色の剣で斬り捨てていく。今度は蔦が再生することはなく、そのまま力を失って地面へと落ちた。
『無は永遠だ! それを信奉せずして何を信ずるのだろう!』
メリルルゥの叫ぶような詠唱が、更なる獣の異形を喚び出す。長い手足を持つ熊のような異形は、つぅと輪郭を滲ませると溶けるように大気へ消えた。
「……!」
消失した訳ではない。こちらの視界に映らないだけなのだ。
舌打ちして『波紋』の性質を喚び出すが、こちらの力を上回っているのか反応がない。はっと我に返って身を翻すが、右半身に何か固いものがめり込む感覚。小さな体をしたたかに打ち据えられたリースは、何度も転がりながら塔の端まで吹き飛ばされた。
「……っ」
痛みには慣れている。しかし間近に迫った塔の外周を見た瞬間流石に肝が冷え、暴風を巻き起こしながらリースはバネのように跳ね起きた。落ちても飛べば良いのだが、生物としての恐怖は捨てがたい。
再び『波紋』を広げるが、波はメリルルゥや聖職者らと光の異形の反応を返すだけで、熊の異形の位置は伝えない。
いや。
「?」
ひとつ不思議な物体の反応を見つけ、リースは首を傾げる。しかしすぐにこの塔にいるはずのもう一人の人間を思い出し、柔らかく口元を綻ばせた。
「……うん」
人物の動きを察し、それに合わせられるようぐっと大地を踏み締めた。数秒で張れる最大限の防御壁を張り、申し訳程度に剣を構えるが、直後硝子が割れるけたたましい音と共にリースは再度宙を舞った。霞む意識の中蔦が爆ぜるように伸びるのが見え、空中で回転しながら刃のような風を巻き起こす。だがそれによって着地準備が遅れ、リースは背中からまともに地面に叩きつけられた。
「がっ!」
斬りもらした蔦が襲来する。見えない熊の異形が手を振り上げる。しかし全ての敵がリースから離れるこの瞬間を待っていたのだろう。何者にも征されぬような力強い声が、自らの参戦を高らかに告げた。
『さぁ、燃えなさい!』
小さな魔女を貫こうとした蔦が、そして今まさに飛びかかろうとしていた異形が、紅蓮の炎に燃え上がる。『断絶』の性質が込められた炎は容易く異形たちを燃やし尽くし、代わりとばかりに焦げ跡のついた空間へ黒衣の女が降り立った。
「遅れてごめんなさい」
簡潔にそれだけ言い、魔法使いの女は颯爽と髪をかき上げる。小さなモノクルを掛け直し、不敵な頬笑みで仁王立ち。リースは小さく頷き、全身に『治癒』をかけた。
「問題ない。来てくれて助かった」
「何処で参加するのが一番効果的なのか迷ってたのよね。普通に参戦したんじゃ全く戦力にならないし。断絶の性質を持ってくるのにも手間取ったし」
あー疲れた、さぁ何処から焼こうかな。不穏な言葉を楽しそうに呟く女に苦笑しつつ、リースはゆっくりと体を起こす。おざなりな治療だが短時間動くには問題ない。それに、先程までとは闘志の種類が違った。さっきまではただ前にある障害物を蹴散らそうとする決意。今は、共に戦う存在があることに高揚する気持ち。
「どうしたの、行くわよ」
差し出された白い手を、小さなか細い手で掴み返す。
繋がった手から不器用な治癒の魔法を感じ取り、リースは戦いの中、奇妙な安堵に微笑むのだった。
――聖者
五十、五十一。
斬り捨てた異形の数を頭の片隅で数え、アンドラステは器用に立ち回り続ける。異形が減る気配は、ない。だがこうしてアンドラステが異形を相手にすることで、メリルルゥの集中を少し削ぐことが出来る。さしものメリルルゥも、異形の召喚を維持しながらあの小さな魔女に全力で相対することは出来ないだろう。
地味な役割なのは、否めないが。
「よっと」
光の異形の爪をかわし、斧槍をぐるりと振り回す。大人数を相手するのに有利だと思いこの武器を選んだが、あまり使い慣れてないため段々疲労が溜まってきた。正直あの小さな魔女に丸投げして帰りたい。しても勝ちそうだが、あの黒衣の魔法使いとユスティーファに怒られるだろう。
「……」
反応が遅れ、服を切り裂かれる回数が増える。肌まで到達した場合はすぐにユスティーファが治療してくれるが、聖法も無限ではない。体調や集中力に左右されるが、ユスティーファの場合、数百回ほどが限度だった覚えがある。禁魔法領域の維持も兼ねている今は、数十回怪我を治療出来れば良い方だろう。アンドラステも聖法を使おうと試みているが、詠唱が必要な聖法は動きながらでは難しい。
聖者として与えられた能力ならば詠唱が要らないが、あれはオンドーラ内でのみ詠唱を省くことが出来る。オンドーラから遠く離れたこの土地では、アンドラステといえど詠唱せねばならない。
「っ!」
一瞬の油断をついた異形が一斉に殺到し、ユスティーファの盾をすり抜けてアンドラステにぶつかる。身を捩って出来るだけかわすが、凄まじい衝撃にアンドラステは息を詰まらせた。不自由な姿勢で斧槍を操り、かろうじて爪の攻撃を逸らすも、別の爪がとうとうアンドラステの腹を貫く。透き通った見た目とはいえ、質量は確かなものだ。だが悲鳴を上げる間もなくまた別の爪が肩を襲い、腕を切り裂き、足を嬲り、まさに一方的に蹂躙される状況となり――
『十二と零を指す針よ、すべてのはじまりを告げる刻よ! かの者の助けとなれ!』
叫ぶような詠唱が、光の奔流となって爆発した。
『わたしは祈ります、かの者の奇跡を! 呼びかけます、すべての源たる水櫃へ!』
爆流のような光を受けた瞬間、何かが明確に変わったのを感じた。視界や体に変化はない。だが『逃れようと動くアンドラステの前で偶然敵同士がぶつかり合い』、『アンドラステが適当に跳躍したのと別方向へ異形が攻撃を繰り出し』、『闇雲に振り回した斧槍が、的確に異形らを切り裂いた』。
「アンドラステ様! ご無事ですか!」
詠唱でない従者の叫びを聞き、アンドラステは大きく頷き返す。思った通り、ユスティーファは膝をつき肩で息をしていた。床に広がる聖法陣がかちかちと明滅を繰り返す。
十二の聖法の内の最後、ユスティーファの切り札。簡単に言えば『味方の幸運を上げる』聖法は、彼女の体力を著しく削る。
幸いその聖法の効果時間内にあるため、少しだけ余裕があった。アンドラステは素早く手袋を嵌めた右手を胸に当て、早口で詠唱を繰り返す。完全にとは言えないが、止血程度にはなったようだ。ぼろぼろになり血塗れになった服を見下ろし、代えの服はあったっけ、とアンドラステは顔を顰めた。
それよりも問題はユスティーファだ。彼女は必死に歯を食い縛っているが、聖法陣は今にも消えそうな弱々しい光になってしまっている。補強しようと口を開きかけるが、再び集まってきた異形に舌打ちした。数が多い、間に合わない。
やはりユスティーファを抱えて逃げるか、と思いかけた瞬間。
「……あ」
硝子が割れるような音を立て、ゆっくりと鎖が崩れる。
黄金の光柱が天を貫き、輝く炎が煌々と塔を照らし出す。
遅れて魔女のすすり泣くような悲鳴が響き、アンドラステは戦いの終わりを悟った。
――希望の魔女
「……さようなら」
蔦に縛られた姿勢のまま炎に焼かれる姿を見上げ、リースは何とも言えない表情で呟いた。リースが赤子の頃処刑されかかった時も、その方法は火刑だったという。通常聖職者が魔女を狩る時は、光で焼くのが常套手段だ。そうして魔の因子までも焼きつくすのだと。しかし母親の一族ごと殺そうとしたため、魔への反発として顕現する聖法は使えなかったのだろう。母親は普通の人間だった。
メリルルゥは喉を逸らし空を見たまま、ずっと耳を覆いたくなるようなすすり泣きを漏らしている。その細い体は魔法使いの放った炎に染め上がっていた。実体がないためか肉の焼ける匂いはせず、だがはらはらと火の粉が落ちる度にメリルルゥの体は徐々に体積を減らしていっていた。
足が火の粉となり、腕が火の粉となり。落ちた火の粉は風に舞って淡い光に変わった。そうしてメリルルゥは小さな光へと解けていく。
『すべては哀しみに沈む』という自身の言葉を体現するかのように、メリルルゥはひたすらすすり泣きながら見えない空を見上げ続けている。
「それは否定しない。……けど――」
隣に立つ魔法使いを仰ぎ見る。女はきょとんとした顔をした後、彼女らしい不敵な微笑みを見せた。
――人に過度の期待をして、失望した後責め立てるつもりはない。けれど、少しは信じることをしても良いのではないかと思った。そうして、顔を上げて歩み続けても良いのではないかと思った……。
わたしの希望が成就する時は来るのだろうか。
だれかが言っていた。希望とは、諦めにも等しいものだと。希望は行動へ繋がらないのだと。
けれどわたしは希望を持ち続ける。それは生きる糧なのだ。眩い光なのだ。闇に生き続けた少女は光を恋しがる。それが悲惨なことだとしても、わたしは希望が成就するまで歩き続ける。
だからわたしは希望の魔女。人に希望を視る、とても馬鹿な魔女。




