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ブラックおっさん、メンタルだけで生き延びる!?  作者: でこぽん
第一章 社畜、世界から切り離される

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第六話 導入提案

天井を見つめていると、ふと、気が付いた。

そうだ。コピー用紙以外にも必要なものがあるじゃないか!


まず、付箋ふせん

確認が必要な内容を書き込めるよう、大きめの物を大量に用意しないと。

そうすれば、ネットがつながった時に、一目見れば確認内容が把握できる。


次に…



竹本がそんなことを考えている頃、白石は竹本のことを考えていたーー。


竹本さん…。ほんとうに大丈夫なのかな…。

ドラッグストアで、痛み止めを手に取りながら、さっきの震えていた様子を思い出す。


腕が動かないって言っていたし、包帯とか必要かな。あとは、消毒液と軟膏と…。


ふと、湿布薬が目に入った。

「…ふふふ。湿布って、なんだか竹本さんっぽい」

つい頬を緩めながら口走ってしまう。


とりあえず、これぐらいでいいか。

早く戻らないと、また、誰か来ても嫌だしね。


湿布薬も手に取り、小走りでドラッグストアを後にした。




ーーパタパタパタッ

誰かが走って来る音がする。

白石さんだとは思うが、確信が持てるまではこのまま、座っておくか。


「…竹本さーん?」

やはり白石さんだったようだ。


「ここです」

そう言いながら立ち上がる。


「あ、そこに居たんですね!色々持ってきたんで、手当てしますよ!」

「ありがとうございます。

ちなみに、事務用品を取り扱っているお店ってありましたか?」

「さっきから何を言ってるんですか?事務用品、事務用品って、今必要じゃないですよね!」

「え?何を言ってるんですか?物流が止まって間もない今だからこそ、必要な物を集めておかないといけませんよね?」

「そうですよ?だから、食料を集めてるんじゃないですか」


ーーふむ。

なぜか、少し噛み合わないぞ。

食料は、たしかに必要だ。

ただ、食料があるだけでは、仕事にならない。そう、事務用品がなければ!


そうか!もしかして…

「あの、白石さんって学生ですか?」


腕に添え木をあて、包帯を巻いてくれている白石さんに聞いてみた。

「急になんですか?大学生ですけど…」


やはり学生だったか。

つまり、まだ事務用品の必要性を実感する前。だから、話が噛み合わないんだ。


そうだ!会計システムの導入を社内提案した時を思い出すんだ!


相手には、必ずしも必要がない。しかし、導入することで、いかに業務の効率化がはかれるか、メリットを明確にするのが一番。


まずは、提案を始めるタイミングが重要だな。突拍子もない提案だと思われない、最高のタイミングを見計らって…畳みかける!


そう考え込んでいる間に、手当てが終わったようだ。思ったより手慣れていた。

「はい。できました。骨が折れてるかもしれなかったので、きつめに固定したんですけど、痛くないですか?」

「痛くないです。固定してもらったおかげで、指先が動かしやすくなりました。ありがとうございます。タイピング程度なら、これで業務に支障はなさそうです。助かりました」

「タイピングって…。

でも、助けてもらったのは、わたしの方なので、お礼はいいですよ。じゃ、食料、集めてしまいますか」


よし。まずは、相手の希望を叶える。

これで、こちらの意見に耳を傾けてくれる可能性がグッと上がるはず。

「そうですね」


率先して食料を集める。

カップ麺もこの際、好き嫌いは言わずに持てるだけ。

「これぐらいですかね?」


買い物カゴに集めた食料を見せる。


「え?何でカゴに入れてるんですか?鞄、わたしてましたよね?」

「はい。支払いが済んだらこの鞄に入れますね!」

「竹本さん…この状況で、支払いとか…」

「あ!支払いは、僕に任せてくださいね!学生さんに払わせるわけにはいかないので!」


何か言いたげな表情をする白石さんに気付かず、セルフレジに向かう。


よし。ここは、現金可だな。


カゴを台に置き、レジの機械を挟んだ反対側に鞄を広げる。

…ピッピッピッ


バーコードをスキャンしながら、袋詰めをしていく。


ーーくそう…

左腕が使えれば、もっと効率よく作業できたのに。

白石さんを待たせて、もし、機嫌が悪くなったら、提案のタイミングが遠のくじゃないか。


なにか…

なにか、この状態を打破する案はないのか…


そうだっ!


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