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ブラックおっさん、メンタルだけで生き延びる!?  作者: でこぽん
第一章 社畜、世界から切り離される

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第五話 コピー用紙

「まず、わたしに傷の手当てをさせてください。

わたしのせいで怪我をさせてしまったのに、そのまま解散とかありえないです。


その次に…

さっきの状況を見たうえで、わたしを1人にするんですか?

食料抱えた女なんて、ネギを背負ったカモですよ!」


たしかにその通りだ…。

しかし、帰らねばならない場所がある。

そう、俺には月末処理が待っているーー


あ…ダメだ。

寝不足の深夜ハイのようになっている。

もしかして、これがアドレナリンの力なのかーー。


…っと、その前に白石さんをどうするか。

正直、早く仕事に戻りたい。

ネットが復活したときに、オフラインでできる業務は終わっている状態にしておきたい。


でも、ここで白石さんを1人置いていくのは、さすがに人道的ではない気がする。


仕方ないーーー

「わかりました…。じゃ、集めるものは集めて、一緒に行きましょうか」

「はい!よろしくお願いします!」


覚悟を決めた。

俺が、逮捕されたとしても、死にはしない。

だが、白石さんがもし襲われたら、死ぬ可能性がゼロではない。


そう自分に言い聞かせながら、食料探しに加わる。

「案外、缶詰が少ないですね…。"あんこ”ぐらいしか残ってなさそうですね…」

「そうですよ。外からも入れないみたいで、保存ができて、そのまま食べれる物って言ったら缶詰一択になるじゃないですか」

「なるほど…。中から出られないだけじゃなくて、外からも入れないんですね。ということは、もうこの辺りの地域が隔離されているってこと…か…」


知りたくない事実を知ってしまった。

外からも物資が持ち込めないとすると……


ーーコピー用紙の残数が怪しい。

領収書の申請ミスがあれば、少なくとも1件あたり2枚以上必要だ。

社員一人あたり2件の申請ミスをしているとして、社員数が150人超…


単純計算で、最低600枚の用紙が必要だ。経費精算だけでこの枚数だ。

月末月初の処理は、経費精算だけじゃないというのに。


ガタガタガタガターーー

「え!?竹本さんどうしたんですか!?顔!真っ青で震えてますよ!

そんなに怪我が痛みますか!?」


いや、待てよ…。

外部と連絡が取れないせいで、内容が怪しい領収書の確認もできないんだった。


ということは…


さらに倍以上の用紙が必要になるじゃないか!


「竹本さん!竹本さん!!わたし、近くのドラッグストアで痛み止め探してきますから!食料見張っててください!」

そう言って立ち上がった白石さんの左手首を掴んだ。


ーーガシッ


「きゃっ!竹本さん!?どうしたんですか?」

「白石さん…。

一つ、重要なことを教えてくれませんか…。

この辺りで、事務用品を取り扱っている店を知りませんか?」


「え?事務用品ですか?って、怪我!怪我は大丈夫なんですか!?」

「大丈夫です。問題ありません。左腕が動かないだけで、右腕があれば処理速度は落ちますが、業務はできるので」

「いや、ほんとに何を言ってるんですか!?左腕、動かないなら、全然大丈夫じゃないじゃないですか!

もう!竹本さんはここで、じっと食料見張っててください!ドラッグストア行ってきますから!」

そう言って、小走りで去っていく白石さんの背中を見つめる。


一回り以上、年下の子に怒られてしまった。

それに、事務用品の店のことも聞けずじまいだ…。


コンビニの床に座り込み、天井を見上げる。

脇には、預かった食料。


……コピー用紙。

あと何箱残っていただろうかーー。


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