第四話 締め作業の期日
「2日ぐらい前から、特定の範囲から出られなくなってるんですけど…それも知らないんですか?」
「すみません…。3日ほど、会社から出ずに仕事をしていたもので…。
あ、もしかして、ネットがつながらないのってその影響ですか!?」
「そうですよ。外部との通信手段もなくて、完全に隔離されちゃってるんです」
状況は、思ったより深刻だ。
外部との通信ができないとなると…
オフラインでできる業務しか進められないじゃないか。
しかも、電話もつながらないと不備のないよう確認すらできない。
どうしたらいいんだ…。
締め作業の期日が迫っているのに…。
目の前が真っ暗になっていく…。
「…さん!竹本さん!!聞いてます!?」
「あ…ああ、申し訳ない…少し考え込んでしまってました」
白石さんが呼ぶ声で現実に引き戻された。
「だーかーらー!
とりあえず、食料と怪我の手当てに使えるものを集めて移動しましょ!」
「そ、そうだね」
彼女の勢いに押され、とりあえずコンビニに入った。
やっぱりここも荒れてるな…。
あ…もしかして…
「白石さん…もしかして、コンビニが荒れてるのとか、店員さんがいないのも、その出られないっていうのと関係があるんですか?」
「え!?逆にこの状態を見て気付かなかったんですか!?」
「い…いや…。ほら。
最近流行りの“エモい”ってことなのかなと…。店員さんは、いきすぎた人件費削減と思ってまして…」
流行りじゃなかったのか…。
それなら、最初の店の商品をもう少し並べ直してあげればよかった。
先ほどの自分の行動が悔やまれる。
「…っふふ。竹本さんって、もう、ほんと何もかもが変わってますね。
あ、あと、わたしには敬語、いらないですよ!助けてもらったし、わたしの方が年下ですし!」
「あ…そうだね。ただ、最近、タメ口で話す機会が少なかったんで、ちょっと慣れるまで時間をもらってもいいかな?」
そう言えば、最後に会社関係者以外と話したのっていつだったかな…。
もう遠い記憶だ。
「わかりました!じゃ早速、食料から集めましょうか」
白石さんは、テキパキと保存が効きそうな食料を探し始めた。
「竹本さんのおかげで守れた食料が、缶詰めメインで集めたものなんですけど、このコンビニは…。
あ!レトルトのお米が残ってる!2人分必要ですし、持てるだけ集めましょうか!」
「2人分……?」
聞き間違いだろうか?
「そうですよ!わたしと竹本さんの2人分の食料です!」
いやいやいやいや…
俺みたいな見た目のやつが、こんな若い女の子と一緒にいたら、怪しすぎる。
最悪、通報からの…逮捕…?
「わたしは大丈夫ですよ。
また会社に戻って仕事をするだけですし、カップ麺がいくつかあれば充分です」
「え?もしかして、このまま解散とか考えてませんか?」




