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ブラックおっさん、メンタルだけで生き延びる!?  作者: でこぽん
第二章 社畜、未知との遭遇を味わう

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第四十一話 新規検討事項

会社を出発しドームの端に向かって歩き始める。

もちろんポケットにカウンターを忍ばせて。


カチカチカチカチーー


なるべく歩幅が一定になるよう、細心の注意をはらいながら。


「黒川さん。水城くんへのさっきの言い方は、さすがにどうかと思います」


前を歩いている白石さんが、黒川くんに説教を始めた。


「いくら話し方が気になるからって、“黙ってろ”は無いんじゃないですか」


「いや、男同士だとそれぐらい言うっすよ。

ね!竹本さん!」


急にこちらを振り返り、話を振ってくる。

だが、共感はできない内容かつ、いまは忙しいため聞こえないことにする。


「竹本さんを巻き込んだって無駄ですよ。

集中している竹本さんは、こちらの声が聞こえないので」


このところ、白石さんが俺に対して少し失礼なことが増えてきたが、その通りだ。


「わかったっすよ」

「ほんとにわかってますか!?」


「…次から気をつけます」


…。

黒川くん、普通に敬語使うこともできるんじゃないか。


黒川くんへの新たな疑問が出てきたが、そろそろドームの端へ着きそうだ。




ーー「…2,975歩だ」

ドームの端には着いた。


「前の時も、3,000歩ぐらいじゃなかったっすか?」

「違います…。3,125歩です。150歩…つまり、120mもドームの端が近づいてきています…」


カウンターを持つ右手が震える。


「やっぱり、縮んでるんですね。このドーム」

そう言いながら、白石さんが真剣な表情でドームに触れる。


「やっとシャワーが浴びれるようになったっすけど、そのうち、あのジムもドームの外になるってことっすね」


黒川くんが、気だるそうに頭をガシガシとかいている。


「それだけじゃないと思いますよ」

そう言いながら、ポケットからあるものを取り出す。


「え!小さくてちょっと可愛い~」


そう、持ち運びに便利なミニサイズのそろばんだ!

こんなこともあろうかと、持ってきておいた。


「4日で120m縮んでいるということは、1日あたり、30mずつ縮んでいるということです…」

そろばんを弾きながら、話を続ける。


「残り91日の現時点で、会社からドームの端まで、2,975歩。僕の歩幅が80cmとして、2,380m…。一日30mずつ縮むとすると…」


そろばんを弾き終わり、出た数を確認する。

…やはりそうか。


「79日後には、僕の会社もドームの外になります…」


そろばんから視線を上げ、2人を見ると固まってしまっている。

さっきまで、俺のそろばんを可愛いと言っていたことが嘘のようだ。


「…つまり、最後の12日間は、会社の外で乗り切らないといけないってことですね」


白石さんがためらいながら言葉を発する。


「それ、やばくないっすか…」


「そうですね。ただ、上を見てくれませんか?」


俺が指差した方向を、2人が見る。

その先には、上層階がドームの外になっているビルがあった。


「え…。つまり、もっと早くドームの外になるってことですか…」


ドームの傾斜角度はわからないが、確実に上に行くほど直径は狭くなっている。


「そういうことです。

最後の2週間と考えていた方がよいと思います…」


「まじっすか…」


やっとドームの中での生活に少しは慣れてきたタイミングだったのもあり、2人のショックは大きいようだ。


ショック状態の2人と外にずっといるのは、少し危険と感じ、会社へ帰るよう促し歩きだした。


…70日で業務マニュアルを完成させておくことにしよう。


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