第三十七話 入館手続き
リサイクルショップから少し南へ移動し、駅近くに来た。
ジムといえば、やっぱり駅前だ。
通勤には使わない、会社の最寄駅以外となると、案外知らない店が多いんだなと改めて感じた。
駅付近を散策していると、コンビニの2階がジムになっている建物を見つけた。
「ありましたね!
会社からは少し遠いですけど、歩けないことはない距離ですね!」
「そうっすね。よかったっす。
じゃ、水城を迎えにいくっすか」
「お、呼び方変えたんですね。さすがに“蒼き”は呼ばないんですね」
俺の返事に、黒川くんは目をそらした。
白石さんからの話を受け、少しは態度を改めてくれたようで安心した。
「ほんとですよ!
子ども相手にきつい態度をとって、大人げなかったですよね」
「いや、それは、あいつが変な話し方を…」
「ほら!そうやって、すぐあいつ呼ばわりして!」
白石さんの言葉に、黒川くんは口ごもった。
この2人、ここ最近とくに仲がよくなってきた気がする。
「白石さん、ジムの場所を地図に残してもらえますか?
それができ次第、いちど戻りますか」
そう締め括り、会社へ歩き始めた。
ーー帰りは20分ほどで戻ることができた。
「み…蒼きく~ん。
ただいま戻りました~」
急な物音で驚かせないよう、声を掛けながら戻る。
ガサゴソと、執務室の奥から水城くんが出てきた。
手にはドライバーを持っている。
「ただいま戻りました。
蒼きくん、ドライバーを持ってなにをしてたんですか?」
「これは…些か、な…。
それよりも問おう―湯浴みの聖域は、見つかったのか?」
水城くんが出てきた場所へ様子を見に行く。
会社の備品などが壊された形跡はないようで、胸をなでおろす。
「ジムがあったよ。
ほら、着れそうな服も見つけたし、シャワーを浴びて着替えよう」
「うむ…そこまで言うのなら、仕方あるまい。
この身、覚悟を決めよう。」
「シャワー浴びに行くだけで、どんな覚悟がいるんだよ」
黒川くんのツッコミの勢いが少し緩和されているようで、一安心だ。
そうして、俺たちはまた、ジムへ向かって歩き出した。
ーージム前に着いた。
道中、人やロボットに出くわすこともなく、少し気が緩んでしまいそうだ。
俺を先頭に、自動ドアを開け、中へ進んでいく。
2階へ上がり、ジムのドアを押し開いた。
ちょうどそこへ、施設内の巡回・案内ロボットがやってきた。
あっ…。
嫌な予感がし、咄嗟に後ろのドアを閉め、白石さん達が入ってこられないようにする。
ピー!ピー!
『人を感知!人を感知!』
案の定、大きな警報音が鳴り響いた。
ドンドンドンッ!
「竹本さん、大丈夫っすか!!」
後ろのドアを黒川くんが叩いているようだ。
とりあえず、3人の安全は確保できた。
あとは、ここをどうするか、だ…。




