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ブラックおっさん、メンタルだけで生き延びる!?  作者: でこぽん
第二章 社畜、未知との遭遇を味わう

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33/43

第三十三話 人員追加

黒川君の視線の先には、十代半ばに見える男の子が床に座り込み、コンビニ弁当を食べていた。


「えっと…、きみ…。

そのお弁当、痛んでないかな?」

「我が腹を、そこらの凡人どもと同列に語るな。

些細な刺激で揺らぐ程度の器ではない。

我が腹には、凡人には到底理解し得ぬ「力」が宿っているのだ…」



…。

……。

初めてのタイプだ。

さて、どうすればよいのか…。


同じような話し方をした方がよいのか?

いや、こちらの質問に対しては、返事をしている。

であるならば、普通に言葉は伝わっていると…



「お腹は大丈夫ってことかな?

家族とか知り合いは、近くにいる?」


長考している間に、白石さんが話しかけていた。


「何度言わせる……。

我が腹は、問題ない。


そして――

ここには、家族もいない。知り合いもいない。

すなわち、俺を知る者は存在しない。

この地では、俺はただの一人の旅人――

誰にも縛られぬ、完全なる自由だ。」


「え~と、お腹は大丈夫そうでよかった。

ドームの中に、知り合いは居ないっていうことでよかったかな?」


白石さんには、話がすんなり伝わるようだ。

もしかすると、若者の言語なのかもしれない。


「竹本さん…。なんなんっすか?あの話し方…」

黒川君が小声で話しかけてきた。

よかった。あの言語に抵抗があるのは、俺だけではないようで安心した。


「いや…僕もよくわからなくて…。

とりあえず、白石さんに任せましょう…」


そう告げ、白石さんの方へ視線を戻す。

男の子をよく見ると、衣服は薄汚れ、膝の部分にいたっては、破れてしまっている。



「…まだ理解できぬか。

さっきから、我が答えたことを毎回復唱させおって。

“知り合いは居ない”と言ったら、居ないのだ。

それ以上でも、それ以下でもない。

我は、同じ答えを繰り返すほど安い存在ではない」


「そっか…。ちょっと待ってね」


困ったような表情を浮かべた白石さんが、こちらへ振り返り小声で話しかけてきた。


「あの子、1人みたいですし、さすがに放っておきたくないんですけど…」

そこまで言って、言葉に詰まる白石さん。

その後に続くのは、“だいぶ変わった子だからどうしましょう”だと推測される。


「そうっすね…。

ちょっと、あれな子っすけど、放っておくには子どもすぎっすね」

「黒川くん、言い方…。

放って置けないって言うところは同感なので、彼がよければ一緒に行きましょうか。

食料もここで多少は調達できそうですし」


3人で顔を見合わせ、頷いた。


「待たせてごめんね。

よかったら、わたしたちと一緒に行かない?」


「…そこまで言うなら、仕方がない。

貴様らの旅路――

この俺が、共に歩んでやろう。


俺の名は――水城(みずき)蓮(れん)。

蒼き深淵の旅人(りょじん)と呼ぶがいい。

さて…お前たちの名は?」


…。

……。

本名で呼び合うのはダメなのか…?

もしかして、ドーム内の決まりか…?

いや、俺たちは普通に呼び合っているが…。


「わたしは、白石 華音(かのん)。

こちらのスーツの人が、竹本さんで、もう1人の方が黒川さん。

それで…、蓮くんって呼ぶのはダメってことかな?」


「……何度言わせれば理解する?

“蒼き深淵の旅人”だと、そう言っているではないか。

我が二つ名を、軽々しく聞き返すな。」


「めんどくせ~」

横にいた黒川くんが、ボソッと呟いた。

その声が聞こえたのか、水城くんの表情が曇る。


「あの~。

さすがに、長いと呼びにくいので、せめて“蒼き”とか“旅人”とかはどうでしょう?」


俺の質問に、曇った表情が少し明るくなった。

「……ほう。

我に対して、その丁寧な物言い――気に入ったぞ。

特別に許そう。以後、我を好きに呼ぶがいい」


「じゃ、“蒼き”くんと呼ばせてもらうね」

「うむ。よきにはからえ」


よし。

これなら、青木くんと思えば差し障りなく呼べそうだ。


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