第三十一話 対策会議
「行ったようですね…」
人影もなくなり、近くから物音もしないことを確認し、家具の裏側から出る。
「状況が変わってしまいましたし、一度、会社に戻りませんか?」
「そうっすね」
「竹本さんの会社って、AIが入っている機械ってありました?」
「それは…大丈夫です。うちの会社、昔ながらの部分が多いので」
そう。
上層部がAIをもう少し率先して導入してくれていれば、もっと効率化できる業務があった。
ただ、今はそんな上層部に感謝だ。
店を出る際、後々、何かに使えるかもしれないと思い、壊れたお掃除ロボをカバンに詰め込んだ。
ーー会社に戻り、定例会議になりつつある話し合いを始める。
これまた定例になりつつある、白石さんに手当てをしてもらいながら。
「まず第一に、スマホの取り扱いが問題となりますね」
「そうですね。今日みたいにいきなり音が鳴ることがこれからもありそうですね」
お掃除ロボを相手にしたときにぶつけた足の手当てをしながら、白石さんが返事をする。
先日蹴られた腹は、すっかり青黒くなっていた。
「ま、しばらくは、外に行くときはスマホをここに置いてたらいいんじゃないっすか。
どうせつながらないし」
「そうですね…。
ただ、電源を切っていれば音が鳴らないのかが気になるので、僕だけしばらくは電源を切った状態で持っていてもいいでしょうか」
会社にいる間も、電源が入っていなくても問題ないのは俺ぐらいだ。
これでもし、電源を切っていても強制的に音が鳴った場合、電子機器の遠隔操作までされているということになるだろう。
その場合…。
スマホは廃棄も検討しなければならないが…。
「わたしは大丈夫ですよ。
外に出る場合も、2人のどちらかと一緒に行動したいので」
「俺もいいっすよ」
決まりのようだ。
さっそく、スマホの電源を切るために電源ボタンを押す。
待ち受けにしていた、赤ちゃんの頃の娘の写真を見つめながら、電源を切った。
待ち受け画面が少し見えてしまったのか、手当てをしてくれていた白石さんの手が止まっていた。
ーー「さ、次ですが、今後、大きめの接客ロボなどが来た場合の対処法ですね。
ペーパーウエイトでは、限界を感じてまして…」
「そうっすね。
今日は、外だったから延長コードが使えたっすけど、屋内だと延長コード振り回すのも難しいっすもんね」
接客ロボと一戦交えた黒川くんが言うと、説得力がある。
「そうですよね。
ということでですね!
昨日、ドームの端を確認しに行った際に、オフィス用品店を見つけたんです!
さっそく、明日見に行きませんか!?」
「はい、わかりましたから、座ってください」
おっと。
つい、前のめりに立ち上がってしまっていたようだ。
手当ても終盤に差し掛かっていた白石さんの邪魔をしてしまったようで、険しい表情でこちらを見ていた。
「すみません…」
ーー応接室を出た後、持ち帰ったお掃除ロボに目が行った。
お前も上からの指示に従っただけなのに、壊しちまってごめんな。
そんなことを考えながら、工具セットを探しに倉庫へ歩き出した。




