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ブラックおっさん、メンタルだけで生き延びる!?  作者: でこぽん
第二章 社畜、未知との遭遇を味わう

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30/43

第三十話 販売価格

ーーコツン。コツン。

足元に何かが当たる。


視線を落とすと、お掃除ロボがぶつかってきている。


コツン。コツン。コツン。コツン。


お掃除ロボの上部にある停止ボタンを押そうとしてみる。


ギューッ!


聞いたことのない駆動音とともに、距離を取られる。

まるで意志を持っているようだ…。


「白石さん!少し離れてください!」

ソファーの後ろから、立ち上がりながら声をかける。


またこちらへぶつかってこようとするお掃除ロボを踏もうと足を上げる。

その時、ふと疑問がよぎり動きを止める。


このロボット…。

販売価格はいくらなんだろう…。


ゴツン!


さっきよりも強い勢いでぶつかってくる。

よろついた体を支えるため、足を下ろす。


ギュー!

また距離を取られる。


ゴツンッ!

さらに勢いよくぶつかってきた。

一昨日、男に蹴られた部分が痛む。



仕方ない!状況が状況だ!お店の方、すみません!

心の中で謝罪をして、足を振り下ろす。


ドンッ…


避けられた。

最新のお掃除ロボはこんなに動きが速いのか…。



ゴンッ!ガンッ!


逃げたお掃除ロボに向かって、白石さんがペーパーウエイトを投げつける。

ペーパーウエイトが小さいからか、避けるような動作は見受けられない。


俺も一緒になって、ペーパーウエイトを投げつける。


ギ…、ギギー…。


駆動音が変わってきたタイミングを見計らい、パンチを手に持つ。

お掃除ロボの背後を取るよう移動し、動きが止まった瞬間に、パンチを振り下ろす。


ガシャンッ!


…

……


よかった。なんとか壊せたようだ。

白石さんの方を確認する。

無事のようで、こちらへ駆け寄ってくる。


「大丈夫ですか?

さっきのロボといい、このお掃除ロボといい、私たちを襲ってきてますよね…」

「そうですよね…。

あ!黒川くんはどうなりました!?」


窓の外に視線を移す。

小さく火花を散らしながら倒れている配膳ロボを背に、こちらへ歩いてくる黒川くんがいた。


かっこいい…。

男の俺でもつい惚れてしまいそうだ。


「黒川くんも無事のようですね」

「よかった…」


白石さんが安堵の表情を浮かべる。

屈みながら、足元で動かなくなったお掃除ロボに手を伸ばす。


「このお掃除ロボって、AI搭載型でしたよね…。

黒川くんが対応してくれた配膳ロボも、僕たちのスマホも…」


……。

もしかして…。


「…全部、AIが関わっていませんか…?」

「言われてみれば…」


…沈黙が流れる。


ギィー。


黒川くんが店の中に入ってきた。


「2人とも大丈夫っすか?って、なんすかこの状況!?」


大量に散らかったペーパーウエイトを見て驚いた黒川くんに、ここであったことを説明する。


「…そうだったんすね。

たしかに、AIが入ってる系っすね…」

「これが、スマホで告知されていた“新しい施策”の可能性が高そうですね」

「じゃあ、これからは機械にも注意が必要ってことですか…。

お掃除ロボ…ちょっと可愛かったのに…」


…?

少なくとも俺は、襲ってくる機械は可愛いとは思わないが、白石さんの好みは、独特のようだ。



ガシャンッ!

外から大きな音がした。


「隠れて!」

俺のかけ声に、2人も家具の裏へ身を隠す。


さっきまでの警告音や戦いで、俺たちがここにいることがわかりやすくなっている。

家具の影から外の様子を確認する。


少し離れたところに人影が見えた。


家具の影に戻り、2人を見つめながら首を横に振る。

初めてのアイコンタクトだが、通じたようで、頷いてくれた。



しばらく身を隠していると、人影は見えなくなっていった。


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