第二十五話 在庫管理
「と、取り敢えず、全員無事でよかったです」
「そうですね。ただ、竹本さんは大丈夫ですか?だいぶ、顔が腫れてますよ」
「そんなにひどいですか?たしかに…痛いですね…」
白石さんに指摘され、痛みに気づいてしまった。
「お疲れ~っす」
少し爽やかな顔になった黒川くんが、こちらに戻ってきた。
「みんな無事っぽいっすね。
じゃ、こいつら起きる前にちゃちゃっと食料集めっすね」
「そうですね。もう、人は居なさそうですし、手分けして集めてしまいましょう」
3人で手分けして食料を集めていく。
黒川くんは商品の場所を、白石さんは保存の利くものを、俺は数量を確認しながらカゴへ入れていった。
……こんなもんか。
缶詰以外であれば、いくらか食料は残っていたのが救いだった。
が…。
やはり、3人の食料としては、まだまだ心もとない。
「次のスーパーは、俺が案内するっすね」
黒川くんの後に続いて、1軒目のスーパーを
後にした。
ーーーー30分ほど歩いただろうか。
少し距離はあったが、2軒目のスーパーに辿り着いた。
黒川くんと出会ったスーパーより、少し大きい店舗だが、やはり、店内は荒れている。
人の気配は感じられず、ほっとした。
「さ、人が来る前に集めてしまいましょう」
そう言い、早々に食料を集め、会社への帰路に着く。
ーーーー「あ!ちょっと寄ってもいいですか?」
白石さんがドラッグストアを指差しながら聞いてきた。
やはり、若い子は必要なものが多いんだな。
俺も、そろそろ剃刀の替え刃が欲しかったからちょうどいい。
「もちろんいいですよ。
黒川くんもいいですよね?」
「あ~、いいっすよ」
ーーーードラッグストアでの調達も終わり、今度こそ、会社への帰路についた。
日もかなり高くなり、遠くで人の気配もするようになってきた。
黒川くんも人の気配に気付いているのか、行きと違う、少し狭い入り込んだ道を選んでくれている。
ーーーーなんとか、人に会わずに戻ってこられた。
会議の場として定着してしまっている応接室で、集めたものを確認する。
「これで、少なくとも3週間は過ごせそうですね」
「それでも、まだ50日分以上必要なんですね…」
白石さんの言う通りだ。
本当に残りが96日もあるなら、これでもまだ、半分に満たない。
……
応接室に沈黙がながれる。
「とりあえず、3週間もあれば、どうにかなるっしょ」
あっけらかんと言ってのけた黒川くんの発言に、白石さんと顔を見合わせ、笑ってしまった。
「そうですね。
とりあえず、1ヶ月弱はどうにかなる目処が立っただけ良しとしましょうか」
「ですね!あ、竹本さん!顔だしてください!」
飲み会にでも誘われているかのようだ。
が、白石さんの手には大量の湿布薬。
さっきのドラッグストアは、これを調達していたようだ。
てっきり、化粧水やヘアケアのなにかを調達しているのかと…。
「あ…ありがとうございます…」
正直、顔に湿布を貼られると、仕事の際に気が散って仕方がないのだが、断ると後が面倒そうだ。
顔を前に差し出すと、手際よく湿布を貼っていってくれる。
「あ、黒川さんもどこか怪我はないですか?」
「俺は大丈夫っすよ。
白石ちゃんチョイスのこれのおかげで」
ポケットからペーパーウエイトを取り出しながら言った。
「そうでした!ペーパーウエイト!」
「竹本さん急に大きな声出さないでください」
白石さんの前に顔を出していたことを忘れていた。
申し訳ない。
至近距離でツバなど、飛んでないだろうか。
「すみません…。
ただ、ペーパーウエイトの残数を確認しておきたかったものですから…」
「そんなの、適当でいいっすよ。無くなったら、その時考えたら」
「いえ、重要です。
まずは…白石さん。
今回、12個使用され、命中したのは5個(俺には3個当たったが)。
黒川くんは、あまりちゃんと確認できてなかったのですが、2個で間違いないですかね?」
「え…、たしかに、俺2個投げたっすけど、全部数えてたんっすか」
「え?そうですが…問題ありましたか?」
「いや…いいっすけど…」
……
なぜか応接室の空気が重くなった気がするが、まあいい。
「使えそうなものを3個回収はできましたが残りが42個となりました。このペースだと残り約5戦で枯渇します」
「投げたやつ、回収してたんですね…」




