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ブラックおっさん、メンタルだけで生き延びる!?  作者: でこぽん
第一章 社畜、世界から切り離される

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24/24

第二十四話 巻き込み事故

「キャッ!」

反射的に白石さんが小さく叫んだ。


…ポフン

??


「白石さん!大丈夫ですか!?」

男の背中越しに、白石さんを確認すると足元に……

スポンジが落ちていた…。


あ!そうか。

ここは、キッチン用品のストック置き場だ!


ッチ!

男が舌打ちをし、白石さんの方へ歩きだした。


なんとか引き留めないと!!


ーードンッ!

人生で初めてタックルをした。


ヤバい…。

首の筋を違えたかもしれない。


ガタイの良い男は、俺のタックルではびくともしなかった。

が、俺の方へ振り返り、拳を振り上げてきた。


「おっさん、邪魔なんだよ!」


ガンッ!!


よし!

今度こそ、鉄定規付きの腕でガードができた。


「っつ!」

拳が痛んだようで、男が怯んだ。

その間も、白石さんからのペーパーウエイトが飛んでくる。


……結構な確率で、俺にも当たってる。

痛い。けど、ここで俺が怯んだら白石さんに向かってしまう。


やるしかないんだ…


「やぁ…!」

怯んでいる男にもう一度タックルをするが、男に躱され、前のめりに転んでしまった。


ガンッ!ゴンッ!


「ぐはっ!」

足、腹の順で蹴られ、胃液かなにかわからないものが、声とともに口から出た。


「女、待たせたな」


男は俺の様子を確認したのか、また白石さんの方へ歩きだした。


もう嫌だ…。

俺は、ただ仕事を終わらせたかっただけなのに。


終わらない業務、進められない環境、痛む身体。

すべてに嫌気が差してきた。



その時、

「竹本さん!大丈夫ですか!?」

白石さんの声がした。


「おうおう!おっさんの心配とは、余裕だなあ!」


自分の身が危ないというのに、俺の心配をしてくれている…。



……震える拳を握りしめ、静かに起き上がる。


俺に背を向けている男の頭に向かって、パンチでパンチを繰り出す。


ガンッ!

バタッ……



男が倒れた。




はあ…。

安心から、息が漏れた。


「竹本さん!!!」

白石さんが駆け寄って来る。


「大丈夫ですか?」

「わたしは大丈夫ですよ!

竹本さんの方が重傷じゃないですか!」


「よかった…。俺は大丈夫ですよ」

「あ…俺って言ってくれた!」



ほんとだ…。

無意識に言ってしまっていた。


あれだけペーパーウエイトをぶつけてきた相手に気が緩んでしまったようだ。



「すみません…」

「いいんですよ!ずっと敬語の方が変でしたし!」


「それなら良かったです」

白石さんが怒っていないようで安心した。


「2人とも大丈夫っすか?」

「はい…なんとか」


「それならよかったっす。竹本さん、カバンから使えそうなの出してもらっていいっすか?」


少しけだるそうに黒川くんが言ってくる。


おかしい。

カバンに詰めているところは、見ていなかったはずなのに。


疑問に思いつつも、カバンを広げ中身を取り出す。


結束バンドで、木製のパレットに男の腕を片腕だけ繋いでいく。


これで、なんとか自力で動くことはできるだろう。俺が繋いだことで、餓死でもされたらたまったものじゃない。



男2人をパレットに繋ぎ終わり、黒川くんの方へ視線を向ける。


両手に木製のクリップを溢れんばかりに持っていた。


「それ…何に使うんですか?」

「あ、気にしないで大丈夫っすよ」


そう言うと、黙々と男たちの顔をクリップで挟んでいく。


「く…黒川くん…何しているんですか?」

「……値札。値札付けれるように。“不良品”って」



………


黒川くんは、怒らせない方が良いようだ。


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