第二十話 おつかい
「で…白石ちゃん、店ついたっすけど、結局、なんでここなんすか?」
「ああ!そうでした!竹本さんに言われて知ったんですけど、オフィス用品って結構万能で…さっき投げたペーパーウエイトとか!」
「あ!あれ、石じゃなかったんっすか!」
「石って案外落ちてないじゃないですか」
「名前にちなんで、白い石…」
「何か言いました?」
黒川さんをじろりと睨む。
「…さーせん」
右手で後頭部をかきながらも謝罪する様子を見て、ため息をつく。
そんな話をしているうちに、オフィス用品が置いてあるコーナーに着いた。
ポケットから、竹本さんから預かった必要なものを書いたメモを取り出す。
「じゃ、わたしは、竹本さんから預かってるリストの物集めてきますね」
「あ、それ、俺やるっすよ」
わたしの手に持ったメモに向かって、黒川さんの手が伸びてきた。
「いえ。大丈夫なんで、黒川さんは自分の物を見繕ってください」
伸びてきた手を避けるように、自分の体に腕を寄せる。
「いや、俺、オフィス用品とかよくわかんないし」
そう言いながら、メモを持った手ごと、黒川さんに握られた。
…少しゴツゴツした大きな手。
じゃなかった。
「わかりました。ここに書いてある物をお願いします」
パッとメモから手を離した。
黒川さんって…
もしかして、チャラいのかな?
はじめから、わたしのこと“ちゃん”付けで呼んできたし、今も平気な顔で…。
考えていると、頬が少し熱くなってきた気がした。
いやいや!そんなことより!
早く必要なものを集めてしまおう。竹本さんも待ってるだろうし。
投げて減ってしまったペーパーウエイトや黒川さん用のパンチ、延長コード…。
思いつくまま、カゴに入れていった。
「白石ちゃ~ん。メモのやつ集め終わったっすよ」
少し離れたところから話しかけられた。
「ありがとうございます。ちょうどわたしも集め終わったんで、行きましょうか」
「ちなみになんすけど…これ、何に使うんっすかね…。バインダーに定規に養生テープ…」
「…わたしも…わからないです」
竹本さんの謎すぎるチョイスに言葉が出てこない。
「とりあえず、竹本さんが必要だって書いたものは集まりましたし、考えないでおきましょ」
「…そっすね!」
竹本さんは居ないけど、セルフレジで精算をしていく。
ピッ…、ピッ…、ピッ…
黒川さんも、竹本さんと同じタイプっぽかった…というか、スーパーでの様子を見る限り、強盗とか万引きには厳しそう。
ーーガシッ
レジに商品を通していた腕を急に掴まれた。
「白石ちゃん。代わって」
有無を言わさない様子の黒川さんに、セルフレジを明け渡した。
ピピピピピピピピピピピピ!
…
……
やっぱり、このパターン!
2人とも、雰囲気は違うのにちょっとしたところが、似ているな。
「ついでに会計しといたっす。じゃ、帰りますかー」
「あ、会計ありがとうございます」
「全然っすよ」
2人で文房具店を後にした。




