第二話 人件費削減?
……入るコンビニを間違えたか?
一旦、外に出てコンビニ名を確認する。
うん。合っている。
ということは…
今日の店員は、やる気がないのか!?
店内は、乱雑に商品が置かれていて、床に落ちているものもある。
仕方ない。
床に落ちているものは、拾い上げ踏まれないよう端の方にまとめる。
それにしても、斬新な陳列だな…
これが、いわゆる“映え”というやつか?
いや、あれか…“エモい”の方か…
まぁ、たしかに、これだけ種類を問わずに商品棚に置かれると、今まで気付かなかった商品もあるな。
これが、時代の流れか…
さ、カップ麺は…
とりあえず3つでいいか。
カップ麺を片手に、レジに向かう。
が…
店員がいない…
チンーー
レジに設置されている呼び鈴を鳴らしてみる。反応がない。
「すみませ〜ん。お会計をお願いしたいんですけど〜」
バックヤードの入り口と思われる場所に向かって声をかけるが、反応がない。
聞き耳を立ててみると、人の気配もない。
仕方ない…
セルフレジの方へ移動する。
しまった…ここのセルフレジは、キャッシュレス専用だ…
スマホの充電が切れていることが悔やまれる。
もう一度だけ、レジに戻り呼び鈴を鳴らす。
「すみませ〜ん。誰かいませんか〜?」
ーーやっぱり反応はない。
仕方ない、別のコンビニに行くか。
カップ麺を商品棚へ戻す。
ついでに、乱れていた周りの商品も並べ直す。
「すまん。俺には“エモい”の感性がわからん。これで許してくれ。」
誰に言うでもなく呟き、コンビニを後にした。
少し離れたコンビニへ向かう。
やっぱり、今日は人が少ないな…。
俺もリモートワークができる日が来るといいな…。
そうしているうちにコンビニに着いた。
店内に入る。
ーーやっぱり、こっちもか。
オフィス近くのコンビニ同様、店内は荒れていた。
今時の流行りは、ほんとうによくわからんな…。
床に散乱している商品を拾い上げ、端へ移動させながら奥へ進む。
ここのセルフレジは…っと、
ここもキャッシュレス専用か…。
店員は…、ここも居ないのか!?
いくら人件費削減といってもやりすぎじゃないか!?
念のため、レジに設置されている呼び鈴を押す。
案の定、反応はない。
「すみませ〜ん。誰かいませんか〜」
やっぱり反応はない。
しょうがない、カップ麺の種類は少ないが、あのコンビニに行くしかないか…。
諦めて、さらに別のコンビニへ向かう。
ーーーー久しぶりに少し歩いたな。
本日3件目のコンビニが見えてくる頃には、足が少しだるくなっていた。
ーードンッ、ガンッ!
『おらっ!諦めろ!』
『キャッ!』
不穏な物音が聞こえてきた。
気付かなかったことにしたい。でも、どう聞いても女性が男性から暴力を受けているようにしか思えない……。
ふーっ。
よしっ!
腹を括り、物音がする方へ駆け出した。
向かっていたコンビニの裏手。
声の主達を確認する。
「あぁん?なんだよ、おっさん。ヤル気か?」
「た…助けてください!食料を奪われそうでっ!」
なんとなく状況は理解した。
それにしても、食料のために、こんな女の子を襲うなんて、彼はどれだけ貧乏なんだ…。
いや!どれだけ餓えていようが、襲うのはダメだ!
疲れからか、恐怖からか震える足に喝を入れ、2人の間に割り込む。
「ちょっと、やめませんか!?
お腹がすいているのでしたら、わたしがそこのコンビニで何か買いますから!ね!一緒に行きましょう!」
「はっ?おっさん、ふざけてんのか!?」
返事が返ってくるのと、ほぼ同時に聞き慣れない音がした。
ーードコッ!




