第十四話 通勤バッグ
ーーブンッ
白石さんの後ろに立っていた男性が、棒状の物を振り下ろす。
「白石さんっ!」
腕を掴んで引き寄せ、白石さんと男性の間に自分の体をねじ込む。
と同時に、左腕で頭を防ぐ。
ガンッ
腕に衝撃が走る。
白石さんが持ってきてくれていた痛み止め、飲んでおけばよかった…。
「竹本さん!?」
白石さんは無事のようだ。
「だ…大丈夫です。少し離れててください」
そう言ったものの、どうしたらいいのかわからない。
「こんな状況で、若い女なんか引き連れて…
余裕かましてんじゃねえよ!」
ガンッ!ガンッ!ガンッ!…
何度も武器を振り下ろされる。
が…
衝撃が響くだけだ。
そうか!
腕の固定に使った鉄製の定規のおかげか!
思いもしなかったが、防具としては優秀らしい。
ゴンッ!
何かが飛んでくると同時に、男性の頭から血が流れ出した。
「いってぇな!」
男性が怒鳴りながら、白石さんの方を向く。
なんとかしないと!
持っていたカバンを振り回した。
ドンッ!! パサッ…
音がすると同時に、男性が倒れた。
男性の頭にあたったようだ。
…起き上がってくる様子はない。
「竹本さん!大丈夫ですか!?」
「ははは…なんとかなりました…。白石さんも大丈夫ですか?」
「竹本さんのおかげで、わたしは大丈夫ですよ!それより、腕を何度も叩かれてましたけど…」
「あ!そうなんですよ!昨日、固定しているものを定規にしなおしてもらったじゃないですか!
やっぱり鉄製の定規ってすごくて、衝撃は響くんですけど、なんとかなりました!
それと、白石さん!ペーパーウエイト投げてくれましたよね?コントロールめちゃくちゃよかったです!」
アドレナリンからか、捲し立てるように話してしまっていることに気がつかない。
「そ…それならよかったです!
ペーパーウエイトも、竹本さんに当たったらどうしようって思いながら投げたので、ちゃんとあの人に当たってよかったです!」
なんと…
運が悪かったら、いま倒れているのは、俺だったかもしれないようだ。
倒れている男性を見下ろして、少し身震いがした。
「…この男性…生きてますかね…?」
白石さんが不安そうに訪ねてくる。
「多分…大丈夫でしょう…。息はしているみたいなので」
放っておけば、他の人に襲われるかもしれない。
一応、なるべく他の人に見つからないよう、段ボールで隠してやるか。
スーパーの入り口付近にある、段ボールを拝借し、倒れている男性の上にかける。
「これで、倒れている間に他の人に襲われる可能性は少し減るかなと」
「そうですね…。私たちのせいで…となると少し気が重かったので、ありがとうございます」
ーーやっと目的のスーパーに入ることができた。
まさか、早速襲われるとは思わなかった。
もっと、気を引き締めていかないと…。
スーパーの中に入る。
やはり、店内は荒れている。
が、コンビニよりはマシなようだ。
さっそく、缶詰コーナーへ移動しようとした時、店の奥から物音がした。




