第十三話 早朝対応
午前2時。 アラームが鳴る。
床で眠れたため、だいぶ疲れが取れた。
なるべく物音を立てないよう、応接室の前を通る。
応接室からは、物音はしない。白石さんは、まだ眠っているようだ。
トイレへ向かい、身支度を行なう。
身支度が終わり、自席に戻る。
繋がっていないとは分かりつつも、念のためパソコンを確認する。
やはりネットは繋がっていないか…。
ーーーーカタカタ。パタン
バサッ
昨日までの作業内容をまとめた引継ぎ資料を閉じたパソコンの前に置く。
「丸山さん…。
わたしが戻らなければ、大変恐縮ではございますが、引継ぎお願いいたします」
誰も座っていない上司のデスクに向かって頭を下げる。
さっ!やりますか!
応接室へ向かう。
時刻は2時50分。
10分前だが、問題ないだろう。
…コンコンコンッ
応接室のドアをノックする。
「…はい、どうぞ…」
返事に覇気がないように思ったが、気にせずドアを開ける。
「失礼します。おはようございます。」
「おはようございます…
起きたらやっぱり夢だった…とか、期待したんですけど…ダメですね!」
そう笑う白石さんの表情に、なんとも言えない気持ちになった。
この若さで人の死を目の当たりにしたんだ。そのうえ、自分もどうなるか分からない状態だ。かける言葉が見つからない。
「そうですね…
とりあえず、食料集めに行きますか」
「はい…」
少し元気がない白石さんに、気付かないフリをしながら、応接室を後にした。
ーーさて、どこに向かうか。
「とりあえず、今日はスーパーに行ってみましょうか。コンビニより、食料が多そうですし」
俺の提案に、無言で頷く様子を確認し、会社を後にした。
会社から一番近いスーパーへ向かう。
一番近いと言っても、10分以上歩く距離だが…
よかった。
今のところ、人影は見当たらない。
「この時間にして正解でしたね」
少し後ろを歩く白石さんに声をかけた。
「そうですね。人がいなくて安心しました!でも…」
白石さんが言葉につまる。
その視線の先には、昨日、オフィスの窓から見えた、倒れたままの男性。
「こっち側を歩きましょうか…」
なるべく男性から離れた道へ誘導する。
この遺体…ずっとこのままなのだろうか…。
ーー8分ほど歩いただろうか。
少し離れたところに、スーパーの看板が見えてきた。
「あ、あそこのスーパーです。そこそこ大きいので、まだ食料が残っていたらいいんですけど…」
後ろを振り返り、白石さんに話しかけたその時…
白石さんの後ろに、棒のような物を振りかざした男性が立っていたーー




