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私、人生迷ったら世界最強魔導士になりました。  作者: 工藤 零
第二章 『それぞれの道』
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番外編Ⅱ 5 mission1


 「さあ、いよいよ今日から試験開始です。用紙は行き渡りましたか?ではこれより、試験内容について説明したいと思います。一度しか言いませんので、よく耳を傾けていてくださいね。試験は、原則6人組で行います。制限時間は、本日から5日間。課題は、7つあります。なので、1日課題一つ達成するだけでは足りませんので、気をつけてくださいね。……私からは以上です。何か質問はありますか?……ないようですね。では、試験は今から10分後に始めます。各自準備を開始してください」


 そんな教師の言葉を合図に、広場はざわめき出す。

 普段は噴水広場と呼ばれるこの場所は、試験開始の会場ともなる。なので現在は、噴水もその周りのバラ園さえも取り払われ、学生達がひしめき合っている。

 本来は噴水があったはずの場所に立った私は、周りにいたユーピテル達に声をかけた。


 「ねえねえ。このカード、試験内容と注意事項しか書いてないけど、紙にする意味あるの?」


 「ああ、そのことかい?」


 話しかけられたことに気づいたユーピテルは、自らも持っているカードの裏表両方を見た。


 「この紙には魔法が仕込まれているのだと思うよ。僕も魔法学校の試験は初めて受けるが、高校までの試験の問題も、試験開始から浮き出てくるようになっていた。この用紙は裏が白紙のようだから、多分ここから浮き出てくるのではないかな」


 「なるほど。確かに、時間ぴったりに浮き出てくれれば、便利だよね。カンニングも出来ないし、言葉だけで伝えられたら忘れちゃうかもだもんね」


 ユーピテルの推測に納得して、何度も首を振る。魔法とは、非常に便利なものだと改めて実感する。

 私たちの会話を聞いていたのか、マヌルたちも賛同する。


 「これがあれば、あの金持ち貴族達も課題が始まってからじゃないと動けない。始まりは公平ってわけね」


 「でも、あの人達は、ふぁ……。っその、護衛の連中を、各地に、送ってる。ふぁ……、だから、指示を出せば、騎士達は、どんな課題であろうと、直ぐに動ける。ふぅ、そんな力のない、こちらが劣勢なのは、変わらない。すぅ……」


 少し前向きだった私たちの心を、ラノの欠伸混じりの言葉が打ち砕く。

 でも、あの時の決心も嘘じゃない。何とかならないかと、打開策を考える。


 「でも、そんなこと、先生達もちゃんと対策を考えてるんじゃない?だって、他人任せにしてるんじゃ、試験の意味がないじゃん」


 「どう、かな……。あの人達、学校に、お金……、沢山、だから……」


 「そうなんですよねぇ。学校の寄付金は、あの方々の親御さんが払ったものが大半を占めていて、その寄付金を少しでも減らさないようにと、先生方は神経を使ってらっしゃいますからね。対策をすると、寄付金に影響が出るかもと、ろくに考えてもいらっしゃらないかもしれません。結局は、すべてお金、ですからね」


 イアのつぎはぎの言葉に虹樹(なじゅ)の補足が付け加えられて、私はようやく納得する。

 そして同時に、貴族に対するひどい嫌悪感が私の心を占める。

 どうしてこう、お金を持っている人達は横暴なのか。それに、その力に抗えない人達も同罪だ。抗えないと言いつつ、結局従う選択をし、金に酔っているのは自分達だというのに。


 「そんなことより、もう少しで時間だ。準備をしておいた方がいいと思うよ」


 「あ、そう、だね……」


 試験まで、あと3分。私はゴクリと唾を飲み込み、はやる心臓を落ち着かせようと、深呼吸をする。


 「どんな課題であろうと、僕らは全力を出すだけだ。後悔のないように、頑張ろう」


 「ユー風にいうと、ふぁいと、ってやつね!うん、頑張りましょ!」


 意外と緊張していたのか、マヌルから震え気味の大声が発せられる。そのおかげで彼女でも緊張するのだと、私自身も励まされた。


 「あ……、紙に、数字が……」


 イアの気付きに、皆が一斉に紙の裏を確認する。私も同じようにし、確かに数字が現れていることを確認する。しかも、その数字はただの数字ではなかった。だんだんと減っていっているのである。50、49、と進んでいき、唾を飲んでいる間に10へと変わっていった。


 「10、9、8……」


 「7、6、5、4……」


 「3、2、1、ぜろっ!」


 最後にマヌルが続き、紙から数字が消えた。そして現れたのは……。


 「月の花を献上せよ」

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