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私、人生迷ったら世界最強魔導士になりました。  作者: 工藤 零
第二章 『それぞれの道』
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7『彼の想い人』

「なるほど。私にこの街の指南役をして欲しいと、そういう訳ですね?」


「ああ。そういう事だ。頼めるか?」


「分かりました。この残された命、この街のために尽くしましょう」


 老人は自らの胸に拳を当てると、片膝をつく。

 そしてすぐに立ち上がり、置いてあった楽器を手に取ると、感嘆を漏らした。


「ああ……、これは、私が以前使っていた楽器……。もしや……?」


「そうかも知れませんね。私は、記憶から探し出しただけですから、定かではありませんが」


「いえっ、感謝いたします……っ」


 老人は皺の寄った目尻に一粒の雫を生むと、楽器を大切そうに抱える。

 その様子を見ていたラリアンは微笑しつつアテラノを見た。


「お前……」


「だから、私には分からないわよ。女神様の御導きかもね」


「はっ。お前は本当に……」


 ラリアンがその先を口にすることはなかったが、アテラノは察したようで、謎の笑みを残して視線を戻した。


「さあ、そこら辺の楽器は自由に使ってもらっていいので、この街の人達を宜しく頼みますね」


「了解致しました」


 そう言い残し老人は、どこかへ去って行ってしまった。


「さて、これから私達はどうしたらいいのかしらっ?」


 そう言って、腰に手を当てた仁王立ち状態になったマオが切り出す。


「そうだな……」


 街の復興のある程度の基盤は整えたから、ラリアン達に出来るのは見守ることだけだ。

 しかし、それでは怠惰な生活になってしまうので、それだけは避けたい。


「そうだっ。3人揃ってるんだし、折角だから昔の仲間みんな集めちゃわないっ? いいわよねっ? ラリー、ラノっ」


「そうねえ」


 アテラノの返事を聞いてからラリアンも答える。

 彼女は悩んでいるように聞こえるが、こういう場合は了承しているととっていい、はずだ。


「私は別に」


 ラリアンがそう言い終えた瞬間に、マオは溌剌とした声を出す。


「じゃあ決まりねっ!」


 ということで、ラリアン達は残りの仲間2人を探すこととなった。






「あと2人よね?ラリアンはここにいるの私達より長いでしょう?何か知らないの?」


「いいや、そうでもないぞ。でも、1人は知ってる」


 2人のうち1人の顔を思い出しながら、苦い顔をする。

 あの顔を思い出すだけで虫唾が走るが、そうでない時もあるのがラリアンとしては怖い。


「分かったっ。キサラギ? だよねっ?」


「ああ、そうだ」


「やっぱりっ。ラギは、今どこにいるのっ?」


「うーん。言いづらいのだがな……」


 と、キサラギと出会った経緯を話し、彼が今どこにいるかも伝える。

 伝え終わると2人は悩ましい顔をし、唸り声を上げた。


「えーっとっ。ラギは今中央の街にいるのねっ?」


「そうだ。そして今もこの世界を統治している」


「なるほどね。なんだか私、分かってきたわ」


 アテラノが顎に指を添え、何もかも見透かしたような表情を浮かべる。

 彼女には、ラリアンには分からなかった何かが見えているらしい。

 彼女がその内容を口にする前に、ラリアンも思考を巡らせることにした。

 と言っても、正直何が何だか分からない。彼女はどんなに少ない材料だろうが、何でも見透せてしまうようだ。


「ラリアンは覚えてないかもだけれど、彼はきっと、あの方をずっと追いかけているのよ」


「あの方?」


「あーっ、あの方ねっ!私も分かったわっ」


 ラリアンは全く理解できていないのにも関わらず、マオもアテラノと同じように状況を察知してしまったらしい。

 2人の反応にラリアンがずっと首を傾けていると、なんだかんだ言って優しいアテラノは、わかりやすく説明してくれた。


「彼の想い人よ。ほら、分かるかしら?あの世界にもいたじゃない。彼がずっと想いを傾けていた方が……って、そっちだと覚えてないのよね」


「ああ。すまない」


「取り敢えず、前の世界の時も彼が想ってた方がいて、その方はこの世界にもいたはずよ。けれど、私の情報によると、その方はもう亡くなっているわ。だから……」


 そこまで説明して、彼女はその先を口にするのを勿体ぶる。何か言えない事情があるのか。ならば聞かないほうがいいか、と思っていた矢先に、マオが気にもせず喋ってしまった。


「この世界を消そうとしているんだわっ」


「は?」






どうしてそう言う結論に至るのかラリアンには到底理解し難かったのだが、アテラノがマオの口を塞いでしまったのでそれ以上は聞くことが出来なかった。

どうやら、今のラリアンでは話すことが出来ない、と言うことらしい。

正直とても気になるのだが、そう言われてしまえばおしまいだ。それ以上ラリアンに発言権はない。


そんなこんなでキサラギを探すのは後回しとなったのだが、残りの1人、《生物の魔女》リンは意外にもマオが居場所を知っていた。


「私、つい最近もあの子に会ったわよっ。確か、妖精の街にいたはずっ。早速行きましょっ!」


マオの圧倒的先導力にラリアン達は呆気にとられつつも、妖精の街を目指すこととなったのだった。






一方、散り散りになったナツメの仲間の最後の1人、ルイはというと。


「土属性の基礎術式名は『ギ』なの!」


学校に通っているのであった。

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