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私、人生迷ったら世界最強魔導士になりました。  作者: 工藤 零
第一章 『自分探しの旅』
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54『再襲』

「は?女神、それ、どういう事?」


女神の一声に、私の酔いは一瞬で覚めてしまい、疑問を投げかけるが、女神はそれに答えなかった。


『とにかく、急いでください!今はまだ到達していません。この街の外です!』


「分かった!」


正直、にわかには信じ難い話だが、本当だったら大変な事になるので今は取り敢えず女神の言う事を信じて、街の外へ出ようと試みる。

もちろん、酔ったラリアンと寝ている2人を引っ張って行く事も忘れない。


「ナツメえ……。どうしたんだぁ?」


と、ラリアンのだらしない声が街を移動するためのエレベーター内に空しく響く。

まだ酔いが覚めていない様子だが、もう仕方がない。飲み過ぎたやつが悪いのだ。

返事はせずにエレベーターが地上に辿り着くのを待つ。


「どう言う事なんだ?一度は追い払ったはずだろ?なのに何でまた来るんだ?」


昔から目覚めの良かった直人が、今もすぐに目を覚まし、この状況を理解しようとしている。

直人のその疑問は的確だ。私も既にその疑問を抱き、仮説を立てるに至っている。


「多分、足りない宝石に気づいてそれを取りに来たんだ。私達はそれを死守しなきゃなんない」


「そうか。もう……。分かった。俺も頑張ってみる。前は全然役に立てなかったからな。何としてでもこの街を守ってみせるよ」


直人の決意を聞くと、丁度エレベーターが地上に到着した。

身体の上昇感が止まる。

扉を開き、ここを出ると、そこには青い空が広がっていた。

こんなに綺麗な空の下に悪意を持った人間がいるとはまるで思えない。


「行くよ」


「ああ」


答えるのは1人だけだったが、直人はルイを、私はラリアンを抱えたまま先へ進む。

ラリアンが重いせいで私の息はもうすでに上がっているが、酔っ払っているラリアンを今起こすと大変なことになりそうなので、我慢して歩く。


「明日香、大丈夫?交代する?」


「ごめん、お願いしてもいい?」


耐え切れなくなってしまったので、直人にラリアンを渡し、ルイを受け取る。

ラリアンに比べると、ルイは羽のように軽く、少しばかり、息が戻ってきた。

一方、直人の方はラリアンの重さに苦戦しながらも、頑張って背負っている。

──さすが男の子だ。


と、ルイがやっと起きたのか、背中の方でもぞっとした動きがあった。


「あれ、お姉ちゃん……?」


どうやらまだ寝ぼけているようだ。

後ろなので様子は見えないが、肩を掴まれる感触がある。


「ルイ、起きた?」


「んん……」


「ごめんね、まだ寝てていいよ」


私はルイに対して最大限の配慮をしたつもりだったが、ルイにはその必要はなかったようだ。

突然、肩をグッと掴まれる。子供の力とは思えないほどの力だ。


「もういや……。こないで、こないで……!」


怯えたような声を出すルイをなだめようとするも、ルイは私の肩の中でうずくまってしまった。

──来たか。

ルイがどうしてこんな早いタイミングで気づいたのかは分からないが、敵の来襲があるのは確実だ。

私も、直人も身構える。


途端、私達のいる場所だけが影に包まれた。


「何!?」


その声が、直人の声だったのか、ルイなのか私なのか、はたまたラリアンの声だったのか、分からないぐらい、私は驚愕していた。

空を見上げると、陽をも覆ってしまう程の円状のものが浮かんでいた。


「あれは何!?」


この声は確実に私だ。


「分からないけど、危険なことは確かだ!退避しよう!」


「了解!」


影の入っていない範囲に走って退避する。

その際、今まで人を抱えて走ったことがなかったせいで、前につんのめって転けそうになる。


「あぶなっ」


「あっ、ごめんなさい、なの」


慌てたルイが私の背中から飛び降りる。流石の身のこなしで着地し、私を見た。


「あれは、政府の使う“テンバン”なの。だから多分……」


ルイの予想も、女神の察知も正確だったようだ。

テンバンから男が降りてくる。


「やあ、また会ったね、君たち。会ったばかりで悪いんだけど、そこを通してもらえないかな」


「……ここは通さない。あなたは自分の街に戻って」」


「相変わらずきついねえ。やっぱり、あの時に殺っておけばよかった」


「そうやっていつまでも後悔しておけば。その間に私が追い返してあげる」


やって来たのは、ワンだった。

今更ながら、なんとも滑稽な名前だ。名付けたのは私だが。


「でも君、前に会った時より力が弱まってないかい?そんなんじゃ僕は殺れないよ」


「……」


見破られてしまったようだ。

何とかしてラリアンの目を覚させないと。

前頼りにしていたチートがないので、今頼りになるのは、ラリアンの創世魔法とルイの防御力、直人の努力──頼りになるかどうかも分からない──だけだ。


「直人!そいつ叩き起こして!」


「おっけ!」


直人は手荒な真似はしなかったが、ラリアンを背負っている肩を揺らした。


「んん……?」


ラリアンが薄目を開ける。顔はまだ赤いが、大丈夫そうだ。


「ラリアン!敵襲!」


私は、ワンを引きつけつつもラリアンに向かって叫んだ。


「あぁ!?」


ラリアンは飛び起き、非情な直人に落とされる。


「うでっ」


妙なうめき声をあげたラリアンが、腰をさすりながら起き上がる。


「どういうことだ、ナツ……メ……」


ワンに気づいたようだ。

驚きで目を見張り、次いで大声を上げた。


「お前!」


「やあ、あなたもいたのか。伝説とまた再び合間見えるとは……。さあ、今度は本気で戦いましょう。僕はこの時を待っていたんだ……!」

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