番外編Ⅰ『ラリアンの魔法講座』
この話は、番外編Ⅰ、ということで50話記念の1つとして書かせていただきました。
本編でもそのうち触れようと思っている内容なのですが、とある事情(後書きで記述)によって番外編としてまとめました。
「さあ、本日も、私、ラリアン・ユークラウスの魔法講座の時間がやってまいりました!って言って。ラリー?」
「嫌だ」
「えー?」
そう、その名の通り、今から、魔法の勉強の時間、『ラリアンの魔法講座』が始まる。
講師はラリアン。受講生は私、ナツメだ。尚、夜の為、ルイは出席していない。
この会は、ラリアンがこの世界に来たばかりの私の為に、ラリアンが直々に開いたものだ。
旅に出る前に、ラリアンとリナンさんとマスターが教えてくれたのでは足りない、と不満を漏らしたら、ラリアンが張り切って申し出てくれた。
「そんな事なら、この世界にとーっても詳しい、この私が教えてやらんでもないぞ!」
と、少し酒に酔いながら。
「そこで、今回は私が授業内容をまとめてきたぞ」
私の不満はよそにラリアンは授業を始めだした。
「まずは復習から始めよう」
「復讐?」
「……この世界はマナで満ちている。そのマナを糧として私達は生命力に変えているんだ」
渾身のボケのつもりだったのに、あっさりとスルーされてしまったので、大人しくラリアンの話を聞くことにする。
「また、その生命力は他の物に変換することができ、通称、オドと呼ばれている。
「変換できる物は様々で、基本要素は火、水、風、地、光、闇。6大要素だな。
「変換されたオドは大気中に出るとすぐに使用しなければならない。
「放っておくとマナとなって霧散してしまうからな。
「また、オドは生命力であるから、使い過ぎてはいけない。使い過ぎると死に至ってしまう場合もある。
そう言いながら、ラリアンは黒板に字を書いていく。
この世界に黒板があるのか、と感動したものだが、そうではないらしく、ラリアンの住んでいた世界にあったものらしい。
創世魔法で黒板とチョークを出した彼女の字は綺麗だ。
最も、綺麗な字というのが感覚の話で、見知らぬ字なので本当に綺麗かどうかは分からない。
「だからと言って、オドを使わずに魔法を使うのにマナを使うこともできない。何故なら、いくつかの例外を除いて、マナを直接変換する方法は無いからな。
「これで復習は終わりだが、大丈夫か?」
「うん」
そう答えるとラリアンは、黒板をひっくり返して、“魔女”と記入した。
「よし、じゃあ、今日の本題に入ろう。
「今日は、この世界の理について話すぞ。
「この世界は、私たち魔女によって作られたんだ。
「何故か、私しか名が知られていないのだが、実は魔女の名がつくのは4人いるんだ。
「まずは私、≪創世の魔女≫。
「次に、≪自然の魔女≫、≪生物の魔女≫、≪星の魔女≫と続く。
「魔女はそれぞれ、その名前の魔法を使える。
「魔法の魔女はいないのか?ああ、いないさ。魔法に関しては私達の担当ではないんだ。
「じゃあ、誰がって?また今度話すさ。
「創世魔法は知っての通り、オドを物に変換出来る。
「自然魔法は、植物や、水、火など、自然に存在するものを操れるんだ。
「生物魔法は、新たな生物を生み出したり、動物と意思疎通が出来たりする。
「星魔法は……、複雑だな。説明しにくい。
「主な役割としては、星を生み出すことだな。特性としては、夜でも明るく見えたり、素早く動けたりする、らしい。
「ただ、それらの魔法も完璧ではない。
「私の魔法はオドを使い切ると全く使えなくなるし、自然魔法はオドを6大要素に変換することが出来ないんだ。また、生物魔法はモンスターを自然に呼び寄せてしまう。星魔法は星の恩恵を受けにくくなる曇りの日などの天気の良くない日には動きが鈍るんだ。
「何でわざわざ欠点があるのかって?さあな。それはこの仕組みを作った神にでも聞いてくれ。
「これで言いたいのは、この世界の理は私達魔女が作ったってことさ。
「建物や物の基盤は私が創ったし、地形なんかは≪自然の魔女≫が整えた。
「だから、この世界についてはいつでも、この世界に詳しいこの私に聞いてくれ。女神なんかじゃなくてな。
「魔女についてはここで終わりだ。何か質問はあるか?
「……無いようだな。では次へ進もう」
ラリアンは、一息置いて、黒板消しを手から生み出し、字を消そうとする。
「ちょっと待って!メモさせて」
「メモ?メモ、とはこの板書を写すこと、だったか?」
不思議な言い回しだ。知っているようで知らないのか。
「う、うん。でも、メモ帳がないや」
「メモ帳、というのは帳面の事だったかな。どれくらいの大きさがいい?」
「え、じゃあ、このくらいで」
と、指で大体の大きさを示す。
「了解した」
ラリアンがその指の中に人差し指を入れ、目をつむった。
すると、指の中が発光し、何かが出来上がると、ゴトッと音を鳴らして机の上に、古味を帯びたメモ帳が置かれた。
「てんきゅ」
「ああ」
「あれ?」
今、さりげなく、エセ英語を使ってしまったのに、ラリアンには伝わっているようだ。
先程のメモの事と言い、ラリアンはある程度英語を理解しているように見える。
「確か、英語、というのは、別の世界の言葉だったか?」
「う、うん。そうだけど、ラリーは何でそれを知ってるの?」
「ああ、それはだな。……もう、大分昔の話なんだが、私には、共に旅をする仲間がいたんだ。そのうちの1人がな、前世の記憶を持って転生してきた奴だったんだ。そいつがよく、我々の知らない言葉をよく使ってな。使うたびにどういう意味なのか聞くたびに、少しずつ覚えてきたんだ」
「へえ、その人、どこの出身なんだろ」
地球、と言っても、一言では言い表せられないくらい広い。
私の生きていた日本とも限らないし、同じ言語を喋っていたとも限らない。
「さあな、奴は転生する前の話はあまりしなかったんだ。でも、いつか会って話せる時が来るさ。奴は我々とともにこの世界を作り、住んでいるからな」
「楽しみ、かな?」
どんな人なのかよく分からないが、同じ転生者なのだから、きっと分かり合えることもあるだろう。
少し会うのが楽しみになってきた。
私はさらさらとメモをし終え、ラリアンも次の内容へ移る。
「次は、この世界について説明しよう」
「言語は共通。どの街も同じ言葉が話されている。
ただし、魔法に関しては、それぞれの流派があって、違う呪文であることもある。
世界の作りは、サンケンブンリツ、を採用している。
すまんな、政治に関しては、私はあまり関与していないから、よく分からないんだ。
まあ、それでも、今の政府があまり良くないことは、私にも分かるがな。
人同士が戦うような世界を私達は求めていなかったから、王はいない。
王権っていうのは碌なもんじゃないさ。
でも、モンスターの中の王はいるんだ。
その名は、ドラゴン。彼を生み出したのは≪生物の魔女≫だ。彼女は確か、頼まれて彼を生み出していたはずだ。
だが、彼は生まれてからずっと封印されており、私達でさえもその姿を見たことがない。
それでも、生物中最強になるように設定した、と彼女は言っていたはずだ。
何の為に生み出したのか、彼女も私も分からない。
一応、この世界においての神的存在であるから覚えておいて欲しい所だ。
他に説明することが思いつかないから、もう終わるが、何か質問はあるかな?」
「ううん。今のところは」
「了解した。思いついたら随時言ってくれ、メモ、しておく」
「はーい」
ラリアンの言った事をサラッとまとめてメモ帳に記入し、閉じる。
前を向くと、ラリアンがどう終わればいいのか分からないようだったので、助言する。
「終わります、でいいよ」
「それでは、講座を終わることにする」
「ありがとうございましたー」
ということで、番外編Ⅰでした。近いうちに、別の話で番外編Ⅰを出そうと思っているので、そちらも読んでいただけるとありがたいです。
さて、『ラリアンの魔法講座』なのですが、本編を読んでいて疑問に思ったことを受付、この中でまとめたいと思っています。どうぞ、ご質問があればこの話の感想にでも残していってください。




