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私、人生迷ったら世界最強魔導士になりました。  作者: 工藤 零
第一章 『自分探しの旅』
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35/102

35『三日月』


「これ可愛いー」


私は、月のモチーフのついた髪留めを見ていた。

──三日月だ。

この世界にも、月という概念はある。


ただ、そこに行こうと考えた人は今までに1人もいないそう。

勿論、月があるならば星々もあり、夜地上に出るとキラキラと光り輝いている。

探してみると、私の知っている星座も見つけることができる。


地球ではないのに何故月や星座が見れるのかは分からない。

でも、私は何となく昔を感じることができて、嫌いではなかった。


この髪留めは、今の私の服装にも合うと思うのだが、つばの広い魔女帽を付けているため、髪を留めても見えない。

買おうかどうか、うんうんと悩んでいると、ルイが話しかけてきた。


「こうすればお姉ちゃんも付けられるよ!」


どうやら、ルイは私が何に悩んでいるかが分かったらしい。

別の髪留めを付けて私に見せてくる。

ルイの髪留めがついている位置は、おでこの辺りではなく、顔の横。


どうやら顔の横に垂れている髪を留めているようだ。

──確かに、あれなら帽子をかぶったままでも見えるように付けられそうだ。

ルイに礼を言って、その髪留めを買うべく手に持ち、値段なんか気にするもんかと息巻いてレジに向かう。

店員に髪留めを渡して財布を出す。


「8万リアンです」


「ふぇっ!?」


確か、ルイのブーツが5万リアンだったはずだ。

小物でこんなにするとは驚きだ。

しかし、背に腹は代えられない。


財布から紙幣を8枚取り出し、渡す。


「どうもありがとうございます」


店員さんの営業ボイスを聞いて、商品を受け取りその場を離れる。

貯金する、とか豪語したくせにすぐに散財してしまった。

このことを言ったらラリアンは怒るだろうな、と彼女の怒り顔を想像し身震いする。


いや、でも、欲しい物を買っただけだ。

お金なんかまた貯めればいい。

すぐに思考スイッチを切り替え、ルイの元へ戻る。


「おかえり、なの」


「ただいま。ルイは買えた?」


「うん!なの。でも、もうお小遣いがちょっとしかないの」


「私も、後5万しかない」


ラリアンが経理を行うにあたって、ルールが1つ増えた。

それは、私が提案したお小遣い制。


クエストで得たお金をある程度生活のために残してから、分配。

ルイは5万、私は10万、ラリアンと直人は0。

2人は自ら要らないと言った。


クエストを行えばすぐにお金はたまる。

そのお金を使って、いつの日かに家を買うことになった。

それぞれのお小遣いから寄せ集めたお金を、だが。


そのクエストを行うにあたって、直人はまだ経験が足りないので、今はラリアンと武者修行の旅に出ている。

私達も、買い物が終わったらあらかじめ受けてあるクエストに行く予定だ。

今回のクエストは難易度低めのダンジョンクエスト。


ルイも戦闘に参加できるようにするため、ラリアンに短剣を作ってもらっている。

軽いが攻撃力が高く、壊れにくい。

ラリアンの物凄い想像力を介して作られた逸品だ。


ルイは暫く、これを使うことになるだろう。

私も、ラリアンにちょっとした荷物を持たせられた。

多分使わないので、その話は割愛させてもらおう。


取り敢えず、店を出てダンジョンに向かう。

そのダンジョンは、洞窟型ではなく廃屋型だった。今度は地上ではなく地下の一角にある。

クエスト内容は、赤の宝石を探せ。


あの小さい廃屋のどこがダンジョンなのか分からないが、多分探せば見つかるだろう。

やる気スイッチをいれて廃屋の扉を開ける。

──どうやらモンスターの類はいないようだ。


念の為全体を確認してから、中に入り、ルイもそれに続く。

散らかっているどころか完全に廃れているこの部屋から、小さい宝石を探すのは大変だ。


「ルイは、右の方を探してみて。私は左を探すから」


「分かったの」


持ち場について、その現状を確認する。

埃も溜まっている上に蜘蛛の巣も張りまくりだ。

手袋無しでは触りたくない。


どうしよう、と悩んでいると何故か私に付いて来ていたルイが言った。


「はい、なの」


「ん?」


ルイが手渡してきたのは粗末な軍手。

これがあれば気が楽になりそうだ、と思いながらも疑問が生じる。


「これ、どこにあったの?」


「クエスト受けた時に受付のお姉さんからもらったの。お姉ちゃん、先に言っちゃったから」


そう言えば、一瞬呼び止められた気がする。

ルイは何も言っていなかったので気にしていなかったが、そうか、そんなことがあったのか。

迷惑をかけてしまった。


「ごめん……」


「いいの。ルイは別に気にしないの」


「ありがとうね」


手袋を装着し、準備万端だ。


「よーし……やるぞ!」


「おー!なの」


まずは机の上から、適当に埃を払ってそれらしい物を探す。

──数十分後。


「あったの!これっぽいの」


その声につられて、ルイの下に寄ると、確かにそれらしい物があった。

いかにも高価なものが入っていそうな宝箱。

その手の定番として、鍵穴が付いているようだが。


「これは鍵を探さないといけない系かな?」


「ううん。それは別にいいの」


「ほえ?」


「だって、ルイ、鍵、開けられるもん、なの」


妙に読点が多いその言葉を聞きながら私は思った。

──ルイも充分チートなんだよなあ。

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