↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私、人生迷ったら世界最強魔導士になりました。  作者: 工藤 零
第一章 『自分探しの旅』
PR
24/102

24『可愛くない』

そう言えば、ラリアンのスキルにそんなのあったようなないような……。


「でも、死神って生命じゃなくない?」


アンデットモンスターなら生きた命ではないはずなのだが。

どういう原理なのか。

ラリアンはフッと笑って答える。


「そう思うかもしれないが、実は違うんだ」


「へ?」


「アンデットモンスターと言ってもね、普通にモンスターなんだ。その名前を与えられただけで、そいつはそういうモンスターとして生きている。幽霊とは言っても本当に幽霊ではないんだよ」


意味がよく分からない。

難しい事を言われているような……。そうでもないような……。

相槌を打てないでいると、ラリアンがもっとわかりやすくしてくれた。


「つまり、普通に命を持っているんだよ。アンデットという名前なだけでね」


未だに理解は追いついていないが、何となくわかったような気がした。

アンデットであってアンデットではない。

中身は普通のモンスターとは変わらなくて見た目がアンデット。


私には見た目さえも分からないのではっきりとは言えないが、言い換えるとそんな感じだろう。

でも、本当の幽霊、アンデットはいないのだろうか。

人間の恨みがここに姿を現す。いわゆる本当の幽霊はここにはいないのだろうか。


「いるかもしれないな」


またもラリアンは人の思考を勝手に読んだらしい。

もう流石になれたので気にしていないがやはりいい気分はしない。

今はいいが、出来れば空気を読んで思考を読んで欲しい。


牽制とこの思考も呼んでるよな、という気持ちも込めてラリアンを睨みつける。

ラリアンは目を合わせ、白い歯を見せて微笑む。

本当に大丈夫だといいのだが……。


「いるかもしれないって、誰も見たことないの?」


「そうなんだろうな。何しろ、アンデットとさほど見分けがつかないだろうし」


「あ、そっか」


ラリアンの言葉に流石異世界、と納得する。

どうせ私には見えないし……と思ったが、そうでもなかった。

アンデットモンスターが見えない、ということは本当の幽霊は見えるかもしれないのだ。


もし勘違いして近寄ったら本当に呪われるかも……と寒気を感じる。

でもまあ、誰も見たことないんだしー、と言い訳をして恐怖から思考を切り離す。


「あのね、ルイはね。お化けさん見たことあるよ!」


「え?」

「ひっ」


なんて事言うんだ。この悪魔(天使)は……!

折角その話から別の話に行こうと思っていたのに……。


「あのね、最近ね、夜ね、お散歩してたらね……」


「……っ」

「い、いいんだぞ、ルイ。そんな話しなくてもっ。私達はそんなの望んでな……」


「ギルドの外の壁の横ぐらいでね、ぶつぶつ聞こえたの」


「だからっ」

「……」


どうやら、ラリアンの止めにルイは聞く耳を持つ気がないらしい。

止めて……と言いたくなる口をつぐむ。

怖い話程、聞きたくなるものはない。


ラリアンも諦めたらしい。

青ざめた顔を見せながらも、ルイの話にしっかり耳を傾けている。


「安心しろ安心しろーって。どんなお化けなのかな!」


「それって……」


お化けじゃなくない?

嫌だってそんなセリフ、死んだ人が言わないでしょ。

何に安心しないといけないわけ?


と、しっかり落ちのあった怖い話に心の中で突っ込みを入れる。

別に心の中じゃなくてもいいのだが、ラリアンが何か言いたげなので遠慮しておいた。

口をパクパクしている。

なかなか言い出さないので背中を押してあげる。


「ラリー、遠慮しないで言っちゃいな」


多分、突っ込みか何かだろう。

と思っていたが、実際はそうではなかった。


「その、そのだな……。えっと、えっとな。多分、それは……」


「?」


「私だと思うんだ」


「はっ?」

「んー?」


「いや、私、意外と疑心暗鬼でな。その頃はナツメに嫌われてるんじゃないかと思ってたんだ。だから、自分を落ち着かせるために暗示を……」


「こわっ」


ラリアンがそういうタイプとは思っていなかった。

私にどう思われてるのかそんなに重要なのか。

まあ、その時はいいように思ってはいなかったが。


「やっぱりそうじゃないか!あの暗示はなんだったのか……」


「だ、大丈夫だよ!今はラリーの事、好きだよ?一応……」


ラリアンが泣きまねをするのでこちらも焦った振りをする。

ラリアンに私の考えは分かっているはずだが、ここは空気を読んでくれた。


「本当か!?」


「う、うん」


「そうかー」


いや、こっちの考えは読んでいなかったらしい。

完全に演技ではない。

ラリアンには何がしたいのかよく分からない、というレッテルを張った。


「ねえねえ、ルイはー?」


ルイはいつも突然だ。

馬鹿でかい声に耳が痛くなる。


「好きよー」


この言葉は本心から出たものだ。

ラリアンには悟られてはいけないことだが。


「よかったー。ルイもね、お姉ちゃんのこと好きだよ」


「ふふふ。ありがとー」


ルイが満面の笑みで言うので、思わず頭をなでる。


「えへへ」


「おわっ。ナツメ、酷いぞ!私も撫でてくれ!」


「えー。ラリーは可愛くないもん」


「……」


ラリアンが絶句する。

どうしてこんなに驚く必要があるのか。

ルイとラリアンは確実に違うというのに。


「それに、ラリアンはその帽子が邪魔で撫でられないもん」


「じゃあ、これを外せばいいのか!?」


「いやだ」


「結局!」


もうもう騒がしいったらありゃしない。

これからも大変そうだな。

誰かこの状況を変えてくれる救世主はいないものだろうか。


暫く、ダンジョン内に明るい声が響いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。