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私、人生迷ったら世界最強魔導士になりました。  作者: 工藤 零
第三章 『世界の塔』
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2『原初の層』

『世界は、突然現れました。夜空を飾る星々と、様々な生き物たちとともに、原初の世界は出現したのです』


 そんな声とともに、キラキラと輝く光たちが颯爽と現れ、色々なものを形作っていく。

 それを見届けていた私は、感慨に包まれる。見せられているものの意味も、見せられているものが何かさえも分からないのに、ただそれに魅せられていた。

 世界の創造は続く。


『世界には始め、人間はおりませんでした。神はおそらく、考える者の誕生を恐れたのでしょう。しかしそうにも関わらず、何故か魔女を生み出しました。魔女は魔法を使い、世界と共存します』


 唐突に場面が移動し、見るものが宇宙空間から草原へと変わる。

 それからみるみるうちに木が生え、生き物が生まれ、突如人の形を象った者が現れる。

 血のような真っ赤な目をした魔女と呼ばれたその者は、風を生み出し雨を降らせて火を灯した。


『魔女は、ずっと一人でした。言葉は喋れるものの、考えることのない生き物では物足りません。そしてある日、人間を生み出しました』


 一人でいた魔女が腕を大きく広げると、光が舞った。

 光は人の形になり、やがて集落が生まれ、人間世界は形成される。


『魔女はしばらくの間、幸せに暮らしていました。しかしやがて人間世界が発展していくにつれて、人間たちはお互いに争い合うようになります』


 ──。


『魔女がいくら止めても、人間たちは争うことをやめようとはしませんでした。魔女は憎悪し、悲観し、不安になり、その争いを自ら終わらせてしまおうとします。しかし、人間は争いをやめませんでした。魔女も争いに巻き込まれたことにより、その右目を失います』


 人間たちに揉みくちゃにされた魔女は、人間の刃に貫かれ、鮮血を迸らせる。


『魔女の悲しみは、世界に禍として残ります。そして魔女は人間を元に戻すことを諦め、再び独りになりました』


 場面は移り変わり、紫色の大地で魔女は塔を建てる。


『魔女は、人間を生み出した自分を呪い、世界が生まれた記憶を無くしました。そして魔女が空白を生きる間に、新たな世界は創造されます』


 ──あっ。


 視界は魔女からどんどん離れていき、やがて世界は移り変わる。


『原初の層は、ここで終わります。さあ、お目覚めください。私とはここでお別れですが、世界の層はまだまだ続きますよ。層が全て終わった時にあなたがどんな風になっているのか、今から楽しみですね』


 聞き覚えのあるようなないような声が消えると、私は目を覚ました。

 今までの景色はやはり夢だったらしい。

 しかしどうにも──。


「夢だけど、夢じゃないみたい」


 不思議な夢が心残りになりながらも、私は白い床に手をついて立ち上がった。

 見回すと、先程までは無かったはずの階段が上に続いている。

 その階段に近づきながら、私は呟いた。


「それにしても、変なところで目覚めちゃうだなんて。──魔女は、どうなっちゃったんだろ」











「もしかしてこれ、夢じゃない……?」


 突如現れた階段を登った私は、また新たな部屋に辿り着いた。

 それからまた意識を失い、『夢』を見た。

 今度もまた不思議な夢だった上に、妙に夢じゃないようだった。

 今度はあの声はしなかったが、また不思議な体験をしたのだ。


『僕らで、世界を創造しよう』


『私は世界なんてどうだっていいっ! 今生きているみんながこれ以上死なずにいられるならっ……!』


『ユーは、分かってない、だけなの。あの子の、気持ち。分かって、あげようと、してないのも、ユー、なんだよ』


『私はっ、平民だわ! だけれど、夢を見てしまった。平民でないような夢を見た。なら! 平民であり続けようとは、思わないわ!』


『星は、いつでもどこでも私たちを見てる。世界が変わっても、見てくれていると信じているから』


『愛してる! 今ここで死んでも! 私はあなたのそばで生き続ける! だから、殺して! あなたに殺されるのなら、私は──!』


 夢の中の世界で観た、聞いた、映像、台詞が脳内で繰り返される。

 知らない世界のはずなのに、知らない夢なはずなのに、懐かしい気配を感じた。

 その気配が何なのか、私は遂に分かり得なかった。


「もう一回、階段を上れば、答えが見つかる……?」


 これが、夢なのか夢ではないのか。

 もう、考えることをやめてしまいたかった。

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