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わたしをブルーに染め上げて  作者: かつをどり
第6章 ふたりぼっちステージ
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ふたりぼっちステージ 第9話

 叉音ちゃんを助けるというのもあったけど、とにかくあの場から逃げ出したくて小走りで音楽室に入り込み、ドアを閉めた瞬間脱力してしまいタイルカーペットの上に、今度は前のめりにへたり込んでしまった。


「あー…やっちゃったぁ……」


 相手はちょっと怖い先輩なのに…もっと上手いこと言えばいいのに……テンパって言い捨てるようなこと言って逃げてきちゃった……


 後悔の念と目を付けられたらどうしようと不安に押しつぶされる。


「私が断れないせいで…ごめん響」


 叉音ちゃんはわたしの前に座り込むと、本当に悲しく申し訳なさそうな顔をしながら謝ってくれた。


「叉音ちゃんは悪くないよ、わたしこそあんな断り方してごめん」

「でも───」

「大丈夫だって、一応知り合いだからなんとなるよ」


 うん、なるよ…なればいいんだけどなぁ……


「……約束守ってくれたね、ありがとう」


 膝の上に置いていた手を両手で握り、嬉しそうな顔で感謝してくれた。

 だけど───


「約束…ってなんだっけ?」

「えっ、覚えてないの?」

「えっと……あー、そういえばあの時の…アレね、うん」


 全然思い出せない。


「私が中学校の時に先輩のバンドを手伝った話をしたときに『今度同じ事があったら断ってあげる』って言ってくれたよ」


 あー、たしかにそう言われるとそんなことを言った気がする。

 全然覚えてなかった。


「あー…そういえば言ったっけね、そんなこと」

「ふふっ」


 叉音ちゃんはわたしのまぬけな様子から完全に忘れていたのを見抜いたようで、優しく笑ってくれた。


「響、忘れてたのに助けてくれたんだ」

「困ってたからね」

「やっぱり響は響だね」

「えー、なにそれ」


 叉音ちゃんは元気よく立ち上がると窓辺に向かい、指に巻き付けたビーズストラップを秋の柔らかな日差しにかざし、キラキラと輝く様子を楽しげに眺めていた。


 わたしも真似をしてみると光の当たる角度できらめきが強くなったり淡くなったり面白かった。


「ねえ、カバンにつけよっか」

「そうだね」


 壁際に積まれた荷物の中からギターバッグを取り出し、わたしは前面のポケット、叉音ちゃんは側面のファスナーのつまみに結びつけた。


「おお、いい感じ」


 三色の星と名前入りのビーズは白いギターバッグによくマッチしていて、すごくかわいらしかった。


 そして自分が作ったストラップはどうかと心配になって隣を見ると、深緑色のビーズは黒のバッグに違和感なく付けられている。


「よかった、叉音ちゃんのもちゃんと似合ってるね」

「うん、ありがとう」

「わたしの方こそこんなにかわいいのをありがとう」

「どういたしまして」


 叉音ちゃんのにっこりとした笑顔を見ていたらなんだかわたしも笑みがこぼれた。

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