表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/35

友達

ご覧いただきありがとうございます。

学園に入学して数週間が過ぎた。


クラス内にはすでにいくつか派閥(グループ)が出来て、定着しつつある。


私が所属するのは、当然。


「あぁ...!また、負けちゃったよ!」


「ローレは本当にこの手の勝負に弱いなぁ。昼飯ゲットー!いただきます。」


選抜生(平民)枠だ。


「負けた...うぅ...私、今、いろいろとピンチなんだけど...」


「あはは、冗談だよ。ローレに奢ってもらおうなんて考えてないからさ。」


選抜制のトム=グラマンは私の肩を優しくぽんっと叩く。

トムは王国でも指折りの豪商の次男坊である。


「トム、お前はほんとにローレに甘いねぇ。なに?ローレの事、好きなの?」


「はぁ!ば、馬鹿なこというなよ!ローレは貴族だぞ!俺みたいなのと、結婚...できるかよ!」

「結婚って俺はそこまで言ってないぞ?」


トムは顔を真っ赤にしてからかわれた男子生徒に噛みついた。

私はトムが言ったことを考えてみた。


「結婚かぁ・・・。」


「そいえばさ、ローレは今度の人形の模擬戦、どの隊に入るの?」


でも、すぐに中断。


「うん?まだ決めてないよ?」


「呆れた!?もう3ヶ月しかないんだよ?早く決めないと、条件のいい隊の枠が埋まっちゃうよ?」


そう言って、肩をすくめたのは、選抜生のミリア=サーブ。

友達思いのいい子。ほんとにいい子。大好き。変な意味じゃないよ


「ローレ、大丈夫なの?そんな適当で、家の人に何か言われない?」


私はチューチュー吸っていた、1個100テルン(120円)のパックジュースを飲み下しながら答える。


「んく...はぁ。うまうま。家は大丈夫だよ。この学園に入る前に軍人にはなりたくないって言ってあるし、お父様からはとりあえず卒業すればいいって言われてるから。」


家が貧乏だから学費を払ってもらえなくて、無料で通えるここに入れられたことは黙っておく。


「適当だなぁ。でも、軍に入らないのか?この学園に入学したのに?それじゃ、ローレは卒業したらどうするんだよ?家を継ぐのか?」


「ううん、私は三女だから、家は継げないよ。だから、卒業したらお父様が決めた人と結婚するの。えっと、...生まれた時から...そう決まってるんだよ。そういう約束だから。」


私はすこし端折ったけど、嘘は言っていない。と思う。


そこまで私が言ってから、椅子を鳴らして誰かが立ち上がった。


「なにそれ・・・生まれた時からって、いつの時代だよ。そんなのないよ。ローレ!そんなのだめだよ!間違ってるよ!女の子は、好きな人と一緒にならなきゃ!」


立ち上がったミリアはまるで自分の事のように私に訴えてくれる。その場にいた他の皆もミリアに賛成のようだ。

そこに、トムが立ち上がる。


「おい、やめろ。ローレは貴族だぞ?俺たちがどうこう言っていい身分の人間じゃないんだよ。」


身分の人間...

私はそんなこと生まれてから一度だって思ったことはない。だってみんな友達、でしょ?同じ人間だよね?

私のいったいどこが皆と違うのだろうか。貴族だから?でもすごく貧乏だ。トムよりもずっと。


「ありがとう、みんな、でも違うんだよ。私はそれが間違ってるとは思ってないんだ。...戦争で人を殺すよりは、ずっといいよ...。」


最後のはみんなには聞こえない声量で言った。そこに。


「いいえ、ローレッタさん、それは間違っていると思うわ。」


「えっ?」


喧騒とした教室に凛とした声が響き渡った。

ここまでお読みいただき有り難うございました。


面白いと思っていただけましたら、評価、ブックマークをお願いいたします。

励みになります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ