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大貴族のご令嬢

ご覧いただきありがとうございます。

シュヴァルベ、様・・・


私を呼んだのはシュヴァルベ=ユンカースだった。

彼女の後ろには数名の取り巻き、中には見たこともない顔も混じっている。

大貴族のお姫様が私なんかにいったい何の用だろうか。


シュヴァルベ様は計りかねたように。


「ええと...ローレッタ様とお呼びしても?」


(王国の大貴族である侯爵家にも知られていないなんて!どれだけ、辺境なんだよ!家!…いや?ちがうか大貴族だから?知らないのは当たり前だよ、うん。)


「い、いえ、滅相もありません!私は男爵家です!呼び捨てで!わ、私のことは、呼び捨ててください!お願いします!」


私は、バッと勢い良く頭を下げた。


「そう...では、そうさせていただきます。では、わたくしのことも、シュヴァルベと。」


(えぇぇ…そんなことできないよぉ。)


「い、いえ、滅相もありません!大貴族ユンカース侯爵令嬢様をお名前で呼ぶなんて、とてもできません!」


姿勢は維持!頭は下げたまま!


「頭を上げて頂戴。この学園では爵位は関係ないのよ。貴族生も選抜生も、学生は皆対等なの。」


(あれ?そうなの?)


私は上目遣いでおずおずと頭を上げる。

シュヴァルベ様は美しいラインの顎に手を添えて考えこんでから。


「…プラット・・・?失礼だけれど、聞いたことがない星系ね。領地はどのあたりかしら?」


この方と話していると精神がゴリゴリと削られていく。不敬だけれど早々に本題に入っていただくことにしよう。


「いあー、当家は辺境のそのまた辺境の、しがない男爵家でして。そのぉ…それで、私に何か御用でしょうか?」


「あら、帰宅するところだったのに、ごめんなさい。このクラスには貴族生よりも選抜生の方が多いようだから、少し心細くて・・・。よかったら仲良くしていただけるかしら。」


シュヴァルベ様は生粋の超大貴族だから選抜生(平民)の多いこのクラスの雰囲気に馴染めないのだろう。私は居心地いけれど。


「は、はい!私のような者でよろしければ、よ、喜んで!」


「そう、ありがとう。」


シュヴァルベ様の表情が柔らかくなる。


「ふふっ、そんなに緊張なさらないで。私とあなたはクラスメートなのだから。引き留めてごめんなさい。それでは、また明日。」


そう言って、シュヴァルベ様は取り巻きを従えて、颯爽と教室を後にした。


「はぁぁっ…こ、怖かった。」


その姿を見送った私は、どっかりと机に突っ伏す。

シュヴァルベ様には見えていなかっただろうけど、彼女の後ろに立つ取り巻きからはとても鋭い視線を向けられていた。ずっと私を睨んでいた。怖かった。


(私、あの人たちに何かしたかな?まだ初日なのに...ぐすん。)


「あの、大丈夫ですか?」


私が机の上でがっくりしていると、クラスメイトの一人が心配そうな声をかけてくれる。

彼女は確か選抜生の・・・。


私はすぐに身体を起こした。


「うん、大丈夫だよ。まだ都会に慣れてなくて、少し疲れただけだから。心配してくれてありがとう。」


なんでもないという風を装って微笑む。


声をかけてくれた選抜生の子は私と少し話をすると、すぐに行ってしまった。

彼女にはもう友達ができたのか、数人で楽しそうに教室から出ていく。


その姿を見送って私は思った。


(いいなぁ。友達。)

ここまでお読みいただき有り難うございました。


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