テラ・マーテル
ご覧いただきありがとうございます。
プラットの中継ステーションから、王都星テラ・マーテルへ向かう直行船はなかった。
それを知った時、私は少しだけ固まった。
入学案内には、王都星中継ステーションの連絡ポート四十八番へ集合、と書いてある。
書いてあるだけだった。
そこまでどう行くかは、自分で考えなければならない。
たぶん、王都に慣れている人なら簡単なのだと思う。
プラット星系から出たことのない私には、わりと大事件だった。
最初の船で、近隣星系の中継港へ。
そこから貨客船に乗り換えて、大きな交易ステーションへ。
さらに別の定期船に乗って、やっと王都方面の航路に入る。
乗り換えのたびに、私は入学案内と乗船券を何度も確認した。
右手にトランク。
左手に案内。
胸の中に不安。
荷物は三つ。
不安が一番重かった。
途中のステーションでは、私のように一人で移動している人もいた。
でも、みんな慣れているように見えた。
乗り換え口へ迷わず歩いていく。
掲示板を見るのも早い。
係員への質問も短くて、的確。
私はその後ろを、小さな魚みたいについていった。
たぶん魚は宇宙を歩かない。
でも気分はそんな感じだった。
水槽から出された魚。
乾かないように必死で跳ねている魚。
……自分で考えて、少し悲しくなった。
最後に乗った船は、それまでの船よりずっと大きかった。
客室も広く、窓も大きい。
座席は柔らかくて、座ると少し沈んだ。
私は最初、壊したかと思って慌てた。
隣の席の老婦人が何も言わなかったので、たぶんそういう椅子なのだとわかった。
世の中には、座っただけで沈む椅子がある。
王都方面はすごい。
そう思った。
船内放送が流れるたびに、私は背筋を伸ばした。
聞き逃したら困る。
降りる場所を間違えたら、とても困る。
王都星テラ・マーテル。
何度もその名前が放送で呼ばれる。
テラ・マーテル。
母なる大地、という意味だと本で読んだことがある。
王国の首都星。
政治と軍事と経済の中心。
王族が住み、上位貴族が集まり、王立宇宙軍士官学校がある場所。
そこへ、私が行く。
プラット男爵家の三女で、トランク一つしか持っていない私が。
考えると胸がきゅっとなる。
私は膝の上で手を握った。
大丈夫。
目立たない。
迷惑をかけない。
髪もちゃんと染めている。
何度目かわからない確認をしてから、窓の外を見た。
黒い宇宙が広がっている。
星がある。
遠くに光の粒が集まっている。
最初は星の集まりかと思った。
でも違った。
近づくにつれて、それは少しずつ形を持ちはじめた。
大きな青い星。
その周りに、いくつもの構造物が浮かんでいる。
輪のような軌道施設。
細長いドック。
光る港。
船を抱え込むような巨大な骨組み。
それらが、星を飾る宝石みたいに並んでいた。
私は息を止めた。
綺麗だった。
ただ綺麗、という言葉では足りなかった。
大きすぎて、綺麗なのか怖いのか、すぐにはわからなかった。
プラットの空は薄い。
屋敷は古い。
発着場は小さい。
でも目の前の星は、まるで別の世界だった。
青と白の雲が渦を巻き、その上に銀色の線が光っている。
夜側には、都市の明かりがびっしりと広がっていた。
星そのものが、生きているみたいだった。
そして、その周りを無数の船が行き交っている。
小型の連絡艇。
貨物船。
長い船体を持つ商船。
何層も窓が並ぶ大型客船。
その間を、重く静かに進む灰色の艦影。
軍艦。
見た瞬間、胸の奥が冷えた。
他の船とは違う。
飾り気がない。
強い。
遠目にも、そうわかった。
砲塔らしき突起。
厚い装甲。
規則正しく点滅する航行灯。
船なのに、剣を抜いていない騎士みたいに見えた。
抜いていないだけ。
いつでも抜ける。
そんな感じだった。
宇宙軍。
軍艦。
戦争。
言葉が胸の中でつながりそうになって、私は慌てて目を伏せた。
だめ。
ここは戦場ではない。
ただの航路。
ただの首都星。
私はただの新入生。
そう言い聞かせても、窓の外の軍艦は消えなかった。
消えるわけがない。
私はもう一度、そっと顔を上げた。
怖い。
でも、目を離せない。
王都星テラ・マーテルは、それくらい大きくて、美しかった。
王都星中継ステーションは、私が今まで通ってきたどのステーションよりも大きかった。
大きい、というより、ひとつの街だった。
船を降りた瞬間、人の流れに飲み込まれそうになった。
本当に、飲み込まれるかと思った。
右からも左からも人が歩いてくる。
正面からも来る。
後ろからも来る。
掲示板は何枚もあって、案内表示は光り、放送は次々と流れ、誰かの話し声と荷物の音と足音が全部混ざっている。
私はトランクの持ち手をぎゅっと握った。
ここで離したら、もう二度と会えない気がした。
トランクと離別するのは困る。
中に着替えとお金と入学案内が入っている。
たぶん、今の私の全財産。
全財産が人混みの海へ消えるところは見たくない。
私は壁際に寄って、入学案内を開いた。
王都星中継ステーション。
連絡ポート四十八番。
四十八番。
案内表示を探す。
三十番台はあった。
五十番台もあった。
でも四十八番が見つからない。
どうして。
四十七番と四十九番はあるのに。
四十八番はどこへ行ったのだろう。
番号なのに迷子になることがあるのだろうか。
いや、迷子になっているのは私だ。
私はもう一度、表示を見上げた。
人が多くて、立ち止まっていると邪魔になる。
でも歩くとどこへ行けばいいかわからない。
とても困る。
私は少しずつ端を歩きながら、案内板を探した。
王都の人たちは歩くのが早い。
しかも、ぶつからない。
流れる水みたいに、人の間をすり抜けていく。
私はその流れに乗れなかった。
小さな葉っぱみたいに、端でくるくる回っているだけ。
「あの」
柔らかな声がした。
私に向けられた声だと気づくまで、少しかかった。
振り向くと、同じくらいの年の女の子が立っていた。
整った服装。
淡い灰色の外套。
肩までの明るい栗色の髪。
姿勢がよくて、でも威圧感はない。
後ろには侍女らしい女性が一人、控えていた。
女の子は私を見ると、丁寧に微笑んだ。
「失礼ですが、王立宇宙軍士官学校の新入生の方ですか?」
私は慌てて背筋を伸ばした。
「は、はい。ローレッタ=プラットです」
声が少し裏返った。
恥ずかしい。
でも、女の子は笑わなかった。
「私はセシリア=ヒースローと申します。ヒースロー伯爵家の者です」
伯爵家。
私は一瞬、頭の中で階級を並べた。
男爵より上。
つまり、私よりずっと上。
慌てて頭を下げる。
「失礼いたしました。プラット男爵家の三女、ローレッタ=プラットです」
「どうぞ、そのように畏まらないでください。同じ新入生ですもの」
セシリア様は、少し困ったように笑った。
笑い方まで上品だった。
困った。
こういう時、どう返せばいいのだろう。
同じ新入生。
でも伯爵令嬢。
上位貴族。
逆らうな。
目立つな。
父の言葉が頭の中で手を振っている。
かなり大きく。
「はい。ありがとうございます」
私はとりあえず、もう一度頭を下げた。
セシリア様は私の手元を見た。
「もしかして、連絡ポートをお探しですか?」
「はい。四十八番を探しているのですが……四十七番と四十九番は見つけたのに、四十八番が見つからなくて」
言ってから、すごく間抜けな説明だと思った。
でも事実だった。
セシリア様は小さくうなずいた。
「四十八番は、この階ではなく一つ下の連絡区画です。少しわかりにくい場所にあるのです」
「下……」
番号なのに階が違う。
王都は難しい。
「私もそちらへ向かうところです。よろしければ、ご一緒しませんか?」
私は目を瞬いた。
一緒に。
伯爵令嬢と。
「よろしいのですか?」
「ええ。もちろんです」
後ろの侍女も、静かに会釈した。
私は慌てて頭を下げ返した。
「ありがとうございます。助かります」
本当に助かる。
たぶん一人だったら、四十八番を探して三日くらいここに住むことになった。
いや、三日は言いすぎかもしれない。
でも半日は迷ったと思う。
それはかなり困る。
セシリア様は歩き出した。
私は少し後ろをついていく。
「こちらです」
「はい」
セシリア様は人混みの中でも迷わなかった。
歩く速さは落ち着いているのに、ちゃんと流れに乗っている。
すごい。
王都に慣れている人の歩き方だ。
私はトランクをぶつけないように気をつけながら、横に並んだ。
「ヒースロー様は、王都にお詳しいのですね」
「何度か来たことがあります。父の用事についてきただけですけれど」
「それでも、すごいです。私は初めてで……全部が大きくて、どこを見ればいいのかわからなくなります」
言ってから、田舎者みたいだったかもしれないと思った。
お姉さまに、きょろきょろするなと言われたばかりなのに。
でもセシリア様は、馬鹿にするような顔をしなかった。
「初めてなら、驚かれると思います。私も最初に来た時は、人の多さで気分が悪くなりました」
「ヒースロー様もですか?」
「はい。内緒ですけれど」
セシリア様は少しだけ声を落とした。
私は思わず笑いそうになった。
でも、待合区画で一人で笑うと目立つ。
いや、今は一人ではない。
でも、やっぱり控えた。
「王都星は、いつもこんなに船が多いのですか?」
「多い方だと思います。特に今は学園や士官学校の入学時期ですから、地方からの便も増えています」
「なるほど……」
だから人が多い。
いや、理由がわかっても多いものは多い。
私はもう一度、人の流れを見た。
整った服の令嬢。
背の高い令息。
商人。
軍人。
荷物運びの人。
小さな子ども。
いろいろな人がいる。
プラットでは、同じ顔ぶれを何度も見る。
ここでは、すれ違う人全員が知らない人だ。
それだけで、世界が大きすぎる気がした。
「プラット様は、お一人でいらしたのですか?」
セシリア様が尋ねた。
「あ、はい。プラットからは直行船がなくて、何度か乗り継いできました」
「それは大変でしたね」
「少しだけ。でも、案内があったので大丈夫でした」
大丈夫。
いつもの言葉。
セシリア様は、私の顔を少し見た。
何か言いたそうに見えたけれど、何も言わなかった。
代わりに、柔らかく微笑む。
「もう少しです。下の連絡区画へ降りれば、四十八番はすぐです」
「はい」
私はうなずいた。
セシリア様は丁寧な人だ。
伯爵令嬢なのに、男爵家の私にも普通に話してくれる。
普通。
その普通が、少しくすぐったかった。
連絡ポート四十八番には、すでに同年代の人たちが集まっていた。
私は足を止めた。
眩しい。
最初にそう思った。
もちろん、本当に光っているわけではない。
でも、そう見えた。
令息たちは仕立てのよい服を着ている。
令嬢たちの外套やドレスも、布の質が明らかに違う。
髪はきれいに整えられ、靴は磨かれ、鞄は上等そうだった。
侍従や侍女を連れている人もいる。
荷物も多い。
大きなトランクを二つ三つ持たせている子もいた。
私は自分の足元を見た。
古いトランクが一つ。
急に、とても小さく見えた。
いや、実際小さい。
知っていた。
でも、周りと比べると、より小さい。
私はそっとトランクを足の後ろに寄せた。
隠れるわけではないけれど、気持ちだけ。
「新入生の方はこちらへ」
学園の職員らしい人が、連絡ポートの入口で案内していた。
制服はきちんとしていて、胸に士官学校の徽章がある。
王立宇宙軍士官学校。
その文字を見た瞬間、胸がまたきゅっとした。
でも、さっきよりは耐えられた。
ここで立ち止まる方が目立つ。
私はセシリア様と一緒に列に並んだ。
前の令嬢が、侍女から書類を受け取って職員に渡す。
職員は確認し、名前を記録して、次の案内をする。
一人ずつ。
順番に。
私は自分の入学許可書を鞄から出した。
何度も確認したので、紙の端が少しだけ柔らかくなっている。
破れてはいない。
大丈夫。
「次の方」
セシリア様が先に進んだ。
「セシリア=ヒースローです」
「ヒースロー伯爵家のセシリア様ですね。確認いたしました。こちらでお待ちください」
「ありがとうございます」
やり取りがとても滑らかだった。
次に私の番が来る。
私は一歩前へ出た。
「ロ、ローレッタ=プラットです」
少し噛んだ。
つらい。
職員は表情を変えずに書類を受け取った。
「プラット男爵家、ローレッタ様ですね」
「はい」
「確認いたしました。こちらへお進みください」
「あ、ありがとうございます」
書類が返される。
私はそれを大事に鞄へ戻した。
その間にも、周りの人たちの会話が耳に入る。
「寮はどちらになるのかしら」
「父が軍務省の方に話を通してくださって」
「訓練機はユンカース製かしら」
「ハインケルの新型を見てみたいわ」
訓練機。
ユンカース。
ハインケル。
人形。
言葉だけで、胸が少し重くなる。
みんな、平気なのだろうか。
人形に乗ることが。
軍学校に入ることが。
戦いに近づくことが。
怖くないのだろうか。
いや、怖いのは私だけなのかもしれない。
私はマーリンの記憶を持っている。
あの黒い宇宙と、赤い警告と、斬った感触を知っている。
知っているから怖い。
知らなければ、憧れられたのだろうか。
かっこいいと思えたのだろうか。
わからない。
わからなくていい。
私は目立たず卒業するだけ。
そう決めた。
「プラット様」
セシリア様が声をかけてくれた。
「はい」
「この後、軌道エレベーターで地上へ降りるそうです」
「軌道エレベーター……」
言葉だけなら知っている。
宇宙と地上をつなぐ巨大な昇降施設。
でも実物は見たことがない。
「大丈夫ですか?」
セシリア様が少し心配そうに聞いた。
私は慌てて笑った。
「はい。大丈夫です」
いつもの言葉。
でも、セシリア様の前で言うと、少しだけ違う感じがした。
ただ隠すための言葉ではなく、ちゃんと立っていたいから言った言葉。
そんな気がした。
軌道エレベーターは、大きすぎてよくわからなかった。
それが最初の感想だった。
連絡ポートから案内されて移動すると、巨大な乗降ホールに出た。
透明な壁の向こうに、太い柱のような構造物が見える。
それが宇宙から地上まで伸びている。
伸びている、という言葉で足りるのだろうか。
上も下も、見えない。
ただ、巨大な線が宇宙と星を結んでいる。
それを見上げていると、自分がとても小さくなった気がした。
いや、もともと小さいけれど。
知っているけれど。
でも、さらに小さい。
「こちらへ」
職員の案内で、私たちは大型の搬送キャビンに乗り込んだ。
キャビンというより、小さな広間だった。
座席が並び、中央には手すりがある。
窓が大きい。
外がよく見える。
よく見えすぎる。
私は窓際の席に座った。
セシリア様が隣に来てくれる。
侍女の方は少し後ろに控えた。
「初めてなら、窓の外をご覧になるといいです」
セシリア様が言った。
「とても綺麗ですから」
「はい」
私はうなずいた。
キャビンが静かに動き出す。
最初はほとんど揺れなかった。
でも、身体がゆっくり引かれるような感覚がある。
宇宙から、星へ降りていく。
窓の外に、テラ・マーテルが広がっていた。
青い大気。
白い雲。
その下に、巨大な都市。
私は息を呑んだ。
都市が、どこまでも続いている。
高層建築が立ち並び、光る道路が網目のように走っている。
塔があった。
美しく、巨大な塔。
その周囲にも、いくつもの高い建物が並んでいる。
雲を突き抜けるような建築物。
空中を走る交通路。
緑の区画。
水面を反射する人工湖。
プラットの町とは、何もかも違った。
大きい。
綺麗。
怖い。
この星に、どれだけの人が住んでいるのだろう。
どれだけの声があって、どれだけの願いがあって、どれだけの争いがあるのだろう。
考えようとして、すぐにやめた。
多すぎる。
私一人では、数えきれない。
キャビンはゆっくり降りていく。
都市が少しずつ近づく。
建物の形が見える。
飛行艇が行き交う。
大きな広場が見える。
軍施設らしい整った区画もある。
そこに並ぶ格納庫のような建物を見た時、胸が少し跳ねた。
人形。
きっと、あのどこかにある。
訓練機。
軍用機。
剣を持つ、鉄の巨人たち。
指先が少し震える。
私は手を握った。
今は見えない糸を引かない。
何も操らない。
ただ降りるだけ。
ただ、王都へ来ただけ。
「プラット様?」
セシリア様の声がした。
私は慌てて顔を向けた。
「はい」
「顔色が少し」
「大丈夫です。少し、景色に驚いてしまって」
これは本当だった。
セシリア様は安心したように微笑んだ。
「初めて見ると、圧倒されますよね」
「はい。こんなに大きいものだとは思いませんでした」
「私も、最初は怖いくらいだと思いました」
「怖い……」
「ええ。でも、少しずつ慣れます」
セシリア様は窓の外を見た。
「たぶん」
たぶん。
その言い方が、少しだけおかしかった。
伯爵令嬢でも、たぶんなのだ。
私は小さく息を吐いた。
少しだけ、胸の力が抜けた。
キャビンはさらに下がる。
窓の外で、王都が近づいてくる。
美しく巨大な塔。
高層建築群。
光る交通路。
人の作ったものが、星の表面を覆っている。
それは本当にすごい景色だった。
でも同時に、私は思った。
この大きな都市の中でなら、私一人くらい、きっと簡単に埋もれられる。
誰にも見つからず。
誰にも目立たず。
静かに。
平凡に。
そうできるかもしれない。
胸の奥で、マーリンの記憶がかすかに揺れた気がした。
白い光。
黒い宇宙。
戦場。
私は心の中でそっと言った。
大丈夫。
ここは戦場じゃない。
私は撃墜女王じゃない。
ローレッタ=プラット。
王立宇宙軍士官学校の新入生。
ただそれだけ。
軌道エレベーターのキャビンが、地上側の到着区画へ近づいていく。
案内放送が流れた。
まもなく王都中央ターミナルに到着します。
その声を聞いた瞬間、胸がまたきゅっとなった。
今度は怖さだけではなかった。
不安。
緊張。
少しだけ、期待。
期待。
そう思って、自分で驚いた。
私にも、そんなものがあったらしい。
扉の向こうに、知らない世界がある。
怖い。
でも、少しだけ見てみたい。
私はトランクの持ち手を握った。
古いトランク。
お下がりの服。
少しのお金。
茶色に染めた髪。
そして、自分のものではない記憶。
それだけを持って、私はここまで来た。
キャビンが静かに止まる。
扉が開いた。
王都の空気が、流れ込んでくる。
少し暖かくて、少し乾いていて、たくさんの人と機械の匂いがした。
私は一歩、外へ出た。
ついに、王都に来た。
テラ・マーテル。
母なる大地。
私には大きすぎる場所。
でも、今日から私が歩く場所。
私は顔を上げた。
遠く、巨大な塔が空へ伸びていた。
その先にある青い空は、プラットの空よりずっと濃く見えた。
ここまでお読みいただき有り難うございました。
面白いと思っていただけましたら、評価、ブックマークをお願いいたします。
励みになります!




