家を放り出される
ご覧いただきありがとうございます。
しかし、人生はままならないもの。
(えっ...?)
「王立宇宙軍、士官、学園?」
佇む私はお父様の言葉を繰り返した。
私は今日で14歳になった。私は誕生日を祝ってもらったことがない。
そんなことは今更だから思うところはないけれど。今日この日に呼び出された私は初めてお祝いの言葉をもらえるのかと、ドキドキしながらお父様の執務室にやってきた。
そこでたった今、告げられたのである。お祝いの言葉などではなかった。
「そうだ、お前も知っていると思うが、お前のような娘はどこか学園を出ていないと娶ってくれる家はない。」
「まぁ、持参金でも多めに用意できればお前のような娘でも娶ってもいいと言ってくれる家もあるかもしれないが、そんな金は我が家にはない。」
「であれば、お前を何処か学園に入れる必要がある。しかし、お前を普通の学園に入れることはできん。長女と次女のこともある。三女であるお前の進学先での学費や生活費など出す気はない。」
「かといって、これ以上お前を家に置いていくこともできん。身売りも考えたが・・・。」
「その時、私は思い出したのだ。王立宇宙軍士官学園は学費がすべて国費から出されている。しかも、全寮制で衣食住にまったく金がかからない事をな。」
「言うまでもないが学園に入学するにあたって、家から仕送りは一切しない。小遣いは今月までだ。これからは自分の小遣いは自分で稼げ。王立宇宙軍士官学園は王都にある。周りにアルバイトするところはいくらでもあるだろう。お前は少し前からアルバイトをしたいと言っていたな。許可してやる。」
「以上だ、何か聞きたことはあるか?」
「あぁ、もちろん決定事項だ。口答えは許さん。それにもう入学の手続きは済ませてある。」
「入学試験?そんなものは必要ない。お前は貴族だ、貴族は試験が免除されている。」
「なに?娘が離れて暮らして心配?いいや、大丈夫だ。まったく心配などしておらん。お前は適当に勉強して卒業してくれればいいだけだ。むしろお前がいなくて家計が助かる。」
「ん?軍人なんてなりたくない?もちろんだ。卒業したらすぐに帰ってこい。それまでに適当な嫁ぎ先か身売り先を探しておく。」
「おっと、もうこんな時間か。いいな?よし、4年間、頑張ってこい。それじゃ、行ってらっしゃい。」
「あぁ、そうだ。忘れるところだった。連絡は月1回、必ずしてこい。電話は面倒だから手紙でいい。それから、アルバイトで稼いだ金は好きに使え。ただし、余った分は手紙と一緒に送ってこい。いいな。」
そうして、見図ったように侍女から渡されたトランク一つと身一つで、その日のうちに家を出された。
それが、一週間前の事。
私は学園から送られてきた切符で亜光速船を乗り継ぎ、学園が用意した宿泊先に泊まり、領地から遥々王都にやってきた。
私が生まれて初めて見る都会。
その、都会で待っていたのは・・・。
ここまでお読みいただき有り難うございました。
面白いと思っていただけましたら、評価、ブックマークをお願いいたします。
励みになります!