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緊急事態4 作戦

ご覧いただきありがとうございます。

「よっしゃー!全弾命中!」

「ちょっと!今の見たー!?2機抜きー!」

「やった!シュヴァルベ様!当たりましたよ!」


トムもミリアもシュヴァルベ様もみんなも、行けると思った。私達ならやれるって信じて疑わなかった。


でも。



最初はよかった。


「うそ…私…全部、外しちゃっ、た…」

「おい!今!ミサイルが避けなかったか!?」

「ごめん…ごめん…みんな、ごめんなさい!!」


しかし。高高度(2万メートル)極超音速(秒速1700メートル)で飛行する(ミサイル)に簡単に当てられるはずがない。私たちは本当によくやったと思う。本当に。だって。


「…戦術オペレータ、戦況を、報告して。」


目標(ミサイル)、撃墜13機…、最終防衛ライン、7機…突破されました…作戦は…失敗、です。」


(そっか、失敗か。みんな頑張ったのにな、残念だな...)


私はシュヴァルベ機の隣で通信ウィンドウから聞こえてくる、みんなの悲痛な叫びを聞いていた。

それは現実味がなくて、どこか遠いところで起こっているような気さえする。

でも。


ドクンードクンー…


私の心臓が痛いほど打ち鳴らされる。胸が痛い。息が苦しい。身体が勝手に震える。


みんな、ここまでやったのに。

みんな、頑張ってきたのに。

これで終わり。もう、この世界とお別れ。


私に未練はない。

学園に入学して今まで本当に楽しかった。それ以外にも辛いことも、痛いこともあった。

でも、それでも、こんな生き方もあるんだ。初めて知った。誰かのスペアでも、部品でもない。

人としての生き方。それを知ることが出来た。それで十分だったんだ。


誰かが私に語り掛ける。


ーじゃあ、どうしてこんなに悲しいの?ー。


私が求めているのは()()()()()()()()()。もうこの世界に、()()はない。とすぐに思ったから。


ー本当かな?ー


だって、ローレッタはもう十分に人生を楽しんだから。


ー本当に?ー


ーじゃあ、どうしてこんなにも胸が苦しいの?。息ができないくらいー。


それは。紛れもない。

死ぬから。トムが。ミリアが。バイト先のおばさんが。王都のみんなが。シュヴァルベ様が。私に生き方を教えてくれたすべての人たちが死んじゃうからだ。


ーそれでいいの?ローレッター。


それでいいかって?そんなの決まってるよ。


そんなの・・・。


そんなのはだめに決まってる。そんなのだめだよ。みんな()もっと生きなきゃ!死んだらだめだ!


ー嫌なんでしょ?ローレッタ。私にはわかるよ、あなたの気持ち。だって私も同じだからー。


その瞬間、(ローレッタ)は気づいた。

マーリンは生に固執していた。ずっと死にたくないと思っていた。でも、それは(ローレッタ)の勝手な勘違いだと気づいた。


私はマーリンじゃない。記憶は持っているけれど、それはただの知識に過ぎない。

考え方はローレッタだから。だから、ずっと誤解していたんだ。


マーリンは()()()死ぬのが嫌だったんじゃない。()()()が死んでいくのが嫌だったんだ。


(ローレッタ)が今まで、戦いたくなくて、押しとどめて(隠して)きた撃墜女王(マーリン)の記憶、知識。それを…。


ー今、使わなくて、一体、いつ使うの?ローレッタ、言ってごらんよ?いつ?ー


あなた(ローレッタ)、ホントにー。

ーホントにそれでいいの?後悔しない?(マーリン)のようにー。


ーねぇ、いつまでそうしている(わからないふり)つもり!?あんたの本当にしたい事いってごらんよ!?ー


ーローレッタ=プラット!ー


私は目を開く。声を上げる。息苦しさも手も震えも止まった。


決めた!(ローレッタ)は、(マーリン)を、もう隠さない。


何も知らないフリは、もうしない。


「隊長!ローレッタ機、追撃、行きます!」

ここまでお読みいただき有り難うございました。


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