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魔力論

ご覧いただきありがとうございます。

王国軍史の講義のあと、私は少しだけ魔力というものが嫌になった。


少しだけ。


便利な言葉だ。


本当は、かなり嫌だった。


だって、魔力がなければ人形は動かない。


人形が動かなければ、あの白い機体は宇宙を駆けなかった。


撃墜女王なんて呼ばれる誰かも、たぶんいなかった。


もちろん、それはかなり乱暴な考えだ。


火があるから火事が起きる、と言っているようなものだと思う。


火は食事を温めるし、夜を照らす。


魔力だって同じだ。


生活を支える。


人を運ぶ。


暗い場所を照らす。


それは知っている。


知っているけれど、胸の中に残った映像は、そんなに簡単には消えてくれなかった。


白い人形。


黒い宇宙。


赤い警告。


私は講義室へ向かいながら、指先をこすった。


まだ、見えない糸の感触が残っている気がした。


本当は、ない。


ここは廊下で、私は人形に乗っていない。


ただの学生で、ただのローレッタ=プラットだ。


そう思うのに、指は勝手に何かを覚えている。


困った指だ。


持ち主より、ずっと物覚えがいい。


魔力論の講義室は、王国軍史の時より少し明るかった。


正面には大きな投影スクリーン。


机の上には、魔力計測用らしい小さな結晶板が置かれている。


薄い青色で、手のひらほどの大きさ。


私はそれを見て、少しだけ身構えた。


測るものは苦手だ。


測られると、隠していたものまで数字にされる気がする。


私は目立たず卒業したい。


できれば、普通の中位くらいの人として。


かなり難しくなってきている気もするけれど、希望を捨てるにはまだ早い。


たぶん。


席に着くと、セシリア様が静かに隣へ座った。


「プラット様、お加減はいかがですか」


「はい。大丈夫です、ヒースロー様」


大丈夫。


いつもの言葉。


セシリア様は少しだけ私を見た。


見抜かれている気がした。


でも、深くは聞かれなかった。


ありがたい。


少し離れた席では、トムとミリアが小声で話している。


「魔力論って、座学だよな?」


「座学だけど、机の上に結晶板があるでしょ」


「実技あり?」


「たぶん、簡単な確認くらいじゃない?」


「俺、簡単じゃない確認は遠慮したい」


「トムは簡単な確認でも勢い余るから気をつけて」


「勢い余る前提なのか」


「前提」


ミリアの即答に、トムが少し肩を落とした。


その様子に、少しだけ口元が緩む。


二人はいつも、空気を少し軽くしてくれる。


まだ私は二人と近いと言えるほどではない。


呼び方も、言葉の距離も、少し遠い。


でも、その遠さが今はちょうどよかった。


近すぎると、たぶん私の中の重いものがこぼれてしまう。


講義開始の鐘が鳴る。


教室の扉が開き、講師が入ってきた。


年齢は若くもなく、年配というほどでもない女性だった。


銀灰色の髪を後ろでまとめ、丸い眼鏡をかけている。


動きは穏やかなのに、目だけがよく動く。


まるで、教室全体の魔力の流れを見ているみたいだった。


「魔力論を担当する、マリアンヌ=ベルヌーイです」


ベルヌーイ講師。


名前を聞いて、端末に表示された講師情報を確認する。


王立宇宙軍士官学校、基礎魔力理論担当。


生活魔力工学、魔力変換炉基礎、人体魔力安全管理。


最後の項目が少し怖い。


人体。


魔力。


安全管理。


並べるだけで、なんだか胸が冷える。


「この講義では、皆さんがすでに使っている魔力について、改めて基礎から確認します。扱えることと、理解していることは別です。特に人形使いを目指す者にとって、魔力の誤解は命に関わります」


命に関わる。


講義の最初から、重い言葉が来た。


私は背筋を伸ばした。


伸ばさなければ、少し丸くなりそうだった。


ベルヌーイ講師はスクリーンに星図を映した。


古い地球圏。


そこから伸びる航路。


開拓された星系。


そして、人類拡大史の横に、魔力発現史という文字が表示される。


「魔力は、宇宙に進出した人類が得た新たな能力です。最初から全人類が自在に使えたわけではありません。恒星間航行、長期宇宙滞在、未知の環境への適応。その中で、人体に発現した性質だと考えられています」


宇宙に進出した人類が得た能力。


私はその言葉を頭の中で繰り返した。


不思議だ。


人は星の外へ出て、代わりに内側から力を見つけた。


外へ行ったのに、内側。


ちょっと変な感じがする。


「現在、魔力は生活に欠かせないものとなっています。手元を照らす明かり、小型車両、小型航空機、個人用端末の補助電源、そして人形。魔力は、個人が持つパーソナルなエネルギーとして広く利用されています」


スクリーンにいくつかの映像が映る。


小さな灯り。


魔力で動く家庭用湯沸かし器。


一人乗りの小型車両。


翼の短い小型航空機。


そして人形。


最後に人形が映った瞬間、胸の奥が少し固くなる。


私は視線を机の結晶板へ落とした。


領地にいたころ、私が魔力を使うのは、手元の明かりをつける時くらいだった。


小さなランプ。


古い屋敷の廊下は暗く、夜になると影が深くなる。


足元を照らすために、ほんの少しだけ魔力を流す。


明るくしすぎると怒られる。


燃料がもったいないわけではない。


魔力は自分のものだ。


でも、目立つなと言われていた。


変なことをするなとも。


だから私は、魔力を使う時も小さく、小さくしていた。


自分の存在と同じくらい、小さく。


「魔力は、そのままでは多くの機械にとって扱いにくい性質を持ちます。そのため、回路や魔力変換炉を通してエネルギーに変換します」


ベルヌーイ講師が次の図を表示した。


人の身体から伸びる青い流れ。


変換炉。


そこから機械へ送られる白い光。


「魔力変換炉は、魔力をエネルギーへ変える装置です。小型のものは家庭機器や車両に、大型のものは人形の主動力系に用いられます。高出力の魔力を持つ人形使いであれば、変換炉を通して巨大な機体を動かすことも可能です」


巨大な機体を動かす。


人形の腕。


脚。


スラスター。


ソード。


あの大きな身体を、指先の糸で動かす。


私は自分の手を見た。


この手で。


こんな小さな手で。


人形は動く。


それはすごいことなのだと思う。


でも、すごいことは、少し怖い。


大きなものを動かせるなら、大きなものを壊せるということでもある。


「ただし、魔力は万能ではありません」


ベルヌーイ講師の声が、少し低くなった。


「都市インフラ、大型艦船、大型航空機、広域防衛設備。そういった大量のエネルギーを安定して必要とするものには、通常動力が用いられます。内燃機関、核融合炉、艦船用主機。魔力は高出力ですが、個人差が大きく、連続稼働にも限界があります」


スクリーンに都市の断面図が映る。


地下の発電設備。


大型艦の炉心。


そこに、魔力補助系が小さく表示されている。


魔力は便利だけれど、何でも魔力で動かすわけではない。


それは少し安心した。


人間ひとりの力で都市全部を支えるなんて、重すぎる。


そんなものを背負わされたら、たぶん潰れてしまう。


いや、私は手元の明かりでも少し緊張するので、都市は無理だ。


かなり無理。


「魔力量には個人差があります。多い者、少ない者。出力が高い者、制御が細かい者。瞬間的な放出に優れる者、長時間の維持に優れる者。人形適性では、単に量が多いだけでなく、制御特性、反応性、変換炉との相性も見ます」


心臓が、少し嫌な音を立てた。


人形適性。


測定。


あの検査室。


装置の奥へ、勝手に滑り込む糸。


検査員の表情。


私は膝の上で手を握る。


セシリア様が、ほんの少しこちらを見た気がした。


私は笑いそうになって、やめた。


ここで笑うと、逆に不自然だ。


「ここで勘違いしてはいけないことがあります」


ベルヌーイ講師は、教室全体を見渡した。


「魔力量が多い者が必ず優秀な人形使いになるわけではありません。逆に、量が平均的でも制御に優れ、支援や索敵、細密操作に適する者もいます。魔力とは、量だけで価値が決まるものではありません」


量だけではない。


その言葉に、少しだけ胸がゆるむ。


私は自分の魔力量をよく知らない。


測定したことも、きちんと学んだこともない。


領地で教わったのは、灯りをつける程度。


無駄に使うな。


目立つな。


必要以上に明るくするな。


そのくらいだ。


でも、もし量が多かったとしても、それだけで何かが決まるわけではない。


そう思うと、ほんの少しだけ呼吸がしやすかった。


ほんの少しだけ。


「では、机の上の結晶板に手を置いてください。これは測定用ではありません。反応を見るための簡易教材です。出力を競うものではないので、強く流さないように」


測定用ではない。


よかった。


私はかなり本気でそう思った。


周囲の生徒たちが結晶板に手を置く。


私もそっと右手を乗せた。


冷たい。


薄い青色の結晶が、指の下で微かに光る。


「ごく少量の魔力を流します。手元の明かりをつける程度で構いません。むしろ、それ以上は不要です」


手元の明かり。


それなら知っている。


私はゆっくり息を吸って、ほんの少しだけ魔力を流した。


小さく。


薄く。


夜の廊下で叱られないくらい。


結晶板が淡く光る。


よかった。


強くなりすぎていない。


私はほっとした。


「その光が安定しているかを見てください。揺れる場合、出力ではなく制御が乱れています。乱れそのものは悪いことではありません。自分の癖を知ることが重要です」


周囲の結晶板が、青白く光っている。


トムの机の上は少し明るい。


「グラマンさん、少し強いです」


ベルヌーイ講師が言った。


「え、これでも弱めなんですけど」


「さらに弱く」


「はい」


トムの光が少し暗くなった。


隣でミリアが小さく笑う。


「だから勢い余るって言ったでしょ」


「魔力まで勢い余るとは思わなかった」


「トムらしい」


「褒めてる?」


「確認してる」


二人の小声を聞いて、少しだけ緊張がほどけた。


ミリアの結晶板は、明るさは強くないけれど、光の揺れが少ない。


セシリア様の光は、柔らかくて丁寧だった。


シュヴァルベ様の光は、澄んだ青に近い。


静かで、強い。


ルイーゼ様の光も美しい。


整っていて、乱れが少ない。


私は自分の結晶板を見る。


淡い光。


大丈夫。


このくらいなら普通。


普通のはず。


そう思った瞬間、王国軍史の映像が脳裏に差し込んだ。


白い機体。


白いスラスター。


黒い宇宙。


赤い警告。


指先が震えた。


結晶板の光が、一瞬だけ強く跳ねた。


私は慌てて魔力を絞る。


小さく。


小さく。


消えない程度に。


強くしない。


目立たない。


「……」


ベルヌーイ講師の視線が、少しこちらを向いた気がした。


気のせいかもしれない。


気のせいであってほしい。


私は何もなかった顔をした。


顔というのは、本当に難しい。


何もなかった顔をしようとすると、何かありました顔になる。


困る。


「今、何人か光が跳ねましたね」


ベルヌーイ講師が言った。


私は心臓が止まりそうになった。


「緊張や記憶、感情によって魔力は揺れます。特に人形使いは、戦闘状況で恐怖、焦り、怒りにさらされます。その時に魔力が乱れると、変換炉への負荷が増し、機体制御にも影響します」


責められているわけではない。


でも、胸に刺さる。


感情で魔力が揺れる。


恐怖で。


焦りで。


記憶で。


私は記憶が多すぎる。


自分のものではない記憶まである。


それが魔力を揺らすなら、私はとても危ないのではないだろうか。


「そして、最も重要なのが魔力切れです」


教室の空気が少し固くなった。


ベルヌーイ講師は、スクリーンに人体図を表示した。


魔力の流れ。


脳。


心臓。


神経。


手足。


細い光の線が身体中を巡っている。


「魔力は単なる燃料ではありません。人体の生命活動と深く結びついています。過度に消費すれば、意識障害、神経麻痺、内臓機能低下、呼吸不全を起こす可能性があります。最悪の場合、死に至ります」


死。


その一文字が、教室の中に落ちた。


誰もすぐには動かなかった。


私は結晶板から手を離したくなった。


でも、まだ指示は出ていない。


「人形は高出力の魔力を必要とします。魔力変換炉は効率よく魔力を動力エネルギーへ変えますが、消費そのものが消えるわけではありません。特に飛行、急加速、急旋回、エネルギー兵器の使用は大きな負荷となります」


急旋回。


急加速。


スラスター。


白い光。


マーリンは、どれだけ魔力を使ったのだろう。


何度も何度も、限界を越えたのだろうか。


その時、怖くなかったのだろうか。


そんなことはない。


怖かった。


マーリンは戦争が好きではなかった。


戦うことも、殺すことも、好きではなかった。


それなのに戦った。


戦えてしまった。


そのことが、また私の胸を冷やす。


「魔力切れを軽く見る者は、人形に乗る資格がありません」


ベルヌーイ講師の声は厳しかった。


「魔力切れとは、疲れた、休めばよい、というだけの状態ではありません。人形の場合、魔力が尽きれば機体は行動不能になります。ハッチを開くことすら困難になる場合もあります。宇宙空間でそれが起きれば、救助の猶予は極めて短い」


私は息を止めた。


ハッチを開くことすら。


閉じ込められる。


冷たいコクピット。


赤い警告。


外は黒い宇宙。


魔力が切れて、動けない。


誰にも届かない。


想像しただけで、喉が詰まる。


いや、これは想像ではない。


どこかで見た記憶の残り香がある。


私はそれを押し込めた。


今は講義室。


机。


結晶板。


セシリア様が隣にいる。


トムとミリアの声が少し離れた場所にある。


シュヴァルベ様も、ルイーゼ様もいる。


ここは戦場ではない。


「ですから、皆さんは自分の限界を知る必要があります」


ベルヌーイ講師は続けた。


「限界を知るとは、無茶をするためではありません。退くためです。支援を求めるためです。生きて帰るためです」


生きて帰る。


その言葉が、胸の奥にゆっくり沈んだ。


戦うためではなく、生きて帰るため。


それなら、少しだけ聞ける気がした。


私は戦いたくない。


軍人にもなりたくない。


人形にも乗りたくない。


でも、もし乗るなら。


乗ってしまうなら。


生きて帰りたい。


誰かにも、生きて帰ってほしい。


「魔力切れの兆候は、個人差があります。指先の冷え、視界のちらつき、耳鳴り、吐き気、呼吸の浅さ、感情の鈍化、逆に過剰な興奮。自分だけは大丈夫、という考えが最も危険です」


指先の冷え。


私は自分の手を見た。


今も少し冷たい。


これは魔力切れではない。


少量しか使っていない。


ただ、怖かっただけ。


でも、怖さと魔力の兆候は、時々似ているのかもしれない。


「また、仲間の異常に気づくことも重要です。本人は大丈夫と言うかもしれません」


どきりとした。


大丈夫。


私の得意な言葉。


とても便利で、とても危ない言葉。


「しかし、声の調子、反応の遅れ、機体の揺れ、魔力光の乱れ。周囲が気づける兆候もあります。バディシステムにおいては、相手の魔力状態を確認することも責任の一部です」


バディ。


その言葉に、私は隣のセシリア様を思い出す。


まだ、私は誰かに頼るのが下手だ。


大丈夫です、と言ってしまう。


自分のことを軽く扱ってしまう。


でも、それが誰かを危険にするなら。


私だけの問題ではないのなら。


少し、考えなければならない。


考えるだけで、すぐできるわけではないけれど。


「結晶板から手を離してください」


ベルヌーイ講師の指示で、全員が手を離した。


私もそっと離す。


光が消えた。


机の上の青い結晶板は、ただの冷たい板に戻る。


なんだか少し安心した。


「この教材は、皆さんの魔力をほとんど消費していません。それでも、光の揺れを見て不安になった者もいるでしょう。その感覚を覚えておいてください。不安は敵ではありません。無視することが危険なのです」


不安は敵ではない。


私はその言葉を心の中で繰り返した。


怖いことは、悪いことではない。


でも、怖いから見ないのは危ない。


ベルヌーイ講師はそう言っているのだと思う。


王国軍史の映像を見てから、私は怖くなった。


魔力も、人形も、戦場も。


でも、怖いから何も知らないままでいる方が危ないのかもしれない。


知ることは怖い。


でも、知らないままの方が、もっと怖い時もある。


講義の終わりに、ベルヌーイ講師は端末へ資料を配信した。


魔力の基礎。


生活利用。


変換炉。


個人差。


魔力切れの初期症状。


安全確認手順。


たくさんある。


読まなければならない。


全部読むと、たぶん少し気が重くなる。


でも、読まないともっと怖い。


「最後にひとつ」


ベルヌーイ講師が言った。


「魔力は、あなた自身の一部です。便利な道具でもあり、危険な力でもあります。恥じるものではありません。誇りすぎるものでもありません。よく知り、よく休み、無理をしないこと。それが、人形使い以前に、魔力を持つ人間としての基本です」


魔力を持つ人間。


私はその言葉を聞きながら、自分の手を見た。


この手は、手元の灯りをつける。


小さな明かりをともす。


それだけでよかった。


それだけでよかったはずなのに。


人形を動かせるかもしれない。


魔力の糸を通せるかもしれない。


誰かを守れるかもしれない。


誰かを傷つけるかもしれない。


怖い。


でも、私の中にあるものを、ないことにはできない。



講義が終わって、生徒たちが少しずつ席を立つ。


トムが結晶板を見ながら、ミリアに言っている。


「俺、もう少し弱める練習した方がいいな」


「うん。かなり」


「そこは少しって言ってほしかった」


「かなり」


「厳しい」


「安全のため」


「それは反論できない」


セシリア様が私の方を見た。


「プラット様、資料はあとで一緒に確認しますか」


一緒に。


その言葉が少し温かかった。


でも、私は少しだけ迷ってから頷いた。


「はい。よろしければ、お願いします。ヒースロー様」


「もちろんです」


セシリア様は静かに微笑んだ。


その笑顔に、胸が少しだけ軽くなる。


私はまだ、魔力のことをよく知らない。


自分の魔力量も、制御も、限界も。


知りたくないことも多い。


でも、知らないままでは、たぶんもっと怖い。


廊下へ出ると、窓の外に宇宙港へ向かう小型航空機が見えた。


遠くの機体が、淡い魔力光を引いて空へ上がっていく。


生活を支える光。


人を運ぶ光。


そして、人形を動かす光。


同じ魔力なのに、使い方で意味が変わる。


私は窓の前で少しだけ立ち止まった。


指先はまだ冷たい。


でも、手元を照らす小さな灯りくらいなら、私は知っている。


暗い廊下で、足元だけを照らす光。


誰かを撃ち落とすためではなく、転ばないための光。


できれば、私の魔力もそういうものであってほしい。


大きくなくていい。


眩しくなくていい。


誰かを傷つける光ではなく、暗いところで、ほんの少し先を照らす光。


私は自分の手を握った。


怖さは消えない。


でも、消えないままでも、少しだけ知ることはできる。


そう思うことにした。

ここまでお読みいただき有り難うございました。

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