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36 クーデター阻止

 ―――― 後藤 ――――


 部屋で寛いでいると橘が面会を希望しているとレセプションから連絡が来た。許可を出して暫くするとチャイムが鳴った。


「いらっしゃい、橘びしょ濡れじゃんか。そっちのちっこいのも。」


 わー、この人濡れて胸強調しすぎ。巨乳?でか過ぎ。最早爆乳?


「後藤君、彩芽のおっぱい見過ぎ!!」


「そんなに濡れてたら風邪ひくぞ。大浴場に行くか。」


「それどころじゃない。大変よ、大変。第二王女がクーデターを起こした。だから、逃げて来たよ。追われて堀へ飛び込んだからびしょ濡れなんだよ。お風呂行くからターニャに代わって。追われてるから守ってもらいたいんだけど。」


 仕方がない悲しい事だがターニャに代わるしかないか。でもそれって俺は頼りないってことだよね、シフト。



 ――― ターニャ ―――


「ねぇ、この人王女様だよね。後藤ちゃんは?」


「この人が後藤君だよ。兼王女様。」


「はい?」


「はー目が覚めた気分ね。ハーイ、雪乃。お風呂行こうか着替えは貸すわよ。敵が来ても守るから大丈夫よ。でも、雪乃は勇者でしょ、守る必要があるの?」


「だって、他の三人の勇者と衛兵が敵よ。敵わない。」


「ねぇ、みんなで風呂に入ったら誰が見張るの?」


「大丈夫よ、爆乳ちゃん。『地図』のスキルで敵の位置が分かるわよ。」


「誰が爆乳ちゃんよ。」


「ほー、違うの?これからお風呂で確かめるわよ。」


「でも、お風呂に入ってていいの?逃げなくても大丈夫?」


「雪乃。今日はクーデターで忙しいからメインの勇者はお城でクーデターの真っ最中でしょ。だったらここに兵を回す余裕は無いし、回しても雑魚でしょ。それに誰が来ても大丈夫よ。」


 お風呂に入っている間は『ぐるぐる異世界』で警戒してもらった。

 お風呂の間は何も問題はなかった。


「今日は逃げなくても大丈夫かな。」雪乃が聞いて来る。


「大丈夫でしょ。ところで私の父や母や兄弟はどうなった。」


「第二王女は王族皆幽閉すると言ってたよ。」


「そう。じゃ、雪乃とお寺さんは寝てて私が助けに行って来るから。」


「お寺さんじゃない、奥之院。」


「手伝おうか。」雪乃が提案する。


「大丈夫。来られたら邪魔だから。」


「でも、ターニャ様はそれほど強いの?」


「お寺さん、ターニャでいいわよ。」


「あたしはお寺さんは嫌!せめて彩芽にして。」


「承知したわよ。でも私は強いわよ。私の戦闘力は53万です。」


「ホントに?凄い!」


「い、いや、ギャグだから。」


「ギャグ?はっ!もしかしてターニャは転生者?つまりターニャは後藤ちゃん?でも後藤ちゃんは弱いって言ったよね橘さんが。」


【誰が弱いんだ。誰が。本当だけど。】


「後藤ちゃんが怒ってるわよ、彩芽ちゃん。私は弱くないから大丈夫。私も転生者で『獲得経験値100倍』と『限界突破』のスキル持ってるからレベルが高レベルなのよ。それに雪乃が持ってる『絶対切断』と雪乃が持っていない『絶対防御』も持ってるから傷つけられる事さえないわよ。」


「チートの塊だ。無敵だ。卑怯。ずるーい。」


「そうだわね、彩芽。でも無敵ではないと思う。前回の勇者の話聞いてる?雪乃と同じ『絶対切断』と『必要経験値50%』のスキルを持ってメキメキと頭角を現してきた。さすがに私にはかなわなかったけど最後に会ったのが一年と少し前、そう病気になる少し前。その後、勇者はマー大陸を攻めている途中で魔族に殺されてしまったらしいけど。」


「前回の勇者は殺されたの?」


「だから今回の勇者の召喚がなされた訳よ。死んでいなければ召喚はされない。もしその勇者が生きているとしたら、あれ以来私のレベルは上がていないけど勇者のレベルは上がっているはずだわ。前に雪乃話したように勇者の召喚が今回のクーデターの為であってマー大陸を攻めてもいないのであれば前回の勇者は生きている可能性が高いし、既にこの国に要る可能性もある。そうなれば、劣勢は否めないわね。でもクーデターを止めてみるわよ。家族を救い出しに行って来るわ。」


「やっぱり、一緒に戦うよ。一緒に行く。」


「雪乃はここに居て。」


「もし、クーデターの阻止に失敗して逃げてきたら雪乃はどうするの?一緒に逃げる?」


「もちろん一緒に逃げるよ。後藤君と一緒にいたいし。」


「だったら雪乃は二号さんね。」


「二号さんか。仕方がない手を打つ。」


「彩芽はどうするの?一緒に来る?」


「雪乃が行くならいっしょに行くよ。」


「だったら彩芽は三号さんよ。」


「誰の?Σ(゜Д゜)」


「後藤ちゃんの。」


「だから誰よ、後藤ちゃん。何処にいるの?いるなら合わせてよ。会った事もないヤツの、しかも三号さんなんて絶対嫌!!」


「それじゃ、私は行くから吉報を待ってて。」



 ホテルから王城までは1kmもない。既に日が落ち数時間が立ったが、月が昇るまでにはまだ数時間はかかるだろう。街灯さえない街は暗闇に包まれ、嵐の前の静けさの様に静まり、これから起こる騒乱を予知している様だ。


 このままお城に乗り込んでも兵士は姉の兵以外の兵は私には攻撃しないだろうし、勇者も大した事はない。簡単に王城と家族を奪還できるだろう。

 問題は、前回の勇者が生きていて既に城に配備されている場合だ。

 簡単にはいかなくなるだろう。取り敢えず戦う。魔法を使う時はシフトしてタカシが魔法を使い、またシフトして私が戦えばなんとかなるかもしれない。


【前回の勇者が生きていて、ターニャ以上に強かった場合はホテルまで転移する作戦で行こう。もしホテルまで転移できなくても王城を出られれば大丈夫じゃないか。】


 それじゃ、雪乃たちと一緒じゃない。


【脱出方法があれば思いっきり戦えるし。敵は魔法が使える様になったことは知っていても転移の魔法が使えるとはお思っていないだろう。だけど、転移に必要な魔素は最低300mpだけど、現在保持魔素量は340mpで転移は一回しか使えない。最初に結界張って攻撃魔法で攻撃すれば転移できなくなる。だから魔法で結界を張ったら後は援護できない。】


 分かったわ。やっぱり、少しでも長く結界が続く様に必要になった時にシフトしましょう。


 王城前の堀の橋を渡る。周りには兵士もいない、静かだ。王城は魔法の灯でかなり明るい。


【静かなのは罠かも知れないから刀は抜いとけよ。】


 必要ないわよ。あなたじゃないんだから。


【煩い。第二王妃は何処にいるんだ、もしかして王座のある部屋か。】


 多分ね。あそこがそうよ。衛兵が二人いるから中に普通なら王がいるはず。攻撃してきたら倒すわ。


「こんばんわ」


「ターニャ様。お逃げください。王は捕まり他の公達も幽閉されました。中には前回の勇者が五人います。」


「大丈夫、何とかしてみるわ。」


「お気をつけて、幸運を。」


【じゃシフトするぞ。】








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