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27 宴。

 周囲の囂然(ごうぜん)たる状況で覚醒させられた。

 目を開けると周囲には100匹を越えると思われるオークがいた。ここは森が切り開かれ広場の様相を呈し、その広場の周りには建物が立ち並び、ここがオークの集落であることを物語っていた。建物はオークが建てたものではなく人間の集落を利用している様だ。そもそもオークに建築技術があるとは思えない。

 周囲を見渡せば沢山のオークが集まり輪を形成し、宴が繰り広げられている。


 その中心にアルが居た。


 アルは依然として意識が無いようだ。横にされ寝かされている。

 アルの無事を確かめていると突如後ろから俺の服が引き裂かれた。既に革の鎧は剥ぎ取られ、後はズボンを残すのみとなっていた。


 此の(まま)では奴らの苗床にされてしまう。貧乳の立てたフラグの回収だけは避けなければいけない。いや、避けなければいけないのは犯されてしまう事だ。醜悪なオークに犯される事だけは避けなければターニャに申し訳が立たない。自分の事で手一杯だがアルも気になる。

 アルを見ると横には一際大きなオークがいた。『鑑定』するとオークジェネラルLv85と表示された。体力量が453hpもある。他にも三体のオークジェネラルがいる。更に悪い事にジェネラルよりもデカいの迄いる。


 最早助かる望みは潰えたと言える。


 アルは覚醒させられたようで悲鳴を上げ始めた。さすがアルだ。タダでやられるのは許せないのだろう。オークジェネラルはアルの革の鎧を剥ぎ取り、服を無理やり引きちぎり全裸にしていった。


 此の侭傍観するしかないのだろうか。

 思案していると俺まで裸に剥かれた。どうやらアルが最初で次が俺なのだろう。

 するとオークがアルの両脚を両手で持って左右に広げていった。此の侭ではやられてしまう。


「やめろー!」叫んでいた。


 すると横にいたオークが棍棒で俺を殴ってくる。

 此の侭殴られればまた意識を失ってしまう。

 アルも俺もやられてしまう。

 目の前に棍棒が迫る。


 次の刹那、勝手に体が動いていた。棍棒を掴んでオークから奪い取りオークの頭を吹き飛ばした。

 理解した。ついにターニャが体を支配したのだと。 更に腕を掴んでいたオークの頭を吹き飛ばす。 そして、『亜空間収納』から『聖剣』グラムを取り出した。


 最早アルは挿入寸前だ。もう間に合わない。後10メートル。届かない。


 アルはその場で剣を横に振った。


 すると10m先のアルの横にいたオークジェネラルとその横にいたオーク3体は頭が胴体から切り離され絶命した。

 周りのオークももはや宴どころの騒ぎではなくなっている。

 次の瞬間にはターニャは更にデカい、否一番デカいオークへと走り出していた。

『鑑定』するとオークキングLv90だった。体力量が792hpだ。オークジェネラルよりもかなり強い。魔法が使える様だ、しかもスキル『剛腕』『豪胆』『威圧』『斧術』『身体強化』がある。

 オークキング自身が輝いた。身体強化の魔法を使ったようだ。更に魔法で攻撃し始めた。火の塊が飛んで来る。しかし、ターニャはまるでオークキングが何らの魔法も使わなかったかのように全ての障害を躱し一瞬でオークキングへと接近すると袈裟懸けに体を真っ二つに切り裂いた。


 そして大虐殺が始まった。


 ターニャはオークの攻撃を一撃も受けることなくオークを屠り続ける。

 俺は『鑑定』してみた。


 ――――――――――――――――――――――――――――――

 名前 : ターニャ

 性別 : 女性

 年齢 : 17歳

 職業 : 王女・剣豪

 レベル: 221

 HP     : 12093

 MP     :  100

 ユニークスキル 『絶対切断』『絶対防御』『獲得経験値100倍』『限界突破』

 スキル   : 『空間把握』Lv23『剣術』Lv28『体術』Lv8

 物理攻撃力 : 3399

 物理防御力 : 2982

 敏速    : 3502

 魔力    :  10

 魔法防御力 : 2529

 幸運    :  80

 スキルポイント: 320

 ――――――――――――――――――――――――――――――


 な、なにこれ?

 バグった?

 俺の攻撃力は3なんだけど、ターニャは3399?一体何倍?

 俺の敏速は5なんだけど、ターニャは3502?

 そもそもレベルの上限は99じゃなかったか?なぜレベル221?

 それにスキルのレベルも10迄じゃなかった?なぜ28とかがある?

 ステータスの値も人類の最高が200位って聞いたけどその何倍?

 あ、なるほど。『限界突破』のスキルが有るのか。

 しかも『絶対切断』と『絶対防御』って最早無敵じゃないのか。

 更に『獲得経験値100倍』って俺が持っていると誤解したスキルだし、欲しかったスキルだ。

 何だよ、こいつ。チートの塊。

 って職業『王女』?王女様だったの?

 貴族の娘かなとは思っていたけど王様の娘だったのね。

 そりゃ衛兵も対応が丁寧になる訳だ。

 絶対この人が物語の主人公だよ。


【今度色々教えろ。】嫌だわ、絶対に教えない。

【相変わらず冷たいなぁ。】煩いわね、スケベ大魔王の中年禿げおやじには冷たいだけだわ。

【はぁ(*´Д`)?俺大学生だし、禿げてねぇし。もしかして転生者?絶対日本人だろ?】


 ・・・・・


 全てのオークが屠られてしまった。

 我執一触、まるで木偶を相手にするかのようにオークを屠った。


「はー、終わった、終わったぁ。やっぱ、久しぶりの自分の体は最高だわ。アル―?どこー?あ、いた。」


「どうなったの?」


 倒れていたアルに手を差し伸べて引き起こした。


「やっつけちゃったわよ。わ・た・し・が。アル出番なかったわね。オークに種付けされなかった?大丈夫?ってあなた素っ裸よ。丸出しよ。早く何か着ないと。誰か来たら恥ずかしーわよ。」


「大丈夫みたい。ってあなたも裸だわ。でも100体くらいいるんじゃない?あなたあんなに弱かったのに。一体どうしちゃったの?でも、オークを卸したお金は折半でいいわよね?」


「でた!出ちゃったよ。アルガメツイ公爵参上!あのね、あなた0匹、私100匹超。それでどうして折半になるの?」


「そのアルガメツイ公爵ってどこにいるの?何か着るもの無いと恥ずかしいわ。」


「もしかして天然?天然ちゃんだったの?アルガメツイ公爵ってあなたのことよ!」


「え、ワタシ?」


「そうよ、そう。そんなにがめついとタカシに嫌われちゃうわよ。」


「え?タカシ?誰それ?初耳なんだけど。」


「まぁ、誰でもいいわ。早く服を見つけましょ。無いと帰れないわよ。」


【大丈夫。『亜空間収納』に入ってるよ。】そうだったわね。


「服はアイテムボックスにあったわ。着替えるわよ。」


「ん?何か違和感が?って言うか違和感がないし。喋り方に違和感がない。俺って言わないし。」


「はぁー?どうして私が俺って言うのよ。俺って言う訳ないじゃない。何言っちゃってんの?」


「ところで、本当にあなたがやっつけたのかしら?本当は王子様がやって来て全部倒して帰ったんじゃないんでしょうね。王子様を紹介したくなくて、自分でやったって無理なこと言ってるんじゃないのかしら。なぜ私に王子様紹介しないの?」


「本当に私がやっつけたんだって。王子様は今頃お城でお食事中よ。紹介して欲しいんなら何時(いつ)でも紹介してあげるわよ。」


「え?伝手あるの?」


「無い訳ないじゃない。兄妹なのに。」


「はい?」


「だから、王子様は私の兄よ。お兄ちゃん。」


「はぁあ?あなた王女様だったの?嘘よ、私だって王女様じゃないのに。」


「なんであんたが王女様じゃなかったら私まで違うのよ。どんだけあんたが上なのよ。ってあなたこの国の人でしょ?知らなかったの?どうして知らないの!しかも、私は剣でもかなり有名よ。知らない人がいないくらい。あなたタカシじゃないんだから。あいつは知らなかったけど当然だし。」


「だから誰よ。そのタカシ。今度紹介してよ。」


「どうでもいいわ。兎に角、お宝見つけて帰るわよ。アルガメツイ公爵はお待ちかねでしょ。」


「だから誰よそれ。」


「オークだから現金はないにしても武器や防具はあるかもね。それ全部イサドヌインに売りつけるわよ。」


「なぜかターニャ、ハイじゃないの?薬でもやった?」


「ちぃがうわよぉー!殺戮ハイよ。殺しまくったからハイなのよ。」


「はい、はい、分かったわ。」


「建物一軒、一見、きちんと見て行くわよ。1円たりとも逃さないわよ。」


「1えん?えん?なにそれ?」


「私の故郷のお金の単位よ。この建物にもないわね。」


「あなた王女様なら故郷はこの国でしょ。」


「複雑なのよ。複雑。」


「ここにもないわ。」


「発見!見つけた\(^O^)/ヤッター」


「全部私の物だわぁ!」


「いや違うし、君、一匹も倒してないし。がめつ過ぎよ、アルガメツイ公爵。」


「剣が沢山あるわ。全部欲しいわ。全て私の物よ。だって、あなた魔法使いでしょ。」


「いや、例え魔法使いだとしても、だから全部あなたの物になる理由にはならないでしょ。しかも私剣士だし。」


「あっそー、ケチね。」


「そうね、がめつい人にケチと言われているんだから物凄くケチなんでしょうね。」


「そうよ、あなたはケチだわ。ところで何時(いつ)から剣士になったの。」


「ずっと剣士よ。」


「魔法使いって嘘ついてたのね、道理で魔法が使えない訳だわ。ところでトカゲの卵孵った?」


「知らないわよ。トカゲなんて気持ち悪い。欲しいんならあげるわよ。」


「いらないわ。」


「まさか、トカゲの卵が孵ったから剣は全て私の物とか屁理屈捏ねるんじゃないでしょうね?」


「まっ、まさかぁ。い、いくら私でもそこまでがめつくは・・・」


「がめつい事は認めてるのね。取り敢えずアイテムボックスに入れて持って帰るわよ。」


「え?オークはどうするの?」


「オークもすべてアイテムボックスに入れて持って帰って売るわよ。討伐した証拠でもあるし。」


「じゃあ、オークは折半ね。半分貰うわよ。」


「だ・か・ら・君倒してないでしょ、一匹も。でも、オークは折半でいいわよ。」


「やったわぁ!でも、アイテムボックスに入るの?100体以上いるわよ。しかもアイテムまであるわ。」


「大丈夫入るわよ。王族のアイテムボックス舐めないで。でも入ると言えばアルは後少しでオークの苗床にされるとこだったわね。」


「本当だわ。両脚広げられて、じろじろ見られるし。もうお嫁にいけないわ。」


「大丈夫よ。タカシが貰ってくれるわよ。ドスケベ大魔王だから。アルの巨乳にくぎ付けだわよ。」


「だから誰よ、タカシって。まさかオークがタカシじゃないでしょうね。」


 ちょっとぉ、オークって言われてるわよぉ。【うるさい!】ちょっと代わって『亜空間収納』にオーク全部とお宝収納して。代わる方法はシフトと唱えると代われるから。それまでちょっと寝ておくわよ。王都に着いたらまた交代ね。でも道中強いのが出たらシフトしてあげるから。

【でもさっきは良く俺のスキルを使って無限収納から剣が出せたな。】

 体が馴染めばお互いのスキルを使えるって神様が言ってたじゃない。馴染んで来たんじゃないの。

【なるほど。じゃ、シフトするぞ。】



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