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22 いいわね、それ。私に頂戴?

 やった。これで盗賊の剣を奪えればそれでアルを開放できるかもしれない。そうすれば盗賊を倒せる。


 盗賊が近づいて来てロープを解いた。この男は最初からスキルを持っておらず弱い。俺はロープを解かれた瞬間を見逃さず盗賊の横へ動いて剣を奪った。

 奪った剣で盗賊を攻撃する。

 両手で上段から振り下ろす。しかし、盗賊の着ている鎧が上段からの打ち下ろしを防いだ。

 これロングソードだ。確かロングソードは甲冑用で、刃があっても意味が無いから最初から切れないらしい。しまった、頭を叩けばよかった。

 もう一撃頭を横から狙う。


 (かす)った。


 でも脳震盪は起こしたかもしれない。ふらついている。その隙にアルの元へ走る。

 しかし、辿り着く前にもう一人の盗賊に追い付かれてしまった。そこへ、足に横から剣戟を加え転がした。その隙にアルの元へと辿り着いた。


 なんとかロープを切ろうと試みる。ロングソードだ。勿論簡単には切れない。このまま切り続けるか。他の奴の剣を奪うか。それとも自分で倒すか。逡巡しているうちに転がした盗賊が猛追して来た。


 こいつは『剣術』のスキルが無くなって弱くなっている。しかし、もう一人の三人目は『剣術』スキルが無くなってもレベルが高い。多分勝てない。だからアルを開放する必要がある。


 追い付いてきた盗賊の持っている剣はブロードソード。これなら切れる。よく見ると腰には短剣が。どちらを奪っても切れる。

 俺の持つ剣はロングソードであのブロードソードよりは長そうだ。よし、突こう。胸を突いた。しかし、防具に防がれたが相手は転んだ。


 これは最早ロングソードが切れないと言うよりこの剣が切れないのじゃないか?


 転んだ相手の剣を奪った。その剣で首を刺そうと思ったが、首を刺すのは平和な日本人としては躊躇してしまったので利き腕に持ったロングソードで叩いて気絶させた。

 そして、ロングソードを捨て、ブロードソードでアルのロープを切った。


「後はまかせたぞ。」


「任せて。」


 アルはあっという間にあと全員を倒し、貧乳も倒してしまった。


 盗賊は四人全員ロープで木に括りつけた。


「アル、強いな。」


「こいつらが弱いだけだわ。あなたもね。」


 うっ、アル辛辣すぎる(T_T)


「ところで、ゴブリン狩って依頼を達成しないと。」


「そうだわ。夕方までには戻って来るからあなた達四人はそこで反省してなさい。ゴブリンが出るかも知れないわ。ゴブリンは男は殺して女は苗床にするから用心しないといけないわ。貧乳は男だと言う話だから殺されないように気を付けなさい。」


「きぃぃぃー、悔しぃぃぃ。」アル追い打ち掛け過ぎ。貧乳悔しがり過ぎ。



 更に森深く入って行く。辺りは木々が鬱蒼(うっそう)と茂り薄暗く、陰鬱(いんうつ)な臭いを漂わせながら冒険者を覆い尽くし、気鬱(きうつ)な涼しさを感じさせる。処々に眩しい光が侵入している所為で昼間なのに日が射さない場所が見えにくい。これでは、(かげ)に魔物がいた場合に対処が遅れてしまう。


 対処できない俺は仕方が無いからアルの後ろを付いて行く。


「アル、大丈夫か?(かげ)の部分が良く見えないけど、ゴブリンとか隠れてないかな。」


「大丈夫だわ。これくらい森の中では普通だわ。あなたも気を付けて、後ろから来るかもしれないから。」


「えー?もう帰る!」


「駄目!頑張るのよ!」


 突如(かげ)から鋭い擦過音がした。音のする方向を剣を向けながら見るとゴブリンが二匹飛び出して来ていた。余りのゴブリンの醜悪さに腰が引けてしまい対処が遅れてしまった。

 ゴブリンの持つショートソードの様な剣が腹に突き刺さった。

 くそ、にやけるなぁ、ゴブリン!ムカついた!

 革の鎧で剣は止まったらしく怪我は打撲だけで済んだようだ。怒りで剣をゴブリンの顔をめがけて突き出した。しかし、ゴブリンに避けられてしまった。


 なんて弱いの、俺(T_T)。


 そのまま横に剣を振って頭を剣で殴った。剣なのに・・・

 当然横に振っただけの剣に威力があるはずもなくゴブリンには大したダメージは無いようだ。ただ、少しふら付いた。そこを見逃さず剣で左胸を刺した。どうやら、剣はゴブリンの革鎧を貫き心臓まで達したようだ。


 ゴブリンは苦しそうに倒れ込んだ。


 先程獲得した『剣術』スキルが功を奏したのだろう。少しは上手くなったような気がする。まぁ、『剣術』スキルはレベル1だし。これから効果が上がってくるだろう。


 ゴブリンを見ると絶命していた。

 やっと周りを見る余裕が出来た。そうだ、もう一匹ゴブリンは居た。周りを見回すとゴブリンを早々に倒したアルが倒木に座って俺の戦いを見物していた。


「よく頑張ったわね。初めて倒したみたいだったわ。ワタシお腹空いちゃったわ。」


「え?この凄惨な事件現場でお腹が空くなんて異世界標準?ところで、討伐を証明する部位とかあるのか?」


「右耳ね。食べるところないし、誰も気味悪がって食べないわ。だから体は燃やすか埋めた方が良いわ。」


 炎属性の魔法が使えれば良かったのだけど、アルもおれも使えなかったから穴を掘って埋め、場所を少し移動して昼食をとることにした。


「じゃあ、ここで昼食を食べよう。弁当はアイテムボックスに入れてるよ。」


 アイテムボックスから取り出す振りをして『亜空間収納』から弁当を取り出した。パーティーを組んだ一人が盗賊だったし、もう一人もまだ信用できない。だから、アイテムボックスと言うことにした。しかし弁当はまだ暖かい。さすが時間が止まる『亜空間収納』だ。これは何とか誤魔化さないといけない。


「アイテムボックス持ってるの?いいわね。高いでしょ?」


「貰ったんだ。」


「いいわね、それ。私に頂戴?」


「え?ガメツくない?」


「そんな事ある訳ないじゃない。でも、弁当温かいわね。本当にアイテムボックス?アイテムボックスは時間が立てば冷めるわ。」


「そ、そう?元々、物凄く熱かったんじゃないのか。だから温かいんだろ。」


「ふーん。」


 納得できないだろうけど納得しろよ。まぁ、本当に仲良くなったら教えても良いな。昨日の大浴場では全身視覚的に堪能させて仲良くなったと言えなくもないけど。


【スケベじじぃーε=ε=ε=(艸゜Д゜*)嫌ァー】


 じ、じじぃーじゃねーし、大学生だしぃ。そう言えば、ちょっとは馴染んで来たんじゃないのか。普通に話しかけて来てるし。


 弁当は幕の内の様な感じで色々詰め込まれていた。

 ら良かったのに。


 ステーキ弁当だった。


 絶対昨日の残りだな。


 でも美味しく頂きました。


 ご飯を食べている最中に思い付いた事が有る。俺は『ぐるぐる異世界』のスキルを持っていたが、これでゴブリンを探せないのだろうか。

『ぐるぐる異世界』と頭で唱えると地図が出る。更にゴブリンと唱える。すると、現在地の周りに赤い点と黄色い点が存在した。

 赤い点が自分の周りに三個存在している。

 赤い点に意識を集中すると《ゴブリン:警戒》と説明が表示された。

 黄色い点に意識を向けると《ゴブリン:平常》との説明が。


 どうやら、こちらに気付いていると赤、気付いていなければ黄色で示される様だ。

『鑑定』のスキルを使ってみるとレベル、体力、魔力量が表示された。鑑定のレベルが低い所為だろう、これ以上の詳細は判らなかった。


 こちらに気付いているゴブリンは早急に対処しないといけない。だが、信頼がおけるかどうかが不明な現状ではアルにスキルの『地図』の存在を教える訳にはいかない。

 しかし、アルなら対処できるだろう。偶然を装いゴブリンへと向かおう。


 赤い点のゴブリンの方へ歩いた。さすがに存在に気付いているので近づいて剣を頭に振り下ろした。しかし頭蓋骨が固かったのかゴブリンはよろけただけだった。

 その機に乗じて腹を刺す。倒した。


 しかし、ゴブリンは更に短剣で攻撃して来た。倒してなかった。ゴブリンは更に攻撃して来た。パニックに陥った。


 剣を振り回した。振り回し続けた、無様に。


 気付けばゴブリンは倒れていた。腹を刺したことが致命傷だったのか、その後の攻撃に致命傷に至る傷があったのかは分からないが・・・

 周りを見ると、アルは倒した二体のゴブリンの上に腰掛け俺の戦いを見ていたようだ。


「よく頑張ったわ。だけど、焦っては駄目。周りをよく見て戦わないといけないわ。」


 お説教を食らってしまった。アルと俺で倒したゴブリンが5匹。これで依頼は達成だ。意気揚々と盗賊の元へと向かった。






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