21 優しさが詰まっている
早朝、朝食を食べにレストランへ行くとビュッフェ形式の朝食だった。
「やっぱり、朝食はビュッフェだよね。外国旅行しているのを思い出すよ。」
「え?外国の人だったの。」
「そうだな。この国へは来たばかりだ。どこへ行っても同じような朝食が食べられるのはいいよ。やっぱり、朝食は卵とハムとコーヒーだよな。」
「ワタシ的にはお腹が満たされれば満足かな。」さすがアル即物的。と言うより、この世界の事情だろうか。満足に食べられる人が少ないのだろうか。
足音がしてふとその方向を見ると、支配人のカルメナさんが近づいて来ていた。
「会長が夕食を一緒にどうかと言ってますが、ターニャ様のご都合は如何でしょうか。」
「今日は狩りなので予定が立ちません。数日後には狩りを休みます。決まりましたらお伝えしますのでその時で如何でしょう。」
「会長にはその様に伝えておきます。それと、こちらが承っていた弁当です。では失礼いたします。」
要件を伝えガルメナさんは去って行った。
「ターニャ様って呼ばれてるの。何者?」
「あのね。こういう客商売のお店はお客様に対して様付で名前を言うのが常識だよ。」
「どこの常識よ、それ。普通は良くてさん付けだわ。」
「ここは高級店だからだな。細かいところに気を配っているからこその高級店だよ。」
「ふーん、そう言うものなのかしら。何か違和感があるのだけど。そろそろ行きましょうか。」
俺達はレストランを出て冒険者ギルドへと急いだ。
冒険者ギルドへ着くとキャスは既に待っていた。ギルドでゴブリン退治の依頼を受ける。五匹毎に依頼達成と言うものだ。ただ、常時以来の受付をしているので討伐後に依頼を受けても大丈夫らしい。
その後、森へと出発した。装備も弁当もばっちりだ。
森へは徒歩で行く。それほど遠くはない。王都の城壁を出れば直ぐ森があるし、城壁外は何処でゴブリンが出ても可笑しくはない。ギルドから東門へと歩きながらアルにゴブリンの倒し方を聞いてみた。
「ゴブリンってどうやって倒すんだ?」
「単独だったらただ剣を振るって倒す。複数なら囲まれないように気を付けて一匹ずつ確実に数を減らしていく。まぁ、奴等弱いからあんまり気にする必要は無いわ。」
ウ・・、俺も弱いんですけど・・
「ところでキャス、あなたの夢は何かしら。」アルがキャスに聞いている。
「お金を沢山稼いで裕福に暮らす事かしら。」
「ワタシも。お金を稼いで贅沢に暮らす事だわ。出来れば貴族にでもなりたいわ。ターニャは?」
「俺は、ハーレムを作る事かな。」
「へー、マッチョな男を侍らせるんだ。」
「いや、それ誤解だから・・・」
でも、否定できない。否定すると変だし(T_T)
王都の城壁を出ると直ぐに草原になり遠くの方に森が見える。
盛夏でもあり兎に角暑い。森に入れば日影が出来るのだろうけど森迄は直射日光との闘いだ。
暫く歩くがゴブリンも他の魔物も出ない。平和に歩いて行く。数十分後漸く森へ侵入した。
森の中は鳥のさえずりも聞こえないほど静かだ。木々が盛夏の太陽光を遮り暑さを緩和してくれる。しかし、何処にゴブリンやほかの魔物が潜んでいるか分からない。最弱の俺としては気が抜けない。
ただ、森の中は静かで少しの物音でも聞こえそうで助かる。
しかし、静かすぎる。
まるで何者かが隠れているかのように・・・
ゴブリンも他の魔物も出ないまま歩き続け十分も経っただろうか、目の前に三名の盗賊と思しき連中と遭遇してしまった。
「また?」もう勘弁して・・・
アルが盗賊を攻撃しようと前へ出ようとしたその瞬間、キャスがそれに先んじて前へ出て行った。
「大人しくするから乱暴しないで。」と両手をまるで手錠を掛けるかの様に差し出した。
「大人しくしたら乱暴されるに決まってるだろう!」と反論するが、その行動に機先を制されてしまい攻撃の機会を無くして三人は敢え無く盗賊に捕まってしまった。
すると、何という事でしょう。
キャスは縄を解かれてしまいましたとさ。
「ごめんねぇ~。」と笑顔で謝罪する。それ意味ないから。
「えー、お仲間でしたか。やっぱり貧乳は嫌いだ。トラウマになりそう。」
「ひ、貧乳で悪かったわね!あなた達は奴隷商に売り飛ばされるのよ。精々高く売られて私達に贅沢をさせて頂戴。私の夢を叶えてね。その前にお前たち味見をしていいわよ。」
「了解です、ボス。」
お前がボスかよ。
また盗賊に捕まるパターン。ターニャに代われるものなら代わりたい。お願い、このままだと強姦されるぞ。
【情けない。日本のドスケベ禿げおやじには無理だろうから代わってあげるわよ。で、どうやるの?】
知らないよ。そっちが主導権握ってんじゃないの?
【キーワードがあるの?聞いて無いの?代われないわよ。】
何とかしろ!俺、男に犯されるなんて絶対嫌だぞ。って初めて普通に会話してるし。
しかし、貧乳の罠だったとは。また捕虜になってしまった。
貧乳は売り飛ばす女をギルドで物色し、ここへ連れて来る役割だったのだろう。聞いてみよう。
「もしかして貧乳の役目は女性を見繕って森へ連れてくること?」
「貧乳って言うなぁ!」
どうやらトラウマの様だ。
「今頃気が付いたのか。お前らは胸に栄養が行って頭に迄栄養が回って無いから簡単に騙されるんだよ!でも、もう大丈夫だぞ。安心しろ、もう騙されないから。だってお前らは一生奴隷なんだからな、はーっ、はっはっはっは。」
「そう?あなたは一生貧乳だけどね。」アル辛辣!!
「う、うるさい!はーっ、はーっ、はーっ。」興奮しすぎて息も絶え絶えの様だ。
「やっぱり貧乳って性格が悪いのか?」アルに聞いてみた。
「そうね、だからこその貧乳よ。私達は胸に優しさが詰まっているけど貧乳は優しさを溜めておくスペースが無いの。可哀そうね。」
「お、お、お、おちょくりやがって!お前らやってお仕舞。」
そして、凌辱が始まった。
「ちょっと待った。俺男なのでやめてもらえますか。」
「どこにそんなに胸の腫れた男がいるんだよ。」
「おい、貧乳。馬鹿にされてるぞ。お前は男って言われてるぞ。」
「うるさいわ!」貧乳怒鳴り過ぎて声がかれてるし。
そうだ、あまりにも貧乳が気になって忘れていた。
『鑑定』で調べてみよう。すると二人とも『剣術』スキルを持っている。
奪ったら弱くなって俺でも戦えるかもしれない。『アブストラクト』>『剣術』二回繰り返し二人からスキルを奪った。自分に『剣術』のスキルが増えたから少しは強くなっただろう。
剣術のレベルは1だったが・・
弱そうだ。
「そっちの薄い金髪の女はレベルが1だからロープを取って甚振っても大丈夫だぞ。」貧乳が叫ぶ。




