8時は来た、そして私は神になる
63歳差かぁ。ペ○ジーニもマ○ロンも真っ青だな。
だがしかし、それも異世界の醍醐味と言うやつじゃにーかね。年の差を理由にチャンスを逃しはしない、逃しはしない、逃しはせんぞー!!
と、防壁の門をくぐり抜け村に入ると大歓迎された。
村の住人は全員エルフで老若男女いるのだが、エルフで見た目おじいちゃんって一体何歳なんだろう?
元の世界の設定ではエルフは排他的で、他民族を容易く受け入れないと認識していたが、全くそんな事はない。
俺が運んできたジャゼル(狼モドキ)を大きな木製の荷車に乗せて解体所まで運んでいく。
ユーチェアちゃんが集まってきた人達に俺の勇姿を熱っぽく語る。セクハラした事は内緒だよ。
村は思いの外大きく、簡素ながら清潔感のある木製の家屋が建ち並ぶ。ログハウスっぽくもあるが何か違う。点在する畑なども几帳面に整地され、整然と茂る葉野菜の光景は美しさすらある。
真面目で清潔だと言うエルフ像は一致するようだ。
ユーチェアちゃんの手引きで村長のスレイダさんに挨拶する。見た感じヨボヨボのお爺ちゃんで、頭がトサカのように禿げている。変な禿げ方だ。それ以外はゲームとか小説に出てきそうな絵に描いたような村長さん。
そのままスレイダ村長の家に招かれ、食事をしつつ話しをする事になった。
スレイダ家は他の家々より一回り大きいが、作りに大差はない。そこのダイニングテーブルを俺と村長、ユーチェアちゃんが囲む。給仕をしてくれる侍女のおばちゃんも一人。って言うかおばちゃんエルフ何歳よ?
狩りで獲れた魔物の肉料理が中心の献立。チャパティの様なパンと野菜もある。
それを食べながら俺は一昨日から出来事を二人に伝える。村長もユーチェアちゃんも一様に驚き、興味深く聞いている。勿論、恥ずかしい部分は端折ったよ。
村の知恵者であるスレイダ村長もアドレニック帝国の名前は知っているものの、あまりに遠方すぎて何となくの所在も不明な様子。
俺としてもどうしようもないので、人間だけどもし良ければこの村に住まわせてくれないかと打診する。
話の中で俺の力を知った村長は寧ろ歓迎するといった色良い返事をしてくれた。
村の名前はリューンの村。村民は生まれたての赤ん坊を含めて56名。
昔は遠く別の地で500人規模のエルフの集落があったそうだが、近隣の戦火などの影響によりこの地へ逃げのびてきたそうだ。
村の噂を聞いた他の地に住むエルフが移住してくるなど、徐々に人口も増えつつあるとの事。しかし、草原の向こうの森に住み着く魔物|(食料でもある)が凶暴かつ強靭で少なからずの人死が毎年出ている。
狩りの能力がある村人も多くはなく、俺が住人になるのは渡りに船だそうだ。
実際、森の主であったボボガ(熊(仮))があの程度なら、チョチョイのチョイである。
ユーチェアちゃんは村でも指折りの狩人で、力や技、魔法はそこそこだがヘイト管理に長けていて、無理に獲物を追い込む事はせず、猟果がない日もあるが通年すると一番獲物が多いそうだ。
村の主な産物は魔物の毛皮、牙や爪。保存食品に加工した肉と野菜。それらを近く(と言っても馬車で一日半の距離)の街からくる行商人と取引している。
行商人との関係は良好で、物品を良い値段で買取ってくれるらしい。
今のところ野盗の被害はないが、いつ何時現れてもおかしくないため、心配事の一つだ。
そんなこんなで、俺は村の空き家を貰いこの村で生活する事となった。
ユーチェアちゃんは同じ狩人の弟と一緒に暮らしているらしく、俺はその障害の存在に頭を悩ませる事になるのであった。
次の日から俺も不時着した森へ狩りに行くようになった。
基本的にはベテラン狩人のおじさんエルフ(300歳)と同行し、たまにユーチェアちゃんと、たまに弟君と行くこともあった。
森に生息する魔物の種類。それらの縄張り。習性。捕獲時の処理の仕方。森で採れる貴重な植物(薬草や香辛料など)。大まかな地理や地形のマッピング。他にも様々な知識や技術を習得し、俺は立派に村の狩人として成長した。
勿論、持ち前の多彩な魔法で危険を見ることなく、多くの魔物を狩り、村を潤す事に多大な貢献をした。しかし、乱獲はせず、魔物の生態系も調査しながら安定した猟果を得る事に努めた。
そんな生活の中でも、空いた時間を見計らい草原へ赴き、飛行魔法の練習に励んだ。暴走事故の記憶が薄れるにつれ、コツを思い出せそうになるが、まだ飛べない。
正直言って俺は村の生活に満足していた。弟君が邪魔でユーチェアちゃんとの恋愛は進展しないが仲は良く、寂しい夜はオカズにさせてもらっている。
日々生活している中で、段々と村人達の俺に対する扱いが変わってきた。最初はやはり他種族の人間だと言う事もあり、多少敬遠されていたきらいがあったのだが、今では明らかに尊敬され、こないだなんか家の扉の前に感謝状付きのお供え物が置いてあった。
ある日、村人が出産し皆でお祝いを行った時、生まれた赤ちゃんのお母さんに、どうか子供を抱いてやってくださいと懇願され、赤ん坊を抱いた事のない俺は恐る恐る抱き抱えた事があった。
強く立派な人に抱かれると、赤ん坊も逞しく成長すると言ったアレである。
また、村の中ですれ違うおばあちゃんに挨拶したら、おばあちゃんが手を合わせ俺を拝みだした事もあった。
確実に俺は村の中で偶像崇拝され始めていた。
その事をスレイダ村長に相談すると、この世界のエルフは元々種族の英雄を神格化する文化の土台があり、今まさに俺に起こっている現象がそれとの事。あまり神経質にならず神様ごっこしてもらえたら嬉しいと言われた。
まぁいいかと思っていたが近頃、俺を型どった像を作りそれを村中に配布する計画が上がった。誰も止めようとしないので恥ずかしいからとか、材料や手間が勿体無いからとか変な理由をつけて俺が止めた。
字面では清廉潔白な生活を送っているように見えるが、そんな事はない。像まで作って信仰されたら変な事が出来なくなってしまう。俺はもっとエッチな事もしたいのだ。
周りから頼りにされ、肉体を使って働き、日々生きてる充足感がある。そのため、守りに入っている部分も有るのは否めず、たまに自分自身が情けないとも思う。
しかし、これも欲望を曝け出した上での一つの幸せな形だと、心底納得しているのは間違いない。
最初ユーチェアに出会った頃にも思ったが、このままこの村で人生を終えようと強く思う。
村の誰よりも早く死ぬ事は間違いないが、皆暖かく俺の死を見送ってくれるだろう。
こんな、良い人生はない。想像とは違ったけど、やっぱり異世界は最高だった。
ありがとう異世界。俺の冒険はここで終わる。
Fin.
嘘です。
続きます。すみません。




