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5スッゲー俺って天才じゃーん

 帝城では立派な客間を充てがわれ、一晩を過ごした。途中、恐竜宰相と簡単な話をしたがジョロッチの言った通り、こちらの世界の言語が解るようになってて、話す事も出来た。すっげー不思議な感覚。これで俺もバイリンガルだ。

 巫女っちは神様らしいから日本語も話せたみたい。

 

 しかし、こっちの世界はティッシュが無いのが難点だな。昨晩、ジョロッチをオカズに妄想で致したが(色魔)、ティッシュ代わりのハンカチに出すしか無かったので、洗濯する人ゴメンナサイ。

 トイレ(大)の時も、不浄の手(左手)を使うしかない。幸い石鹸はあるので、しこたま手を洗う。他の人はどうしてるのか?ジョロッチに聞いてみよう(セクハラ)。

 

 朝食を終え、今はジョロッチとその部下達と一緒に、帝城内にある訓練場に来ている。城内とは思えない広大な敷地の四方を対魔性に優れた金属の大壁で囲ってある。地面は踏み固められた土。屋根はない。

 午後から俺のお披露目パーティをするらしく、午前中は力を使う特訓だ。昨日の辱めの服は洗濯に出して、今は動きやすいグレーのTシャツ短パンみたいな格好。

 

 「それではダイシ様。昨日申し上げたように、大いなる力を使いこなす修練を始めます。」

 「宜しく、ジョロッチ。あの、ひとつ質問なんだけどさ」

 「何でしょうか?」

 「ウンコした後って、どう処理してるの?」

 

 「……それでは、先ず簡単な魔法から始めましょう」

 答えてくれんかった。

 

 正直、簡単な事だった。炎の魔法を使いたかったら、頭でそのイメージを膨らませ、それを身体を巡る力に乗せ解き放つ。

 範囲や形状、密度や温度なんかもイメージすればその通りに変化する。ジョン・レ○ンが言っていた「イメージしてごらん」である(違う)。

 他にも水、風、土、闇、光の魔法などは、いい歳こいて厨ニの俺にとっては容易い事ばかりだった。

 

 自然界の属性魔法は単純にイメージしやすいが、昨日、発したエネルギー波のような無属性の攻撃魔法も、俺の豊かな想像力で多彩な形状で放てる。波紋○走(オーバード○イブ)と名付けよう。

 向こうの世界では負の側面しかなかったその性質が、ここに来て役立つとは。何が起きるかわからんね。

 

 「素晴らしいです。ダイシ様!!」

 「え?そお?(照)」

 「これ程の短時間で、自由自在に力を扱える方は史上初です」

 「ハハハ、コツを掴めば簡単なことですよ」(キリッ)

 自分でも意外だった才能に、鼻を高くする。

 

 「では次は飛行をやってみましょう」

 「ア○イさんにお任せなのだ!!」

 

 駄目だった。

 昨日と変わらず間抜けな格好でフヨフヨ浮くだけだ。

 

 「何故だ?何故俺は飛べないんだ」

 地面に四つん這いになり悔しいふりをする。他の魔法がすんなり出来た分、実際ちょっと悔しい。

 

 「飛行はイメージが難しいのかも知れませんね。気を落とさないで下さい。ダイシ様ならすぐ飛べるようになりますよ」

 「ありがとう。ジョロッチは優しいね。俺のお嫁さんにしたい候補No.1だよ」

 

 「……ええと、次は治癒の魔法をやってみましょうか」

 華麗にスルーしたジョロッチは、懐から短剣を取り出し、自らの腕を斬りつける。赤い血が流れる。

 

 「ではこのキズを治して下さい。私を優しい気持ちで包み込む様なイメージで」

 俺はジョロッチを優しい気持ちで包み込む。物理的に、両腕で。ぎゅ♡

 

 「あの、そう言うのはもういいですから、手は患部にかざして下さい」

 フフフ、俺の扱い方が上手くなってきたじゃないか。

 

 手を患部にかざして、イメージする。傷よ、なおれー、なおれー。ホンワリとした暖かい光がジョロッチの腕を包み、みるみる傷が塞がっていった。やっぱ俺天才。

 

 「流石です、ダイシ様!!」

 「うん、もっと言って」

 「……解毒などの応用は、準備も要りますので次回に致しましょう。」

 

 次は剣術だ。訓練用の木剣を渡された。

 

 「お相手は私、タウンゼントがつとめさせて頂きます」

 部下の一人の男が木剣を携え、一礼とともに名乗り上げる。セミロングの黒髪を横分けで垂らした、細身の色男。

 

 「うん、よろしくー」

 「それでは、自由に打ち込んで来てください」

 両手で木剣握り中段に構えるタウンゼント。 

 

 「ほーい」

 剣など握った事無いおれは、片手で握った木剣をデタラメに振り回し、打ち込む。

 

 全ての打撃を自分の木剣で受け切り、防戦するタウンゼント。次第に彼の額から汗が吹き出し余裕の表情が消える。どうした?タウちゃん?

 

 次の瞬間、俺の振り下ろした剣戟を受け止めた木剣が、乾いた破裂音を伴い、激しく破壊された。折られた剣先が綺麗に回転して飛んでいった。

 

 「参りました!!」

 「え?嘘、なんで?」

 「ジョロバケット様の臣下の中で、剣技においては一番の自信があったのですが、ダイシ様がこれ程までとは」

 額の汗を拭い、驚嘆するタウちゃん。

 

 「ほんとに?ほんとに俺強いの?」

 「はい。恐らくですが、しっかりと技術を修得されれば、この帝国でも剣帝様にも及ぶ力量かと。現段階でも単純な身体能力では、ダイシ様に敵う者はいないでしょう」

 「まじかー!?何かスゲーな俺」

 って言うか剣帝って誰?

 

 予想以上のチート能力に自分自身が驚愕するとともに、ロリっ娘の巫女っちに尊敬の念が生まれた。アイツ大したもんだな。

 ちらりとジョロッチの方を見ると、目を見開いて口を尖らせてる。なんだ?チューでもして欲しいのか?

 

 「スッゴーイです。素晴らしいです、ダイシ様!!」

 「ありがとうジョロッチ。俺も大好きだよ」

 「……それは言ってません」

 おおう、ハッキリ言うようになったね。

 

 「そう言えば、先程の飛行についてなのですが、ダイシ様は一度に飛ぼうとしていませんか?」

 「うーん、多分そうだね」

 「我々は飛行する際、先に重力の干渉を打ち消し、宙に浮いてから飛行推力を与えると言う手段を取ります。ダイシ様も一度試してみてはいかがでしょう?」

 「なるほど、二段階に分けてって事だね。よーし、やってみよう」

 

 言われた通り先ずは浮く事だけに集中する。むーん。浮いた。漂うことなく、その場に静止してホバリングする。

 その状態をキープしたまま、移動するイメージを描き推力を生み出す。宙に浮いたまま、スーッと移動できた。

 おおっ!!飛べた!!

 

 「出来たよ!!ジョロッチ!!」

 さながら、初めて補助輪なしで自転車に乗れた時のような感動だ。

 

 眼下でジョロッチ達が手を叩いて喜んでくれている。

 ありがとう、ジョロッチママ。ママの助言のお陰だよ。

 ジョロッチって何歳なんだろう?

 

 そのまま、暫く飛行練習を行う。2つのイメージを切替えて飛行を持続させるのが割と難しい。しかし、それも慣れ問題だった。次第にイメージ通り難なく飛行出来るようになり、スピードも上げられるようになった。ドラ○ンボールの孫○天を思い描く。

 

 「ジョロッチー。もう少しスピード出したいから、この辺一周して来ても良いー?」

 高度が上がり、地上と距離が開いたので大声で叫ぶ。

 

 「はいー。お城の周辺でお願いしますー。何かあるといけませんのでー」

 

 「おっけー」

 了承を得た俺は、帝城の天守閣中心に円を描きながら、晴れ渡る空を飛行する。これは気持ちが良い。とても爽快で楽しい。

 

 速度に緩急をつけたり、高度を上げ下げして縦横無尽に飛び回る。良いぞ、大分慣れてきた。

 いっちょここでアクロバット飛行してみよう。恐らく普通に飛ぶよりは繊細な制御、細かなイメージが必要だろう。先ずは無難に宙返りから。

 

 

 ✟✟✟✟✟✟✟✟✟✟✟✟✟✟✟✟✟✟✟✟✟✟✟✟✟✟✟✟✟✟✟✟✟✟✟✟

 

 

 後悔とは字のごとく、後になって悔やむ。

 軽い気持ちで、宙返りなど試みた俺自身を呪う。

 思った以上に制御が難しく、イメージが混乱しパニックを起こした俺は、飛行制御を失いあらぬ方向へと高速で飛んでいった。

 

 メーデーメーデー。こちらダイシ。こちらダイシ。

 操縦不能。操縦不能。

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