表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
87/173

■第84話 大海原への挑戦編 怒りと涙の、夜明け前

怒りが港を満たし、悲しみが地面を濡らした。

それでも夜が明ければ、小さきものたちは立ち上がる。

仲間のために拳を握る——それだけが、今の全てだった。


■ 重苦しい夜明け

夜明けとともに、港は異様な静寂に包まれていた。

いつもなら小さきものたちの元気な声が響き渡るはずの時間に、今日は重苦しい沈黙が支配している。昨日の出来事が、まるで悪夢のように港全体に影を落としていた。

リアンは港の端に座り、じっと海を見つめていた。さくやとジュウベェが連れ去られた方角を。小さな手で砂を握りしめている。

「みんな……今頃どうしてるんやろ……」

恐怖と心配で一睡もできなかった夜が明け、現実と向き合わなければならない時が来た。


■ 緊急召集

港はざわめきに包まれていた。

普段は穏やかな海風が、今日はどこか重く、胸に圧をかけるように感じられる。波間には微かに警戒心が漂い、見張りの数もいつもの三倍に増えていた。

空は厚く暗く、灰色の雲が海面を覆い尽くしていた。まるで自然までもが、この緊急事態を察しているかのようだった。

「なあ、聞いたか?リトルレッドが現れたって……」

「マジか……」

「仲間が攫われたらしいで……」

ひそひそと交わされる会話に、不安が募る。北の拠点から、南の島々から、西の港町から——各地の拠点からやってきた小さきものたちが一堂に会し、互いの顔を確かめ合っていた。険しい表情で拳を握る者もいれば、声をかけ合い励まし合う者もいた。

普段は別々の拠点で暮らしている小さきものたちも、仲間の危機となれば一致団結する。それが彼らの美しいところだった。


■ 決意の炎

現場監視システムを通じ、爆音社長の声が港全体に響き渡った。

「みんな、気ぃ落としたらあかん!」

ざわめいていた小さきものたちが一斉に静まり返った。いつもの明るい声は影を潜めているが、その代わりに燃えるような闘志が滲み出ていた。

「アタシらの仲間が攫われた。許されへんことや。せやけど、慌てたらあかん。冷静に、計画的に、必ず取り戻す!」

その言葉に、小さきものたちの目に希望の光が灯った。嘆いているだけでは何も始まらない。行動しなければ、仲間たちは帰ってこない。

「そうや!諦めたらあかん!」

「みんなで力を合わせれば、絶対に大丈夫!」

「リトルレッドなんかに負けへんで!」

次第に港に活気が戻ってくる。恐怖は確かにある。しかしそれ以上に、仲間を救いたいという気持ちが強かった。


■ 囚われた二人

その頃、遠くの海上では別の光景が広がっていた。

黒い船の船底、薄暗い牢屋にさくやとジュウベェが押し込まれていた。木の格子越しに、ぼんやりとした明かりが差し込んでいる。

「ジュウベェ、大丈夫?」

さくやが周りを気遣いながら声をかけた。狭い空間に押し込められ、不安で押し潰されそうになりながらも、彼女は仲間の支えになろうとしていた。

「拙者は……まあ、なんとかでござる。切腹したいところでござるが……」

「切腹はやめて」

さくやが苦笑いしながら言うと、ジュウベェは格子を握りしめた。

「リアンが絶対助けに来てくれる。師匠と爆音社長もおる。絶対大丈夫やって」

さくやが言い聞かせるように言うと、ジュウベェは力強く頷いた。

「……そうでござるな。諦めたら、切腹より情けないでござる」

拘束されていても、その目に宿る希望の光は消えていなかった。

甲板の上では、リトルレッドたちが次の動きを話し合っていた。

「次はどこ狙うか?」

「どこでもええやんけ。今日も稼ごうや~」

気楽な声が、甲板に響いていた。


■ 師匠の装備室——笑えない笑い

その夜、師匠は一人、静かに装備室の扉を開けた。

「カシャン……ギィィ……」

重々しい音とともに、整然と並ぶ戦闘装備の数々が視界に入る。普段は決して使われることのない、緊急時のための最終手段たちだった。

薄明かりに照らされた装備の数々——超小型の対人マシンガン、掌サイズの小型ロケット弾、コンクリートも切断する小型チェーンソー。そして最後の一つ、チュール装置。これだけは、なぜか他の装備とは毛色が違っていた。

師匠は慎重に装備を選別していく。一つ一つを手に取り、確認し、丁寧に並べていく。

そして最後に、対人マシンガンをそっと持ち上げた。

「……これで、無事に助けられますから」

静かに、しかし確信を持った声で言いながら、師匠がマシンガンを掲げた。

その瞬間、部屋の隅で待機していた大勢のリトルさくやたちが、一斉に立ち上がった。

「「「ちょっと待って師匠!!」」」

声が重なる。

「無事にって……それで無事な人おらんやつやん!」

「1分間に1200発って書いてあるで!?」

「敵も味方も関係ないやつやん!」

「師匠、落ち着いて!」

口々に突っ込みが飛ぶ。師匠は少し困ったような顔をしながら、それでも静かに答えた。

「大丈夫です。私が使えば、ちゃんと……」

「「「余計あかん!!」」」

さくやたちの声が、装備室に轟いた。

師匠は苦笑しながらマシンガンをそっと棚に戻し、代わりにチュール装置を手に取った。

「では、これで順序よく……」

「「「それも止めてええですか!!」」」

さくやたちが師匠の両腕にしがみつく。

師匠は静かに微笑みながら、装置をポケットにしまった。

「……わかりました。では、別の方法を考えましょう」

「最初からそうして!」

誰かがそう叫んだ。師匠は穏やかに頷いた。その目には、確かな策の光が宿っていた。


■ アタシの工場、夜通し燃える

現場監視システムの向こう、爆音社長の工場では夜通し火花が散り、鋼材が打ち鳴らされていた。

「ガンガン!ドンドン!」

ハンマーが金属を叩く音が、夜の静寂を破って響き続ける。工場の明かりは一晩中消えることなく、爆音社長と部下たちが新しい武装船の建造に取り組んでいた。

「船体はもっと頑丈に!装甲も厚く!」

汗を流しながら指示を飛ばす爆音社長の目には、誰よりも熱い意志が宿っていた。

「大砲の配置はここと、ここと……」

設計図に赤いペンで印をつけながら、戦略を練っていく。

「アタシの仲間を攫ったこと、絶対に後悔させたるわ」

その声は静かだったが、炎のような怒りが宿っていた。


■ 港の誓い

港の集会所では、各拠点から集まった小さきものたちが円陣を組んで座り込んでいた。それぞれの目に、悔しさと決意が混じり合っている。

「絶対に取り戻そう。きっとみんな生きてる」

一人の声に、全員が力強く頷いた。

「諦めたらあかん!」

「みんなで力を合わせれば、絶対に大丈夫!」

それぞれが経験した困難を語り合い、互いに勇気を分け合っていく。一人では小さな力でも、みんなで集まれば大きな力になる——それを彼らは知っていた。

夜が更けても、誰も眠ろうとしなかった。


■ 夜明け前の誓い

リアンは一人、港の突端で海を見つめ続けていた。

「さくや……ジュウベェ……待っとって。絶対助けに行くから」

小さなつぶやきが夜風に運ばれていく。恐怖はある。しかし、仲間を見捨てることなど絶対にできない。

工場からは、まだハンマーの音が響き続けている。師匠の装備室では、さくやたちに止められながらも師匠が策を練っている。港に集まった小さきものたちは、明日からの特訓に備えて体を休めている。

それぞれが、それぞれの方法で戦いに備えていた。

無線から、爆音社長の声が静かに届いた。

「リアン、一人で抱え込まんといて。アタシらもおるから」

続いて師匠の声。

「必ず策を講じます。一緒に取り戻しましょう」

リアンは小さく頷いた。涙が一筋、頬を伝った。

嵐の前の静けさのような夜が、港を包み込んでいた。しかしその静寂の中には、燃えるような決意が宿っていた。

——明日、新たな物語が始まる。




#小さきもの大海原物語

#重苦しい夜明け

#アタシらの仲間を返せ

#囚われたさくやとジュウベェ

#諦めたら切腹より情けない

#師匠のマシンガンをさくやたちが全力阻止

#これで無事に助けられますから問題

#アタシの工場夜通し燃える

#リアン一人で抱え込まんといて

#明日新たな物語が始まる


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ