■第59話 帰還編 川辺の攻防戦
平和なランチタイムから一転
巨大ワニとの恐怖の遭遇
生死を分ける緊迫の瞬間
■黒い影の恐怖
川辺に座り込んだリトルたちの目に、水面に浮かぶ黒い影が映った。
最初は小さな波紋だった。しかし、次の瞬間――水面が盛り上がり、巨大な三角形の鼻先がぬらりと浮上する。
そして、もう一つ。さらにもう一つ。
体長5メートルはあろうかという巨大なワニが、ゆっくりと、うねるように水面に姿を現した。太陽に照らされた背中の鱗は黒鉄のように光り、一つひとつが鎧の欠片のような威圧感を放つ。
「ひいいいい…!」
リトルさくやの手からおにぎりがぽろりと落ちる。
「あかん、あかん、あかん!」 「でか!でかすぎる!」 「これ、恐竜やん!生きた恐竜や!」
■うねる死の化身
巨大ワニがゆっくりと川岸に向かって泳ぎ始めた。水を切る巨体は、まるで生きた潜水艦のよう。尻尾が左右にうねる度に、水面に巨大な波紋が広がる。
「動いたらあかん」 「恐竜に見つかったら終わりや」 「映画で見たんと一緒やん」
そのうねりは催眠的で、見ているだけで足がすくむ。巨大な体が水中でゆらゆらと揺れ動く様は、まるで古代の怪物が蘇ったようだった。
最も巨大なワニが、ついに口を大きく開けた。
ガパァァァ…
その口の中は真っ赤な洞窟のよう。無数の黄色い牙が並び、腐肉の匂いが風に乗って漂ってきた。
「うぇぇぇ…」 「完全に恐竜映画やん」 「食べられて終わりのパターンや」
父トラの驚愕パンチ
その瞬間、白い影が飛び出した。
父トラが岸辺から思い切りジャンプし、空中で大きく腕を振りかぶった。そして――
ドゴォォォン!
父トラの巨大な拳が、5メートル級の巨大ワニの頭部を直撃した。
「うわああああ!」 「恐竜がパンチで飛んだ!」
巨大ワニは「グワァァァ!」と悲鳴を上げながら、空中を舞う。まるで巨大な緑色のロケットのように一直線に飛んでいく。
しかし――
別の巨大ワニが、慌てて水から飛び上がった。仲間を助けようと必死に空中でキャッチしようとする。
その瞬間、黒豹の一匹が「今だ!」とばかりに跳躍した。
バシィィィ!
空中で華麗なヒョウパンチを繰り出し、飛び上がったワニの顎を真横から打ち抜く。
「黒豹さんもパンチした!」 「連携プレーやん!」 「舎弟も親分に負けてへん!」
二匹の巨大ワニが、絡み合いながらさらに遠くへ吹き飛んでいく。
ドッシャーン!ガッシャーン!
木々がなぎ倒される音が二重に響いた。
「恐竜が二匹とも飛んだ」 「これ、もう格闘技やろ」 「白トラ組、最強すぎる」
■川辺の余韻
父トラと黒豹が、何事もなかったように着地する。二人とも毛づくろいを始めた。
「親分と舎弟の連携、完璧やった」 「恐竜を二匹も倒すって…」 「私ら、どんだけ強い組織におるん?」
川面は再び穏やかになったが、今度は別の意味で静寂が支配していた。
「黒豹さんのヒョウパンチ、めっちゃかっこよかった」 「舎弟も親分に恥じない強さやな」 「でも、恐竜二匹をまとめて飛ばすって、やりすぎちゃう?」
リトルさくやは、遠くの茂みから聞こえる「グワァァ…グワァァ…」という二重の弱々しい声に、少し複雑な気持ちになった。
「まあ、恐竜も二匹とも生きてるみたいやし」 「でも、仲良く一緒に飛んでったな」 「あれで友情が生まれたりして」
残りのワニたちは、その光景を見て完全に戦意喪失していた。そそくさと水中に潜って姿を消していく。
「もう誰も近寄ってこんやろな」 「白トラ組の恐ろしさが知れ渡ったわ」 「でも、頼もしすぎるわ、この護衛隊」
#創作小説
#ファンタジー
#冒険小説
#バトルシーン
#巨大ワニ
#動物バトル
#白トラ
#黒豹
#リトルさくや
#note小説




