表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
63/94

■第60話 帰還編 永遠に続く道のり

夕暮れの古代遺跡での再会

無言の絆と確かな約束

黄金色に染まる新たな出発


■夕暮れの古代遺跡で

 夕暮れの草原に、ひんやりとした風がそよぐ。色あせた古代の石組みが、夕陽に染まってぽつんと浮かび上がる。

 かつての闘技場──「コロシアム」。

 リトルさくやたちは、コロシアムの縁に腰を下ろす。ひんやりした石の感触が、疲れた足先に静かに伝わる。

「ここが最初に白トラさんたちと出会った場所やな」 「懐かしいわ」 「あの時は、ちゅーるで命拾いしたもんな」

 風でめくれぬよう地図を押さえ、これからのルートを確認する。

「ここから西ルートで、地上の拠点まで戻ろう」

別れの予感と心の揺れ

 夕陽が古代の石を赤く染める中、リトルさくやの胸に重いものが宿った。

 ここは出会いの場所。だとすれば、ここは別れの場所でもあるかもしれない。

「まさか…」 「白トラさんたち、ここでお別れのつもりなんかな」 「最初に出会った場所やから、ここで一区切りって考えてるんかも」

 仲間たちも同じことを考えているのか、表情が曇る。

「でも、まだ一緒におってほしいな」 「もうすっかり家族みたいやし」 「お別れなんて考えたくない」


■心の中のざわめき

 互いにうなずき合う。それは"次の一歩"の確認に過ぎない。けれど胸の奥が、ほんの少しざわつく。期待と緊張、そして別れへの不安が混ざったざわめき。

 視線を上げると、少し離れた丘の上に、白トラ一家の姿があった。

 子トラたちは並んでじっとこちらを見つめ、黒豹三匹もぴしっと直立して緊張感ある静寂を作り出している。そして中央に、どっしりと座る父トラ。

「なんか、お別れの挨拶みたいな雰囲気やん」 「やっぱり、ここでサヨナラなんかな」 「いやや、まだ一緒におってほしい」

 大きく堂々としているのに、どこか優しい気配が漂っていた。それがまた、別れの予感を強くさせる。


■勇気を振り絞った質問

 リトルさくやはそっと立ち上がる。足が少し震えていた。

「聞くのが怖い」 「でも、はっきりさせたい」

 息を整え、足音を立てずに近づきながら、ぽつりと声をこぼした。

「……白トラさん…」 「もしかして、ここでお別れ?」 「最初に出会った場所やから、区切りをつけるつもりなん?」

 声は震えていた。答えを聞く勇気と、聞きたくない気持ちがせめぎ合う。


■予想外の答え

 父トラはすぐには答えない。ゆっくりと立ち上がり、大きな体で深く瞬きをする。

「やっぱり、お別れなんや…」

 リトルさくやの目に涙がにじみ始めたその時──

 父トラが首を曲げて子トラたちに視線を送る。

 一瞬で──隊列が整った。

 トラも黒豹も、号令があったかのように姿勢を正す。

「え?」 「これって…」 「出発の準備?」

 リトルさくやの目が丸くなる。これは別れの挨拶ではなく、出発準備の合図だった。

「お別れやなくて、一緒に行ってくれるん?」 「勘違いしてた」 「良かった…ほんまに良かった」

 涙がにじむ。これは別れの涙ではない。ただ、「一緒にいてくれる」ことのありがたさ、温かさに自然にこぼれたものだった。


■白トラ流のサプライズ

 手を見ると、いつの間にかちゅーるのパウチを握っていた。

「あっ…これ…いつの間に?」 「私、さっきから手に何も持ってへんかったのに」 「白トラさん、手品師かいな」

 思わずくすりと笑う。誰も見ていないようで、ちゃんと見守ってくれていたことを感じる瞬間だった。

「この子、いつもサプライズ好きやな」 「心配させといて、最後にちゅーるでフォローって」 「ツンデレかいな」

 父トラはゆっくりとリトルさくやのそばに歩み寄り、何も言わず寄り添う。

「まあ、一緒に来てくれるなら何でもええわ」 「でも、今度から心配させんといて」


■未来への新たな誓い

 その影の中で、リトルさくやは深く息を吸った。

「また、旅が続くな」 「でも今度は、お別れの心配せんでええ」 「一緒や」

 その声に、仲間たちは自然と立ち上がり、背筋を伸ばす。

「どこまでも、みんなで行こう」 「この組織、解散する気配ないな」 「それでええわ」


■黄金色の絆

 振り返ると、夕陽の中に長く伸びる影。リトルさくやの影、白トラ一家の影、黒豹たちの影。

 それぞれの誇らしげな輪郭が黄金色に染まり、静かに輝く。もう、別れの心配はいらない。この旅は、仲間とともに続いていくのだ。

「最初は別れかと思って焦ったわ」 「でも、こんな素敵なサプライズもあるんやな」 「人生、何が起こるか分からん」


■永遠に続く道のり

 夕陽はゆっくりと沈み、空は茜色に染まる。

「…ありがとう、みんな」

 リトルさくやのささやきは風に溶け、確かに仲間たちに届いた。

 そして草原を抜け、コロシアムを背に進む影たちは──これからもずっと、同じ道を歩み続けるだろう。

「師匠に『恐竜をパンチで倒すペットを飼ってます』って報告したら」 「ペットちゃうやろ」 「じゃあ、『恐竜と互角に戦える護衛を雇ってます』」 「雇ってもないし、給料もちゅーるだけやし」

 でも、それでいい。この冒険は、彼女たちだけの特別な物語なのだから。

「まだまだ続く道のりやけど」 「みんながおったら、どこまでも行けそうや」 「次は何が待ってるやろな」

 茜空の下、小さな一行は歩き続ける。新しい発見と冒険を求めて、永遠に続く道のりを。



#創作小説

#ファンタジー

#冒険物語

#仲間との旅

#絆の物語

#古代遺跡

#白トラ

#リトルさくや

#旅は続く

#note小説


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ