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■第234話 ジャングルの光編 罠の村から脱出せよ!

ヤラモの村に、人の気配はなかった。

チアゴが駆け出した瞬間、罠が動き出した。

煙の中を、全力で駆け抜けろ!


■ ヤラモの村

さらに一日歩き、ようやくヤラモの村が見えてきた。「あれがヤラモの村だ」チアゴが指差した。しかし、村に人の気配はなかった。

一行が村に入ると、すぐに異変に気づいた。タウリの村と同様に、家は倒され、壁は崩れ、村は荒らされていた。村の中央にある広場のような場所で、周囲を見渡した。静寂が支配している。不気味なほど静かだ。

その時、チアゴが急に駆け出した。「チアゴ!」さくやが叫んだが、チアゴはジャングルの奥へと消えていった。

「ラーシュ!」「ユーリ!」「おう」ラーシュが即座に盾を構え、その後ろでユーリが弓を構えた。

次の瞬間、矢が飛んできた。ヒュン、ヒュン、ヒュン。無数の矢が降り注ぐが、ラーシュの盾が悉く弾いた。金属音が響く。

村の奥から、わさわさと人影が現れた。褐色の肌、ごつい体。体中にタトゥーを施した戦士という風貌だった。先頭に立つ一人が、高らかに宣言した。「私はリトルバルコ!右岸のジャングルの支配者だ!左岸と違って、私が統治している!」バルコは槍を突き上げた。

「ご苦労、チアゴ」

その言葉に、さくやたちは息を呑んだ。「タウリ、ヤラモとは違い、早く降参したお前は賢い」バルコが満足そうに笑った。

さくやが小声で呟いた。「ユーリの指笛がなかったら、気づかなかったよ」「ラーシュがおかしいって合図してたんだ」ユーリが答えた。「こんなジャングルをサクサク進めるのが変だったんだ」ラーシュが盾を構えたまま言った。

エレナが周囲を見回しながら、小声で報告した。「ただ、バルコさん……五百人はいますよ」

五十人対五百人。圧倒的に不利な状況だ。

レイナが静かに前に出た。「それでは、いきますね」その言葉を聞いた瞬間、一同は何をするべきか理解した。


■ 煙の中を駆けろ

レイナが懐から小さな球体を取り出し、バルコに向けて投げた。小さな球体が、バルコの足元に転がった。「ん?」バルコが不思議そうに見た、その瞬間——

「上流へ走るぞ!村に戻ったって、あいつらの方が詳しいんだからな!」ラーシュが叫んだ。

ドンッ!大きな衝撃音とともに、煙が立ち込めた。白い煙が一気に広がり、村全体を覆っていく。「ぐわっ!」「目が!」「何も見えない!」バルコたちが大騒ぎしている。

その混乱の中、エレナが素早く全員にゴーグルを配った。「皆さん、これを!この煙の中でも見える性能です!」さくやがゴーグルを装着しながら笑った。「準備万端だね」「行くぞ!」ラーシュが先頭を切って駆け出した。

さくやたちは、ラーシュを先頭にジャングルを駆けた。後方では、バルコが大騒ぎしているが、村から動けずにいた。煙が濃すぎて、どちらに逃げたのか分からないのだろう。「おそらく三十分は見えないと思いますので、その間にできるだけ遠くへ」レイナが冷静に言った。

走り続けて十分ほど経った頃、エレナとレイナが息を切らし始めた。「申し訳ございません、少し……」「大丈夫です……神様、力をお与えください……」ラーシュとユーリが、二人を抱えて走り始めた。「うわっ」「きゃっ」驚く二人を担ぎ上げ、ジャングルの奥へと走った。


■ 休憩——状況整理

二時間後、追手がないことを確認し、休憩した。全員が息を切らしながら、木の根元に座り込んだ。

「振り返ると、上陸時のチアゴがおかしかったな。あんなフレンドリーに対応するわけがない」ラーシュが言った。「すみません、気づきませんでした……」エレナが申し訳なさそうに言った。「私も全く……神様、お守りくださり感謝いたします」レイナが小さく祈りを捧げた。

「タウリは?」さくやが尋ねた。「あれはタウリじゃない。右岸の支配された部族の演技だ」ラーシュが断言した。「行動学的に考えても、我々が気づかないまま進む確率は極めて低かったはずです……お恥ずかしい限りです」エレナが自分を責めた。

「まぁ、前向きに考えようぜ。こんなに上流まで簡単に来れたんだからな」ラーシュがぶっきらぼうに言った。「おっしゃる通りですわ。これも神様のお導きかもしれません」レイナが微笑んだ。確かに、バルコの罠に気づいたのは幸運だった。そして、結果的に上流まで案内されたようなものだ。

「とりあえず休もう。暗くなるまでまだ時間がある」さくやが提案した。


■ 暗視スコープで夜を駆ける

暗くなるまでジャングルを進み、少し開けた場所を見つけてキャンプを張ることにした。しかし、火をおこすことはしなかった。煙や光でバルコたちに見つかるかもしれない。「今夜は冷たい飯だな」ユーリが干し肉を取り出した。「仕方ありませんね。皆様の安全が第一ですから」レイナも果物を配った。「論理的に考えても、火をおこすリスクは高すぎます。煙は三キロ先からでも視認可能ですから」エレナが計算しながら言った。

静かに食事を済ませ、全員が少しの仮眠をとった。

数時間後、深夜のうちに一行は出発した。「皆さん、これを着けてください」エレナが全員に小さな装置を配った。暗視スコープだ。「私が制作したものです。暗闇でも物が見えるようになります」装着すると、暗闇のジャングルが緑がかった視界で見えるようになった。木々の輪郭、地面の起伏、すべてがはっきりと見える。「すごいな……」ユーリが感心した。

バルコたちが目覚める前に、できるだけ距離を稼ぐ必要があった。暗視スコープを頼りに、一行は静かにジャングルを進んでいった。





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