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■ 第233話 ジャングルの光編 チアゴの村を作り直せ!

さくやの目が輝いた瞬間、村の改造が始まった。

怪力と設計が合わさると、ジャングルに奇跡が生まれる。

そして旅立ちの先に、不気味な静寂が待っていた。


■チアゴの村へ

さくや一行は、チアゴの村を訪れた。

村は木々の間に点在する家々で構成されていた。高床式の家、木の枝を組んだ屋根、蔦で編まれた壁。自然と調和した造りだが、あちこちに老朽化が見られた。「ようこそ!我々の村へ!」チアゴが両手を広げて歓迎した。「おお、空を飛ぶ人たちか!」「本当に来てくれたんだな!」チアゴたちが好奇心いっぱいの目で集まってくる。百人全員が同じ顔、同じ体格。筋肉質でがっしりとした30cmの体が、わらわらと集まってくる光景は、なかなか壮観だった。

チアゴが村を案内してくれた。「ここが中央広場。ここで集会をする」「こっちが食料の貯蔵庫」「あっちが川へ続く道だ」

さくやは案内されながら、無言で村を観察していた。家の傾き、床の不安定さ、雨漏りの跡。水場は村の端にあり、運ぶのが大変そうだ。食料の貯蔵庫も湿気が多く、保存には適していない。

(うーん、インフラ整備が必要やな……)

エレナがさくやの表情を見て、小さく笑った。ラーシュが小声で呟いた。「材料収集に行かないとな」「そうだな」ユーリも頷いた。「さくやさん、もう何か考えてますね。ウフフ」レイナがクスクスと笑った。

チアゴが不思議そうに一行を見た。「どうした?何か変か?」「いや、何でもないで」さくやが笑って答えた。しかし、その目は輝いていた。すでに頭の中で、村の改造計画が動き始めていた。


■改造開始——怪力と設計の合わせ技

夕方、焚き火を囲んで食事をした。チアゴたちが獲ってきた猪の肉と、ジャングルの果物。シンプルだが、力強い味わいだ。

「そういえば、家の床、結構ガタガタやな」さくやが何気なく言った。「ああ、長く使ってるからな」「高床式はええと思うんやけど、もっと高くして柱をしっかりさせたら虫とか獣も入りにくくなるで」チアゴが目を輝かせた。「それができるのか!?」「できるで。床を水平にして、壁もちゃんと組み直す。今の家、傾いてるやろ?」チアゴが自分の家を見た。確かに、少し傾いている。「全部の家を一斉に改築しよう。みんなで協力してやれば早いで」「構造計算もしっかりしますので、安全ですよ」エレナが補足した。「収納スペースも増やせますね。ウフフ」レイナも提案した。「やってくれ!何でも協力する!ガハハ!」チアゴが興奮して立ち上がった。

翌日から、さっそく作業が始まった。ラーシュとチアゴたちがジャングルの奥へ向かい、材料を切り出す。「うおりゃ!」チアゴが太い木を軽々と切り倒す。ラーシュも負けじと丸太を担ぐ。「お前、本当に力持ちだな」「ガハハ!お前もな!」二人は意気投合していた。さくやとユーリは既存の家を解体しながら再利用できる材料を選別し、エレナは測量をし、レイナはチアゴたちと一緒に材料を整理した。

さくやが紙を広げ、設計図を描き始めた。細かい寸法が次々と書き込まれていく。「高床は今より五十センチ高くする。柱は太くて頑丈なやつを使う。床はこの水平器で確認しながら組む。壁はここに窓を作って、風通しを良くする」チアゴたちが真剣に聞いていた。

チアゴ百人の怪力と、さくや一行の技術。これだけの人数が動くと、作業は驚くほど早く進んだ。数日後、最初の一軒が完成した。チアゴが家に上がってみた。「おおお!」床が完璧に水平だ。歩いても揺れない。壁もまっすぐで隙間がない。「これは……魔法か!?」「魔法やないって。ちゃんと計算して、組み立てただけや」さくやが苦笑した。

一週間後、村の全ての家が新しくなった。中央広場を囲むように、高床式の家々が整然と立ち並んでいる。

「蚊帳も作りましょう」レイナが提案した。「布で作る虫よけの網です。寝る時に吊るせば、虫に刺されません」レイナがチアゴたちと一緒に布を縫い合わせていく。「おお!これなら虫が入ってこない!」「これも魔法か!」「魔法じゃありませんよ」レイナが微笑んだ。


■花の塗料——春の村が生まれた

「せっかく新しい村になったんやし、屋根に色つけへん?」さくやがふと思いついた。「このジャングルには桜とか梅みたいな綺麗な花が咲いてたやろ?あの花の色を屋根に塗るんや」チアゴが興奮した。「面白い!やろう!ガハハ!」「でも、塗料はどうするんや……」「ジャングルの花や果実を使えばいいんじゃないですか?」エレナが提案した。「それを潰して、樹液と混ぜれば塗料になるかもしれへんな」

翌日、チアゴたち総出で花や果実を集めに行った。

ジャングルの中を歩いていくと、そこは春の花園だった。淡いピンク色の花が枝いっぱいに咲き誇る木。風が吹くと、花びらがひらひらと舞い落ちて地面にピンクの絨毯を作っていた。「綺麗やな……」さくやが思わず立ち止まった。純白の梅のような花、宝石のように輝く紫の大きな花、甘い香りが漂う黄色い花、ルビーのような赤い実——。「こんなに綺麗な花があったんだな」「いつも狩りで通り過ぎるだけだったから、気づかなかった」チアゴたちも、改めてジャングルの美しさに気づいたようだ。

それらを石で潰し、粘りのある樹液と混ぜ合わせた。できあがったのは、美しい自然の塗料だった。淡いピンク、純白、鮮やかな紫、明るい黄色、深紅——。「おお!こんなに綺麗な色になるのか!」チアゴが感動した。

チアゴたちは、それぞれ好きな色を選んで屋根を塗り始めた。ある家は淡いピンクに、ある家は純白に、ある家は鮮やかな紫に。中には複数の色を組み合わせて、グラデーションのように塗るチアゴもいた。

数日後、すべての屋根が塗り終わった。中央広場を囲む高床式の家々は、まるで花畑のように美しく彩られていた。「これは……美しい」チアゴが涙を浮かべた。「私たちの村が、こんなに綺麗になるなんて……ガハハ!さくや!お前は本当に魔法使いだ!」

「あの桜みたいな花の木、広場の真ん中に植え替えへん?」さくやがもう一つ提案した。「やろう!あの一番大きな木を持ってこよう!」翌日、ラーシュとチアゴたちが総出で、ジャングルで一番大きな桜のような木を掘り起こした。チアゴたちの怪力とラーシュの力で、何とか運び出すことができた。「うおりゃ!」「せーの!」中央広場の真ん中に植え替えると、数日後に見事に根付いた。淡いピンクの花びらが枝いっぱいに咲き誇り、風が吹くと花びらが舞い落ちて、広場全体をピンク色に染めた。色とりどりの屋根の家々に囲まれて、中心には巨大な桜の木。その光景は、まるで絵画のように美しかった。

さらに、村の外周に水路を掘り、小川から水を引き込んだ。ろ過装置も設置して、水が透明になって水路に流れ込むようにした。「美味い!前よりもっと綺麗な水だ!」チアゴが水路の水を掬って飲んだ。村は、家だけでなく、水路とろ過装置によっても守られることになった。


■旅立ち——そして不気味な静寂

「村の外には、少数で出るな」家の建て直しがひと段落した頃、チアゴが真剣な顔で言った。「ジャガー、ワニ、アナコンダ。うようよしてる!」「私たち十人が一緒に行く」チアゴが続けた。「ええの?家の礼なら気にせんでええのに」「客人をほっとけない!それに——」チアゴがニヤリと笑った。「光鉱石を見つけて、また村でシチューを食べよう!ガハハ!」「……またシチューか」さくやが呆れたように笑った。翌朝、一行は出発した。さくや一行と、チアゴたち十人。総勢六十人の探検隊だ。「タウリの村までは一日。そこからヤラモの村は二日だ」チアゴが先頭を歩きながら説明した。「一番危険なのは、巨大なジャガーだ。一家でこの広大なジャングルを徘徊している」「川沿いはワニの群れ、川の中はピラニアの群れ。川には近づくな」

頭上には木々の枝葉が茂り、時折太陽の光が差し込む。鳥の鳴き声、虫の羽音、風に揺れる葉の音。ジャングルは生命で満ちていた。

翌日の昼間、タウリの村が見えてきた。「そろそろあいつらが攻撃してきてもおかしくない。注意しろ」チアゴが槍を構えた。ラーシュが盾を構え、チアゴが最前列に立ち、ユーリが後方に回った。しかし、村に近づいても、タウリは現れなかった。

「なんや、これ……」さくやが息を呑んだ。

村は破壊され尽くしていた。家は倒れ、柱は折れ、壁は崩れている。焼けた跡もあった。まるで何か巨大な力が村を蹂躙したかのようだ。「ヤラモか?」「いや、こんなに一方的に破壊されることはない」チアゴが首を横に振った。「タウリも強い。ヤラモと戦っても、ここまで一方的にやられることはない」一行は村を探索した。しかし、タウリは一人もいなかった。生存者の気配もない。

「何か別の連中だったりして……」さくやが不安そうに呟いた。不気味な静寂が、村を覆っていた。

翌朝、一行はヤラモの村を目指して出発した。一日歩くと、小さな小川と交錯した。滝つぼの近くでキャンプを張り、レイナが川の魚を使って料理を作った。「ガハハ!この川の魚は最高だ!」チアゴも満足そうだ。

夜が更け、皆が眠りについた。朝、目覚めると、驚くべき光景が目に飛び込んできた。退治されたアナコンダが二匹、木に結ばれていた。「うわっ!」さくやが驚いて飛び起きた。「こいつら、動きは遅いけど気付かないからな」チアゴがケロッとした顔で言った。どうやら、夜中に退治したらしい。「お前、だいぶ強いな」ラーシュが感心したように言った。「ガハハ!ジャングルで生きてきたからな!」チアゴが胸を張った。

さらに進んでいくと、獣道のような道が続いている。「もう、ヤラモの縄張りに入っていると思う。気を抜くな」チアゴが警戒した声で言った。ラーシュが無言で盾を構え直した。その時、ユーリが指笛を吹いた。ピーッ、と高い音が響く。「どうしたん?」さくやが尋ねた。「何となくな」ユーリが遠くを見つめながら答えた。その表情は、何かを感じ取っているようだった。

一行は、さらに奥へと進んでいった。




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