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■第231話 ジャングルの光編 桜が咲き乱れる熱帯雨林!

飛行船が緑の海へと降下する。

熱帯雨林に、なぜか桜が咲き乱れていた。

そして夜、太鼓の音とともに、鍛え上げた訪問者たちが現れた。


■ 飛行船の旅——キャンプを重ねながら

さくやの飛行船は、暗くなるまで飛んでは無人島に着陸し、キャンプを重ねながら最終地へと向かっていた。

何日目かの夜、焚き火を囲みながら、さくやが地図を広げた。「次の飛行でジャングルの川の河口に着くと思うわ」「河口付近で一度着陸します」エレナが地図を覗き込む。「そこを拠点に、鉱石に近いところでの着陸場所を探索するんですね」

「今回は随分遠いなぁ。でも、大河があるから、マケダ一行は大型船二隻で出発してるらしいで」さくやが続けた。「しかも、重機を積んだ運搬船も帯同してるんやって。今まで最大級の鉱山の発掘を予想してるみたい」「それだけ期待されてるってことですね」レイナが少し緊張した面持ちで言った。「到着までかなり時間はあるけど、何とか早く鉱山を発見せなあかんな」

飛行船の中では、さくや10人、ラーシュ10人、ユーリ10人、エレナ10人、レイナ10人——計50人の小さきものたちが、それぞれの持ち場で準備を進めていた。


■ 着陸——桜が咲き乱れる熱帯雨林

翌日、一行は河口付近の広場を見つけ、着陸した。

飛行船がゆっくりと高度を下げていく。眼下には、見渡す限り広大に木々が生い茂るジャングルが広がっていた。「すごい……」エレナが息を呑んだ。緑の濃淡が幾重にも重なり、まるで波打つ海のようだ。巨木が天を突き、その間を無数の蔦が這い、色とりどりの鳥たちが飛び交っている。

飛行船が着地した。扉を開けると、湿った土と植物の香りが一気に流れ込んできた。鳥の鳴き声、虫の羽音、葉擦れの音。生命の気配が溢れている。50人が次々と降り立つ。

ところが、予想に反して蒸し暑くはなかった。「あれ?思ったより涼しいですね」レイナが不思議そうに辺りを見回す。「ほんまやな。熱帯雨林みたいなジメジメ感がないわ。まるで春みたいや」さくやも首を傾げた。

そして、さらに驚いたのは——「あれ、桜……?」エレナが目を疑った。少し離れた場所に、淡いピンク色の花が咲いている木があった。ジャングルの中に、まるで春の景色が広がっている。「桜だけやないで。あっちには梅みたいな白い花も」さくやが指差した先では、白い花びらが風に舞っていた。

「不思議なジャングルですね……」レイナが呟いた。熱帯のジャングルに、春の花々。まるで異世界のような美しさだった。

「急がば回れで、先に拠点作った方がええかな」「下手したら、着陸できるところここしかないかもな」ラーシュが周囲の巨木を見上げながら言った。

「ユーリ、何かの気配は?」エレナが尋ねると、ユーリは目を閉じて集中した。しばらくして首を横に振る。「大きな動物の気配は感じないな。鳥や小動物はたくさんいるけど」「自然があって食材は豊富そうやし、レイナの腕の見せ所やな」「はい!お料理頑張ります!」


■ 探索と拠点建設

役割を分担した。拠点建設班としてさくや10人、ラーシュ10人、ユーリ10人が残る。付近探索班としてレイナ10人とエレナ10人が飛行船で周辺の探索に出かけることになった。「気をつけてな」「はい、行ってきます」

空から見るジャングルは、さらに圧巻だった。「あの木、見てください!花が咲いてます!」レイナが指差した先には、巨木の梢に紫色の花が咲き乱れていた。ジャングルの中に、ところどころピンクや白の花が咲くエリアが点在している。まるで春の庭園が熱帯の緑の中に埋め込まれているようだ。

川は蛇行しながら奥へ奥へと続いている。着陸できそうな場所は見つからない。探知機も、光鉱石の反応を示さなかった。「……駄目ですね」エレナが溜息をついた。「明日も続けましょう。きっとどこかにあるはずです」レイナが励ますように言った。

拠点に戻ると、30人がかりで作業した建物がすでに形になっていた。壁があり、屋根があり、ドアまである。床はほぼ完璧に水平だ。50人が余裕で過ごせるスペースだ。「さすがやな、ラーシュとユーリのコンビは」「さくやの設計が正確だからですよ」ラーシュが汗を拭いながら笑った。「今日の寝床は心配なし」


■ 太鼓の音——チアゴ登場

夜が来た。焚き火を囲み、レイナが作った野菜のスープを飲んでいた。50人分の器が並ぶ光景は、それ自体なかなか壮観だ。ジャングルで採れた香草が独特の風味を加えている。夜風が心地よく、どこからか花の甘い香りが漂ってくる。

その時だった。ドン、ドン、ドドン。

遠くから太鼓の音が響いてきた。リズミカルで、どこか祝祭的な響きだ。それでいて、力強い。「もう来たのか」ラーシュが立ち上がり、盾に手をかけた。

太鼓の音が徐々に近づいてくる。ドン、ドドン、ドン。そして、ジャングルの闇の中から人影が現れた。松明を手に、列を成して歩いてくる。

先頭に立つ者たちが、焚き火の光の中に姿を現した瞬間、さくやたちは息を呑んだ。

褐色の肌に短い黒髪。手首、足首、首に色とりどりの装飾品。羽根、骨、色鮮やかな石。そして——圧倒的な体格だった。

身長こそ同じ30cmだが、筋肉の付き方が尋常ではない。肩幅が広く、腕は太く、太ももには隆々とした筋肉が浮き上がっている。まるで格闘家を小さくしたような体躯だ。一見男性かと思ったが、顔立ちは女性のものだった。

「うわぁ……」エレナが小さく呟いた。「ラーシュみたいな体してるな……」ユーリも驚いている。「ラーシュ、同族やで」「違う」ラーシュが即答した。

先頭の一人が、さくやたちをじっと見据えて口を開いた。「私たちはリトルチアゴ。このあたり一帯が縄張り。あなた方は何しに来た?」低く、力強い声だ。警戒しているが、敵意はないようだ。

さくやが一歩前に出た。「光鉱石を探しに来たんや。青白く光る石、知らへん?」チアゴは首を傾げた。「光る石?知らない」

さくやは緊張をほぐすために笑顔で提案した。「よかったら、一緒に食事せえへん?」チアゴたちが顔を見合わせた。やがて先頭の者が頷いた。「食事……する」


■ クリームシチューの奇跡

レイナ特製のクリームシチューが、大きな鍋で煮えている。白い湯気が立ち上り、バターとミルクの香りが漂う。チアゴたちは興味津々といった様子で鍋を覗き込んでいた。

「これ、何?」一人のチアゴが尋ねた。「クリームシチューや。野菜とお肉を煮込んだスープみたいなもんやな」レイナが器によそって差し出した。

チアゴが恐る恐る口をつけた。その瞬間、目が大きく見開かれた。「おおっ!これは!」「美味い!美味いぞこれ!」「温かい!体に染みる!もっとくれ!」「何だこの白いのは!ミルクか?野菜も柔らかい!」

興奮気味に次々と感想を述べるチアゴたち。その豪快さと素直な反応に、さくやたちは笑いをこらえきれなくなった。「ぷふっ……あはは」エレナが思わず笑い声を漏らした。「お代わりもありますよ!」レイナが嬉しそうに微笑むと、チアゴたちは器を次々と差し出した。「おかわり!」「俺も!」「これ、最高!」


■ 焚き火を囲んで

食事が終わり、焚き火を囲んで話をした。

チアゴたちはこのジャングルで暮らす小さきものたちだ。狩りをし、果物を採り、川で魚を捕る。百人で暮らす村があるという。「私たち、強い。誰も村に近づかない!」先頭のチアゴが胸を叩いた。

「そら、その体やもんな。めちゃくちゃ鍛えてはるんやろ?」さくやが感心したように言うと、チアゴは不思議そうな顔をした。「鍛える?生まれた時から、こう!」「え、生まれつき?」一同が驚いた。「村の者、みんな同じ。強い体、ジャングルで生きるため!ガハハ!」

「近くに村がある!いつでも来い!またあの白い食べ物、作ってくれ!」チアゴが元気よく手を振り、仲間たちを連れてジャングルへと戻っていった。松明の光が、徐々に闇に消えていく。

「良い人たちでしたね」レイナが安堵したように言った。「ああ、めちゃくちゃ元気やったな。あの体は反則やわ」さくやが笑った。「でも、シチューを食べた時の顔は最高でしたね。ウフフ。あんなに喜んでもらえると作り甲斐があります」レイナが嬉しそうに微笑んだ。

焚き火が静かに燃えている。遠くから、夜の虫の声と、時折太鼓の音が聞こえてきた。ジャングルでの探索は、まだ始まったばかりだった。




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