■第216話 遥かなる光編 川を拓く、港を作る、そして本隊の到着
小さな手が、岩を割る。
川が開けば、世界が繋がる。
待っていた船が、霧を割ってやってくる。
■マケダの発掘技術
数日後。
マケダが洞窟から出てきた。
手には、光鉱石。傷一つない、完璧な状態。
「できた!」
「すごいな、マケダ」
さくやが感心する。
「岩盤との境目を見極めて、少しずつ削るんだよ!これなら壊さず取り出せる!」
「さすがや。これなら大量に運べるな」
だが——
「問題は輸送やな。サムライ部隊が船で来るけど、川をどこまで遡上できるかわからへん」
「じゃあ、確認しに行こう!」
「そうやな。飛行船の着陸場まで戻るで」
■シャドウの決意
竹林を抜け、森を抜ける。
久しぶりの川沿いの広場。
飛行船が三機並んでいた。
さくやたちの飛行船、マケダ班の飛行船、そして——黒い飛行船。
シャドウたちが近づいてくる。
「あんたら、適当な時に帰ってええで」
さくやが声をかける。
だが、シャドウたちは首を横に振った。
「カイザーのもとに戻れば、我々は処刑されるかもしれない」
「処刑?」
「任務失敗は重罪だ。飛行船をどこか遠方で爆破して、失敗を演じようと思っている」
「……そこまでするんか」
「我々も手伝う。運搬ルートの探索や護衛なら、できるはずだ」
「カイザーが援軍を出す可能性もある。斥候の役目は、慣れた仕事だ」
シャドウたちの目に、決意が宿っていた。
さくやが頷く。
「ほな、お願いがあるんやけど。運搬用の船が川を上がってくる。水深20メートルは欲しいから、遡上できるルートを探してほしいんや」
「2、3日あれば。船はまだ来ないか?」
「10日はかかるから、十分や」
「了解した」
■翌日——水深調査の結果
翌日。
シャドウたちが地図を持ってきた。
「水深調査、完了した。ここ、ここ、ここが浅い。浚渫工事をすれば、村の近くまで船で来られる」
「よっしゃ、ありがとう。早速始めるで」
■浚渫工事
川沿い。
シャドウたちが水に潜り、大きな岩に縄をかけていく。
巨大イノシシと大虎が縄を引く。
「ブモオオオッ!」
「ガアアアッ!」
ズズズズズ……岩が動く。
「すごいアル!」
だが——
「重い……この岩、何トンあるんだ……」
シャドウの一人が呟く。
「カイザーな——」
言いかけて、止まる。
「……いや、忘れよう」
「……承知した」
他のシャドウたちが静かに頷く。
「すまない」
さくやが横で聞いていた。
何も言わなかった。
竹で桟橋を作り、倉庫を建て、監視塔を組み上げる。
力仕事は忍者の専門外だ。
あちこちから呻き声が上がる。
「腰が……」
「手が……」
言いかけるたびに、シャドウたちは口を閉じた。
その度に、誰かが小さく「忘れよう」と呟いた。
シュウメイたちは何も言わず、黙って隣で竹を運んだ。
■採掘組
洞窟の中で、レイナが光鉱石を採掘していた。
壁一面に、青白く光る結晶。まるで夜空の星のように輝いている。
「この角度で……そっと……」
繊細な手つき。芸術家の技術が、ここで活きる。
「できました……」
六角柱の美しい結晶が取り出される。手に持つと、ほんのり温かい。
「すごいアル!レイナ上手アル!」
「神様の祝福を……この鉱石が無事に運ばれますように」
レイナが祈りを捧げる。
マケダが隣で作業している。
「レイナの手つき、本当に綺麗だね!」
「マケダさんも、とても上手ですわ」
二人で発掘のコツを教え合う。
洞窟の外では——
エレナが地図を広げていた。
「距離は短いが傾斜がきつい道と、平坦だが距離が長い道……中間のルートが最適解ですね」
「ラーシュ、ユーリ、このルートで運んでください」
「了解」
ラーシュとユーリが光鉱石を竹の台車に乗せる。
「重っ……これ一個50キロあるのか」
「でも運べるな」
パンダたちも無言で手伝う。
「パンダ師匠、疲れてないアルか?」
パンダが首を横に振る。
「さすがアル!」
■本隊の到着
一週間。
港はある程度形になった。
桟橋。倉庫。荷揚げ場。監視塔。
「まだ荒いけど、これで十分や」
さくやが頷く。
その時——
「船の音でござる!」
ジュウベェが監視塔から叫ぶ。
霧の向こうから——大型船が現れた。
「来たアル!!」
タラップが降ろされる。
マケダ90人が降りてくる。
続いて、侍400人。
「拙者たち、到着したでござる!」
■再会
「さくや殿!無事でなによりでござる!」
「こっちも無事や。光鉱石も見つかったで」
船から降りてきた侍たちが、シャドウたちを見た。
「……忍者?」
「仲間になったんや。色々あってな」
シャドウの一人が侍に話しかける。
「船旅はどうだった?」
「快適でござったよ」
シャドウが少し黙った。
「……そうか」
それだけ言って、荷物を持ち上げた。
さくやがその背中を見た。
何も言わなかった。
港が、一気に賑やかになった。
「よっしゃ、これから運搬作業や。みんな、よろしく頼むで!」
「おー!!」
月が昇る。
港に、笑い声が響く。
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