表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
156/197

■第153話 波乱の女子旅編 岩山の影

荒野は、歓迎しなかった。

足を踏み入れた瞬間から、すべてが牙をむいていた。

それでも四人は、前へ進んだ。


■上陸

小舟で崖下の浜に降り立った。

砂が白く乾いていた。踏みしめるたびに足が沈む。熱風が顔を叩き、砂粒が目に入った。見上げると崖が続き、その上に荒野が広がっている。

「……思ったより過酷やな」さくやが額の汗を拭いた。

「気温は相当高いですね」エレナが空を見上げた。「記録しておきましょう」

レイナが荒野を眺めた。どこまでも続く褐色の大地。草一本見えない。しばらく黙ってから、スケッチブックをしまった。今は描く場面ではないと思ったようだった。

ユーリが崖を見上げた。

「……登れる」

「ほんまに?」

「……雪山の岩場より簡単だ」

四人で崖を登った。ユーリが先頭に立ち、足場を確かめながら進む。さくやが後ろから声をかけ、エレナが荷物を抱えて続く。レイナが最後尾でゆっくりと登った。

崖の上に出た瞬間、熱風が全身を包んだ。

荒野が広がっていた。果てしなく、褐色の大地が続いている。

「……あれ」ユーリが遠くを指さした。

水平線の手前に、黒い岩山の影が見えた。

「とりあえずあれを目指そうか」さくやが言った。「目印になるやろ」


■砂嵐

歩き始めてしばらくすると、空の色が変わった。

黄色い壁が地平線から迫ってきた。

「砂嵐や!」さくやが叫んだ瞬間、風が唸りを上げた。

レイナがその場で目を閉じ、両手を胸に当てた。祈りを始めた。ユーリがすかさずレイナの後ろに回り、両肩をしっかりと押さえた。

エレナは荷物から記録帳を取り出した。砂が顔を叩く中、風速を測り、砂粒の密度を目で確認し、淡々と数字を書き込んでいた。

さくやが「みんな伏せて!」と叫んだ瞬間、突風が真横から来た。

さくやだけが、飛んだ。

黄色い砂の壁の中に消えた。

レイナの祈りは続いていた。ユーリが押さえていた。エレナが記録していた。

三人がそのまま砂嵐をやり過ごすと、風が収まった。

砂煙が晴れると、さくやが三人の真横に立っていた。

「……今、戻ってきたん?」エレナが記録帳から顔を上げた。

「わからん」さくやが首をかしげた。「気づいたらここにおった」

「……どこに飛んだんだ」ユーリが言った。

「それもわからん」

レイナが目を開けた。「お祈りが届いたのかもしれません」

「届くの早すぎひん?」

さくやは砂だらけの自分を見下ろした。何事もなかったように前を向いた。

「……まあええか。行こうか」

エレナが記録帳に何かを書き足した。「……現象として記録しておきます」


■荒野を行く

砂嵐が去ると、空が静かになった。

四人は黙って歩き続けた。太陽が真上から照りつけ、影が短い。足元の砂が熱を帯びていた。

「……さくやはどこに飛んだんだ」ユーリがしばらく経ってから言った。

「だから分からんって」

「……砂嵐に飛ばされて同じ場所に戻るのは、理論的にあり得ません」エレナが言った。

「でも戻ってきたやん」

「……だから記録しておきました」

レイナが静かに言った。「神さまが戻してくださったのかもしれません」

「神さまも暇やな」さくやが言った。

「失礼ですよ」レイナが言った。


■岩山

夕方近く、岩山がはっきりと見えてきた。

近づくにつれて、輪郭がはっきりしてきた。山肌を覆うように無数の坑道が掘られている。黒い土煙が上がり、金属を打つ音が風に乗って聞こえてくる。

そして、人影が見えた。

無数の小さな影が、炎天下で動いていた。重い石材を運び、ツルハシを振るい、坑道に吸い込まれていく。

「……小さきものや」さくやが息をのんだ。

「こんな場所で……」レイナが声を詰まらせた。

エレナが無言で目を細めた。遠目でも、労働環境の過酷さが見て取れた。

ユーリが静かに言った。

「……助けに行くのか」

さくやが岩山を見つめた。熱風が髪を揺らした。

「まず、何が起きてるか見てこようか」




ハッシュタグ(波乱の女子旅編・10個)

#小説 #ショートショート #ファンタジー #創作 #女子旅 #航海 #冒険 #ほっこり #キャラクター小説 #読書好きと繋がりたい


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ