■第127話 市街地再開発偏 証拠、揃った
スクリーンが、真実を映し出す。
市長の顔が、みるみる青ざめた。
廊下から、足音が近づいてくる。
■市長室
委員会のメンバーが書類を手に顔を見合わせていた。
「コンペティションではなく、指名競争入札ですと?」
「しかも参加会社は委員会が独断で選ぶ……そういうことですか」
市長が薄く肩をすくめた。
「何もおかしなことはない……はずだが」
その笑みは硬く、どこか空虚だった。委員たちの間に、困惑と疑念が広がっていく。
そのとき、応接室の扉が静かに開いた。
■登場
入ってきたのはマダム、師匠、OLさん、そしてさくやだった。
さくやが大きなテーブルの端にぴょこんと座った。
「おやおや……みなさん、えらい重苦しい顔してはりますな」
委員の何人かが思わず口元を緩めた。
師匠がプロジェクターとスクリーンを準備し始めた。OLさんが資料を整理し、マダムが操作パネルに向かう。三人の動きに無駄がなかった。
さくやがマダムに小声で聞いた。
「いつの間に全部揃えたんですか」
マダムが静かに微笑んだ。
「あなたたちが倉庫で頑張っている間に、こちらはこちらでね」
OLさんが資料の束をトントンと整えながら言った。
「さくやさんと社長さんがSPの皆さんを捜してくださっている間に、証拠の整理が終わりました」
さくやが目を丸くした。
「……みんな、ちゃんと動いてたんですね」
「当たり前でしょう」
マダムが前を向いた。
■スクリーンが映す
スクリーンが明るくなった。
外資系企業の複雑な組織図。政府関係者との癒着を示す文書。土地買収に関わる不動産会社の相関関係。市長へのキックバックの記録。さくやが倉庫で録音した会議の音声。
一枚、また一枚と資料が映し出されていく。
市長の顔が青ざめていった。
「これが……一体何の……」
言葉が続かなかった。
委員の一人がかすれた声で言った。
「まさか……我々は利用されていたということですか」
部屋が静まり返った。
■足音
廊下から、急な足音が響いてきた。
鋼鉄製の靴底がフローリングを叩く音が、規則正しく近づいてくる。
扉が勢いよく開かれ、警察の捜査官たちが入室した。
「市長。収賄および職権乱用の疑いで緊急逮捕します」
書類が宙に舞った。市長が机に両手をつき、頭を深く垂れた。委員の中にも手錠をかけられる者が現れた。
さくやは師匠の肩に飛び乗り、その様子を静かに見ていた。
■勝利の後
捜査官たちが去ると、部屋に静寂が戻った。
そこへ爆音社長が入ってきた。バイクのキーをくるくると回しながら、部屋を見渡した。
「終わったか」
「終わりました」
さくやが答えた。
「社長も、お疲れさまでした」
「アタシは吹き飛ばしただけやけどな」
OLさんが小さく笑った。
師匠が資料をまとめながら静かに言った。
「街の行政は一時的に浄化されました。しかし……背後にいる真の黒幕はまだ姿を現していません」
マダムが窓の外を見た。夕陽が市役所の建物を赤く染めていた。
「次はどこに手を打つべきでしょうか」
さくやが師匠の肩から飛び降り、窓の外を見た。
「次は絶対に負けへん」
誰も否定しなかった。
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