表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
125/207

■第122話 戦国無双編 戦火の跡に

激しい戦火が去った。

残ったのは、瓦礫と、仲間たちの顔だった。

ここから始める。それだけだった。


■静寂

戦場に、しばしの静寂が広がっていた。

三国連合軍の旗は焼け落ち、兵たちは散り散りになって退却していった。残されたのは、風に舞う砂煙と、地面に刻まれた深い亀裂だけ。

城壁は半ば崩れ、瓦礫が辺り一面に散らばっていた。しかしジュウベェたちは、すでに動き始めていた。瓦礫を片付ける者、崩れた壁を確かめる者。千人が、それぞれの場所で動いている。


■別れ

駅のホームに、レッドの100人とチュール一家が揃っていた。

さくやが歩み寄った。

「レッド、ほんまにありがとうな。あんたらがおらんかったら、どうなってたかわからん」

「ヒャッホー。またいつでも呼んでくれ」

100人のレッドが次々と列車に乗り込んだ。チュール一家も続く。チュールさんが乗り込む時、一瞬だけ振り返ってジュウベェを見た。ジュウベェが静かに頷いた。チュールさんが鼻を鳴らし、車内へ消えた。奥さんと子トラ三匹が、その後に続いた。

扉が閉まった。

「シュウウウウ——」

列車が動き始めた。さくやが手を振った。車窓からレッドの顔が、100人分並んで見えた。

ホームの端まで、千人のジュウベェが一列に並んでいた。列車がゆっくりと加速していく。それに合わせて、千人が一斉に深々とお辞儀をした。

顔を上げた時には、列車の姿はもうなかった。線路の向こうに、煙だけが残っていた。

さくやはしばらくその煙を見ていた。

「行ってしもたな」

「かたじけなかったでござる」

ジュウベェの声が、千人分重なって響いた。


■復興

さくやとジュウベェは、東の村の復興計画を練り始めた。

「まずは畑や。食うもんがなけりゃ、村は立ち直らん」

「水路の整備も急務でござる。城壁の再建はその後でいい」

図面に言葉を書き込んでいく。農地の確保、水路の整備、住居の建設。ジュウベェたちが瓦礫を片付けながら、次々と報告を上げてくる。千人が動けば、情報も早い。

「みんな、もう動いてるな」

さくやが呟いた。


■和平の文

数日が経った頃、さくやが言い出した。

「三国に文を送ろか。戦はもう終わりにしよう、って」

ジュウベェが頷いた。

「そうでござるな。拙者が筆を取るでござる」

ジュウベェが丁寧に文をしたためた。三国それぞれへ、一通ずつ。ヤマネコがその文を口にくわえ、三国へ向かって走っていった。

数日後、ヤマネコが返事を持ち帰ってきた。

紀州、奥州、甲斐——三国とも、和平に賛同していた。返事にはそれぞれ、同じようなことが書かれていた。

「あの爆弾はもうこりごりゆえ、謹んで和平を受け入れ申す」

さくやが息を吐いた。

「よかったな」

ジュウベェも静かに頷いた。千人が、どっと声を上げた。

その隅で、レイナとエレナが並んでにこにこしていた。

「よかったですね」

「ええ、計算通りです」

さくやがそちらをちらりと見た。何も言わなかった。


■調子に乗ったさくや

その夜、さくやが図面を眺めながら言った。

「なあジュウベェ、三国が和平に賛同してくれたんやったら……」

「何でござるか」

「鉄の馬で、三国とつなげへんかな」

ジュウベェが目を丸くした。

「鉄の馬を……三国と結ぶでござるか」

「物資も人も行き来できるようになったら、また争う理由も減るやん。同盟の証にもなるし、ええと思うんやけど」

「……それは、また大きな話でござるな」

「和平もいけたんやから、いけるやろ」

ジュウベェが苦笑いを浮かべた。

「さくや殿、少し調子に乗っておらぬでござるか」

「乗っとる」

さくやがあっさり認めた。

「でも、乗った勢いで行こうや」


■設計図

レイナが呼ばれた。

さくやが図面の上で路線を指差しながら説明すると、レイナは静かに頷き、筆を取った。路線図に沿って、各地の風景や駅の絵を丁寧に描き込んでいく。紀州の山並み、奥州の川、甲斐の盆地。設計図というより、絵図のように美しいものができあがった。

「きれいやな」

さくやが覗き込んだ。

「少しでも伝わりやすい方がいいと思って」

レイナが微笑んだ。

ジュウベェが文をしたためた。設計図とレイナの絵図を添えて、三通。ヤマネコが口にくわえ、また三国へ向かって走っていった。

数日後、ヤマネコが返事を持ち帰ってきた。

紀州、奥州、甲斐——三国とも、鉄道建設に合意していた。

さくやが拳を握った。

「よっしゃ」

ジュウベェが苦笑いしながら言った。

「全く、さくや殿の勢いには敵わないでござる」

隅でエレナがそっと呟いた。

「計算通りですね」

レイナがにこにこしながら頷いた。

二人は図面を広げ直した。次の話をするために。



#小説 #ショートショート #ファンタジー #創作 #冒険 #戦国 #合戦 #ほっこり #キャラクター小説 #読書好きと繋がりたい


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ