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聖女のやる事じゃない件について  作者: 無月公主


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39話【俺まかせ過ぎないか?】

4人を乗せた馬車は静かな草原の上を走り抜け、その上を柔らかな陽光が揺れる。 ヤードとアビスは車内で向かい合って座り、アメリアとノエルはそばで心地よく揺られていた。 外は見渡す限りの草原が広がり、遠くには青々とした木々が立ち並び、風がそよそよと吹いていた。


ヤードは時折、窓の外を見つめながらアビスに国の歴史や魔法の話をして聞かせ、アビスは興味津々にその話に耳を傾けている。


しばらくして、王城に到着し、四人は威厳ある門をくぐり、内部に足を踏み入れた。 その内部は壮麗な建築と彫刻で飾られ、高い天井からは豪華なシャンデリアが輝いていた。


アビスたちはヤードの案内に従い、王城の中庭を抜けて第一王子の部屋へ向かって歩いていた。 その途中で、ペルシカの肖像画が壁に飾られているのを見かけた。 色彩豊かな絵画は、彼女の美しさと気品を見事に捉えていた。


アビスはその肖像画を見つめながら思わず息をのむ。


『ヤバ!!なんかヤバイよこれ!!!流石、アビスのお父さんね。』


ヤードは彼らの様子を見て微笑みながら、ペルシカの肖像画に目をやり「これまでの妻達です。ほとんど同じ顔で同じ髪に同じ瞳で必ずハイドシュバルツ家に生まれます。本人が全て自分の姿絵だと思ってしまうくらいに。」と言った。


第一王子の部屋の扉が開くと、ヤードが素早く姿を変え、華麗な王族の衣装に身を包んだ姿でアビスたちに振り返りました。 その姿は、まるで別人のように見えました。


「これが、今の転生した姿でございます。メリアライト帝国第一王子のプレイヤード・メリアライト… でございます。」 とヤードは優雅な口調で自己紹介を始めました。 その声には、かつての執事の物静かな調子とは異なる、王族の気品が感じられました。


黒髪から金髪へと変わり、赤い瞳は青い瞳へと変わりました。 そして、執事服から王族の正装へと早変わりしたその姿は、まさに王子そのものでした。


アビスは興味深そうにヤードを見つめながら、「先程の姿は魔法か?」と尋ねました。 彼の身の変わりようは、ただの衣装の変化ではなく、何か特別な力が働いているように感じられました。


ヤードは微笑みながら、アビスの問いに答えました。 「私奴は、プレイヤードという名がつく時、必ずこのピアスが手元に届きます。これを装着すればペルシカの記憶と共に、本来の姿に戻るという仕組みです。 楽しいですよ、転生。」 その言葉には深い満足感と、謎めいた光が宿っていました。


アビスは静かな声でアメリアに問いかけました。 「転生は楽しいか?」その問いかけは、他の者には聞こえないほど小さな声でしたが、アメリアにははっきりと届きました。


『うーん、自分で体動かせないし、なんとも。アビスがいないと話をする事すらできないわけだし。』


ヤードは静かにカーテンをめくり、壁に掛かっていた絵を明かした。 そこには初代メリアライト王と王妃、そして幼い赤ん坊の姿が描かれていた。 アビスはその絵を見つめながら、初代王と王妃の顔をじっと追った。


『わっ!もしかして、この赤ちゃんはアビス?』


アビスは壁にかかる絵を見つめながら、「良い絵だ。俺を大事に思ってくれてありがとう。 父上。」 と静かに述べました。


ヤードは深い感慨を込めて言葉を続けました。 「覚えていますよ。もう自分の命が長くないと感じた時、神の国へ預ける事にした事を。 死んだ後は既にある意味では別の人間だったので、迎えに行く事もできませんでした。 アビス、貴方はこの初代の子なのです。」 その言葉には深い思い入れが込められていました。


「で、俺の祖父は創造主なのか?」


ヤードは微笑みながら、アビスの問いに答えました。 「そうですよ。この星を作った偉大な方です。 唯一無二の神。 この星の人々を見守って下さっています。 貴方もメーベルをお持ちでしょう? 創造主様が提案されて、神の国で製造される事になったのです。」 その言葉には、神秘的な尊敬と信頼がにじみ出ていました。


アビスは深く考え込んだ後、「そうか。いつかは神の国とやらに行ってみたいものだな。」 と口にした。 その言葉には、神秘的な場所への興味がにじみ出ていた。


ヤードは優しく微笑みながら、アビスに対して「神の国への行き方はここから真っ直ぐ西へ行くと着きます。あっ、そうでした、王城に部屋を用意しますので、そちらに好きなだけ滞在してください。」と言いました。 彼の声には、心からの歓迎の意思が感じられました。


その後、ヤードの案内で、アビスたちは王城の2階に位置する貴賓室に案内されました。


王城の貴賓室は、壮麗な内装と豪華な家具で装飾されていた。 重厚なドレープのカーテンが窓からの光を柔らかく遮り、静かな雰囲気が部屋に満ちていました。


アビス達は疲れた身体を大理石の暖炉のそばのソファーに沈め、ゆったりと座りました。 ヤードは丁寧に部屋を案内し、自由に使ってもらえるようにと説明しました。


アメリアは疲れ切った様子で目を閉じ、深い眠りにつこうとしていました。 ノエルは小さな窓辺のテーブルに腰を下ろし、疲れた表情を浮かべていました。 そして、アビスは静かにその光景を見つめながら、王城の貴賓室での休息を楽しんでいました。


アビスはノエルに向かって、控えめながらも厳しい表情で問いかけました。

「いつまで一緒にいるつもりだ?」


ノエルは穏やかな口調で答えました。

「問題が解決するまでです。」


アビスは眉を寄せ、更に追求しました。

「そろそろ話してくれても良いんじゃないか?お前におかれた状況を。」


ノエルは深いため息をつきながら、悲しげな表情を浮かべました。 彼の瞳には過去の苦悩がにじみ出ていましたが、彼は決意を込めて言葉を続けました。

「良いでしょう。」と言って、立ち上がりました。 彼は落ち着いた足取りでアメリアが眠っているかどうかを確認し、その後アビスの前に再び座りました。


ノエルは静かな口調で語りました。 「私の父、エルキースは、母の亡骸を腐らせないように保存しています。 聖女の血が欲しいのはそのためですね。 どうにかして実験し、母を蘇らせたいのが本音だと私は思っています。 ですからアメリアさんを嫁に迎えるよう圧力をかけてくるのですが、困ったことに、貴方はそれを御察しでしたね。 私はアメリアの父親です。 到底無理な話です。 それと同時に、王妃コレットは私の恋人です。 結婚する前にアメリアを産んでしまっており、アメリアに聖力が宿っていることがわかり、父に利用されないようにコレットとアメリアを隠していました。 しかし、それが仇となりました。 視察で通りかかったティグルス様に見初められ、私の正体もバレてしまい、脅されてしまい、アメリアをどこかへ捨てられてしまったのです。 散々なことです。」


アビスは聞き入れていました。 驚きが顔に浮かびました。 これまでにないほどの事実が、彼の心を複雑にさせました。 想像していた以上に、その物語は深遠で、複雑であったのです。


ノエルはアビスの表情を見て、微笑みを浮かべました。


「コレットはもはやメロウトには戻りません。しかし、子供を取り戻すため、我々は刺客を送り続け、彼女を死んだように見せかけて連れ去る計画を立てていました。 しかし、彼女はコレットの子であり、魔法の力が強大すぎました。 私たちは最終的に優れた暗殺部隊に切り替えざるを得ませんでした。 それが襲撃の真相です。 本当に申し訳ありませんでした」と、彼は語りました。


アビスは興味深そうに尋ねました。 「コレットは一体何者だ?俺は彼女について調査したが、彼女の出自は他国の者のようだった。」


ノエルは微笑みながら語りました。 「はい、彼女は神の国の神官の家系に生まれた方です。クラリアス家の本家が神の国にあり、私はそこに預けられていました。 コレットは神官としての務めを果たしており、私はその補佐を片手間仕事で務めていました。私達の出会いはそこですね。」


アビスは少し驚きの表情を浮かべながら言いました。 「神の国の神々も仕事をするのか。どんなことがあっても想像すれば魔法がほいほい使えてしまう、そんな卑怯な国だと思っているが、なかなか奥が深いものだな。」


ノエルは微笑みながら続けました。 「王や公爵家以外の人々は、魔法が1属性しか使えない傾向がありますので、外界よりも不便そうですよ。」


アビスは静かな口調で続けました。 「そうか、お前の境遇はだいたいわかった。両者の話を聞かん事には分からんからな。 本体と記憶をすり合わせてから考えるとしよう。 おおかた、積んだお前は俺に全てを解決させようとして、ここへ連れて来た。 そうだろ?」


ノエルは微笑みながら、穏やかな口調で応えました。 「はい、その通りです。貴方は、私の義理の息子となる予定ですから、なんとかしてくれないかなーなんて甘い幻想を抱いてしまいました。」


アビスは淡々とした口調で言いました。 「甘い・・・か。遅かれ早かれ、解決しておかなければいけない問題だったからな。 まぁ、いいだろ。 明日一度外へ出て、本体と記憶をすり合わせる。 いいな?」


ノエルは穏やかな口調で言いました。 「アメリアは置いていってもらいますよ。」 アビスはそれを黙って了承しました。

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